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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。.
4月のニュースから
■改修率低迷のセラミック温風ヒーターで火災/ユーイング
株)ユーイング(旧森田電工)が、発煙・発火の恐れがあるとして1995年12月より点検・修理を実施しているセラミック温風ヒーターで、異音・発煙とともに製品から出火する火災が、今年4月3日に起きてしまいました。
消費者庁は対象製品の使用者に対して、点検・修理を受けていない場合は、速やかに同社まで連絡するよう呼びかけています。
対象製品は、同社が製造した1989年型のセラミック温風ヒーターMDS-1200CTで、原因は製品のセラミックヒーターユニットの、中央端子と電源配線の接続端子部において、接続不良により接触抵抗による過熱が生じ、出火に至ったと考えられています。
同社は対象製品について、1995年12月と1998年2月に点検・修理の告知を新聞社告に掲載、1998年9月からはWebサイト上で注意喚起を行ってきましたが、消費者庁が発表した2011年3月31日現在の改修率は3.3%となっていて、今後の事故も懸念されます。
購入者のデータを保持しないために、改修が進まないようですが、小さな新聞社告枠やWebサイト上の注意喚起だけでは効果がないということだと思います。そもそも使っている製品が正常だと感じている人が、同社のWebサイトを見る必要性を感じることはありません。回収などの情報提供を、Webサイト上の注意喚起で良しとする企業がありますが、どのようにサイトに誘導すべきか、という視点が抜け落ちています。
ナショナルFF式石油暖房機の回収&引き取りは2005年から続いていますが、現在でも再社告しなればならない状況です。一時は新聞折り込みのチラシでの周知を行いましたが、利用者への注意喚起の難しさが分かります。
ナショナルの問題から、ユーイングにおいても十分な対応が必要ですが、残念ながら次の火災事故が発生しないと、同社のさらなる動きはないのかも知れません。[目次へ]
■卓上コンロでパロマがお詫び/揚げ物調理できない旨未記載で
(株)パロマは、自社が2008年10月〜2011年3月に製造・販売した、卓上型一口コンロ「PA-S18H」において、省令に定められた「揚げ物調理に使用してはいけない」旨の表示がコンロ本体にされていないことが判明したため、お詫びを報じています。
当該コンロには調理油過熱防止装置が搭載されていないため、揚げ物調理は絶対にしないよう呼びかけるとともに、「揚げ物調理にはしようしない」旨が記載されたシールを送付するので、ユーザーがコンロ本体へ貼り付けるよう呼び掛けています。
当事者だけではなく、人に貸したりすることもあるため、警告シールを貼り付けることは重要です。当該製品利用者には同社の指示通りに対処してもらいたいものです。[目次へ]
■ACアダプタの電源コードセット回収&交換/横河
横河メータ&インスツルメンツ(株)は、自社が取り扱う二重絶縁構造のACアダプタに同梱し販売している電源コードセットにおいて、電気用品安全法により二重被覆のものでなければならないことが判明し、社内調査した結果、非二重被覆構造の電源コードセットを採用していたため、該当商品を回収・交換すると発表しました。
対象製品はポータブルデータステーション XL100シリーズに付属の電源コードセットと、ハンディーキャリブレータ CA150用、ポータブルデータステーションXL100シリーズ用ACアダプタ 94010-Mに付属の電源コードセットです。
同社によると、二重絶縁構造のACアダプタ(直流電源装置)に同梱し販売している電源コードセットについては、電気用品安全法にもとづく平成14年12月25日の経済産業省質疑応答により、二重被覆のものでなければならないことが判明したことによる措置だとしています。
電気用品安全法、つまり国内向け電気製品の安全規格なので、一般には200V系の国々で要求される二重絶縁構造の機器は必要ありません。
おそらく同社ではヨーロッパなどの安全規格を取得するために全世界共通の製品として二重絶縁のACアダプタを生産、国内で販売するときに国内で一般に利用されるの電源コードを使いたいと考えたのでしょう。
二重絶縁構造のACアダプタに同梱した電源コードセット、ということから、製品と付属品全てに二重絶縁構造が求められてしまいました。
同社が二重絶縁機器として販売するための同梱コードセットであれば、当然二重被服の電源コードセットを使うことは分かっていたと思います。
今回のケースですが、国内で使用する場合の安全上の問題は無いのですが、電気用品安全法上は認められない、ということです。100V系の国内ではオーバークオリティーですが、法律には逆らえません。
かりに電源コードセットを同梱せず、ユーザーに購入してもらう方法もありますが、ユーザーに不親切であり、取扱説明書で二重絶縁の電源コードを推奨しないと、問題有りとして指摘を受けそうです。
二重絶縁の電源コードセットで高くなる価格はユーザー負担になる場合が多いので、法律の柔軟な運用、つまり最終製品使用者の安全上どのようなリスクがあるのか、ということを考えてもらいたいケースです。[目次へ]
■リッチェル、バウンシングシートおもちゃ付きを回収
(株)リッチェルは、2010年10月から販売している自社製ベビー用バウンサー「バウンシングシートおもちゃ付き」に付属している「おもちゃバー」の一部で、過度な力がかかった際に折れてしまうという苦情があり、正常な「おもちゃバー」と無償交換すると発表しました。
対象製品を使用している場合は、「おもちゃバー」を「バウンシングシート」から取り外し、「おもちゃバー」の使用をただちに中止し処分するよう呼び掛けています。
対象製品は底面に表示の製造ロット番号の、上2桁が「10 ×× ××」のものです。
ところで企業が製品を回収するときは、欠陥商品の返却を前提とすることが多いですが、同社は消費者の責任で処分することを求めています。
しかし、危険な「おもちゃバー」が使われないことの確証はないので、本来は回収すべきだと思います。コスト負担を気にしての対応かもしれませんが、同社の安全意識が垣間見えるようです。[目次へ]
■ヤマハ電子ピアノ用椅子、害虫混入のおそれで交換
ヤマハ株式会社は4月12日、一部電子ピアノ用椅子の防虫処理が不十分なものがあり、製造途中で木材へ虫が産卵し、その後椅子脚柱内部で孵化するおそれがあることが判明したとして、椅子を交換することにしました。
同社によると混入した虫(甲虫)は、法・規制に該当する虫ではなく、健康被害についての影響はないとしています。
回収の方法ですが、宅配便で対策済みの椅子を届け、その梱包箱にユーザーが使用していた椅子を入れてもらい、後日宅配業者が再訪問して回収する、というものです。
前出のリッチェル社の対応とは違い、同社のしっかりした姿勢に好感が持てます。
対象椅子品番名は、BC-100DRとBC-200MHです。
対象機種(BC-100DR/BC-200MHが同梱されている機種)は次の通りです。ヤマハ電子ピアノ クラビノーバ
CLP-380PM (CLP-380PEは対象外)
CLP-320 (CLP-320C、CLP-320Mは対象外)
ヤマハ電子ピアノ アリウス
YDP-161 (YDP-161C、YDP-161Bは対象外)
YDP-S31 (椅子とセットで購入した場合)
オプション椅子
BC-100DR対象台数約250台、製造期間は2010年10月生産分の一部で、販売期間は2010年11月4日より発売したものだといいます。
該当機種を持っている人は、ヤマハ デジタルピアノ コールセンター・専用フリーダイヤル0120-66-0887まで連絡してください。[目次へ]
■石灰窒素水和造粒品回収/コープケミカル
コープケミカル(株)は、同社が製造し全国農業協同組合連合会を通じて販売している「石灰窒素水和造粒品」から、非有効性成分(メラミン)が検出されたため、製品の販売を自粛するとともに回収を行うと発表しました。
同社によると、製品の製造過程でメラミンが副生したと考えられるといいます。
メラミンは肥料取締法に基づく公定規格で有害成分として規定されてはいないものの、同社は日本石灰窒素工業会の指導を受け、対象製品の販売自粛と自主回収を決定しました。
作物からこの成分が検出されたわけではないものの、土壌散布された肥料が作物にどのような影響を及ぼすかは不明で、同社では一層の安全を考えての回収だとしています。[目次へ]
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