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2011.3 No.207  発行 2011年3月27日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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2月のニュースから

■電話交換機から火災/セキスイハイム

 積水化学工業(株)は10日、同社が製造し、セキスイハイムにオプションで設置した、電話交換機(MJS)の電源基板が発火元と見られる火災が1件発生したことから、同じ電源基板を用いた製品について、交換を実施すると発表しました。

 「MJS」はマルチメディア住宅システムの略称で、ドアホン、電話転送、インターネットLAN、火災報知機等の機能があるといいます。対象となるのは型式MJSIIとMJSIIIで2000年4月から2003年9月まで販売されたもので、対象台数は5,600台だといいます。

 対象製品で機器からの異音、異臭がする、異常な発熱がある場合は、主装置の電源を切り、問い合せ窓口へ連絡するよう促しています。

 受信時の電話のベルが鳴らない、電話をかけられない、電話が途中で切れる、受話器を上げても音がしない、ドアホンが使えないといった故障の場合でも、同様な対処をとるよう促しています。
また電源を切った後に再度電源を入れると主装置に負荷がかかるため、再度電源を入れることは絶対にしないよう注意しています。

 原因ですが、事故の状況から当該製品内部の電源回路(電源基板)において異常電圧が生じ、電気部品の発熱が継続し、最終的に出火に至り、樹脂製のカバーに着火したものと考えられています。

 ところで、同社は平成20年6月から発生していた103件の非重大製品事故(電子部品(電源基板上のコンデンサ)の発煙又は破損等)の報告が、独立行政法人製品評価技術基盤機構に適切に行われていなかったとして、10日に経済産業省から厳重を受け、今後の事故の報告に遺漏の無いよう指導が行なわれています。

 最近の住宅ではさまざまなオプションがあるようですが、壁に取り付けられた備え付きの製品の発火は、家屋火災の危険が非常に高くなるので注意したいものです。

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アラジン石油ファンヒーターの取り扱いに注意

 日本エー・アイ・シー(株)および(株)千石は、「アラジン 石油ファンヒーター」の昨年8月から販売した製品において、運転ボタンの押しこみ不足があると本体内部が過熱し、ごく稀に発煙したり床面を焦がす恐れのあることが判明したと発表しました。

 対象製品の使用者に対し、製品の運転開始時は運転ボタンを強く押しこみ、赤ランプの点灯を確認の上使用するよう注意喚起するとともに、正常に点火せず、「U10」、「H31」、「H83」のエラー表示が出た製品については、点検・修理を実施するとしています。

 対象機種はアラジン 石油ファンヒーター AKF-P321N(W)、昨年8月に販売したもので、対象台数は151,182台に上るそうです。

 注意喚起ですが、製品の運転開始時は運転ボタンを強く押しこみ、赤ランプの点灯を確認、約2分後に自動点火し、送風が始まので、燃焼確認窓から正常に燃焼していることを確認することとしています。また停止時は運転ボタンを強く押しこみ、赤ランプが消えたことを確認すること、としています。 

 運転ボタンを強く押し込まなければ、赤ランプがつかずに着火しないだけ、というのであれば、取り扱い方法の改善で良いのですが、運転ボタンの押し方で発煙などの事故につながる製品というのはどうなのでしょう。製品欠陥に当たると思われますが、このような注意喚起だけでいいのか、同社の対応に疑問が残ります。

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加湿器の水漏れ事故で重症/アイリスオーヤマ

 NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)によると、1月29日に、アイリスオーヤマ加熱式加湿器 SHM-400を使用中、加湿器からお湯があふれ出し、1名が重傷を負ったといいます。

 湯があふれた原因ですが、同社ではタンク内の温度が上昇することによる空気の熱膨張を原因とする本体からの水(湯)漏れが、下記の使用環境が揃った場合に起こる可能性がある ことが判明したとして、昨年12月8日から注意喚起を行っていました。

(1)タンク内の水位が1リットル以下で運転を開始した場合。
(2)弱」モードで運転を行った場合。
(3)直射日光の当たる場所や、暖房器具の近くで使用した場合。

 水(湯)漏れにより、場合によっては、やけどの原因となる場合があるとのことですが、同社では製品を回収するつもりがないようです。

 しかし、「タンク内の水位が1リットル以下で運転を開始した場合」というのは、一般の加熱式加湿器の使用環境ではよくあることで、タンク内水量が少なくなると自動的に運転を中止・お知らせブザーが鳴る製品も多くあります。

 今回のように、ユーザーにとって通常の配慮を超えてまで気を付けなければ事故になる製品、というのは聞いたことがありません。設計上の問題・欠陥だと思います。

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■国産アカシヤ蜂蜜、回収&返金/カンノ蜜蜂園本舗

(株)カンノ蜜蜂園本舗が製造し、同社及び(株)六甲ハニー農場が販売した「アカシヤ蜂蜜(国産)」に、中国産の蜂蜜が混入していたにもかかわらず「国産」と表示していたとして、兵庫県は両社に対し、2月23付でJAS法に基づく改善指示を行いました。

 県によると、対象商品の原材料には中国産のアカシヤ蜂蜜が50%程度混入していたというものです。カンノ蜜蜂園本舗は昨年7月初め〜今年1月末の間に1,084kg、六甲ハニー農場は昨年8月初め〜今年1月末の間に436kgを販売したといいます。

 なお、両社は今年1月30日以降、中国産蜂蜜が混入していた商品の販売を中止、2月2日より消費者への告知と商品の回収・返金を行っています。

 兵庫県によるJAS法に基づく立入検査の経緯が公開されていますので、を以下に紹介します。

(1)平成23年1月24日、国から県に「六甲ハニーが販売するはちみつに外国産混入の疑義がある」との通報が寄せられたため、六甲ハニー及び同社のはちみつ商品を製造しているカンノに対し、兵庫県が2月2日から17日に調査及び立入検査を実施した。

(2)立入検査等の結果、以下の事実を確認した。
@カンノ及び六甲ハニーの経営者は同一であり、両社の商品の表示ラベルもこの経営者が作成していたこと。

Aカンノが平成22年7月7日に製造したアカシヤはちみつの原料に、国産はちみつ960kgと中国産はちみつ1,000kgが使用されていたこと。

Bカンノは、上記アカシヤはちみつを使用した商品「アカシヤ蜜(内容量300g、600g、1200g)」の原材料名欄に「アカシヤ蜂蜜(国産)」と表示して、少なくとも平成22年7月9日から平成23年1月29日までの間、一般消費者に1,084kg販売したこと。

C六甲ハニーは、上記@のアカシヤはちみつを使用した商品「アカシヤはちみつ(内容量150g)」及び「アカシヤはちみつ(内容量1,000g)」をカンノから仕入れ、原材料名欄にそれぞれ「アカシヤ蜂蜜(国産)」及び「蜂蜜(国産)」と表示して、少なくとも平成22年8月3日から平成23年1月29日までの間、一般消費者に436kg販売したこと。

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みちのく蜂舎、中国産混ぜた蜂蜜を「国産」として販売

  (株)みちのく蜂舎は、「国産アカシア蜂蜜」に、色や風味を調整するため中国産アカシア蜂蜜を混ぜて販売していたとして、商品の回収・返金を行うと発表しました。なお、混入していた中国産蜂蜜は正規輸入審査に合格した安全なものであるといいます。

 この問題を受け、同社は店舗やインターネット等での一切の販売を自粛していましたが、今般の販売再開にあたり、JAS法・景品表示法の理解と遵守を徹底し、誤混入を防止するため保管場所及び充填作業所を隔離、養蜂に際しては飼育管理履歴及び生産管理表を作成するなどの業務改善を図るとしています。

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みつばちの郷 国産蜂蜜に中国産を混入

 (株)フラワーハネーは、同社製造の「国産あかしや蜂蜜」及び「国産野の花蜂蜜」に、中国産あかしや蜂蜜を混入していたことが判明したため、回収を実施すると発表しました。混入開始の原因について同社は、「同業他社との価格競争、商品の安定供給(慢性的な国産蜂蜜不足)、野の花に関しては味や色の調整のため」としています。

 同社では15年以上前から継続的に混入を行っていた、ということなので悪質です。
 ところで株式会社大地を守る会では、同社が製造した国産蜂蜜を販売していたことから、対象となる蜂蜜製品およびそれを原料に使用した製品の特定を急ぎ、回収方法などについて検討している所です。
 以下に大地を守る会の調査コメントとお詫びを紹介します。

 2011年2月18日に、株式会社フラワーハネーより「当社製の国産蜂蜜に中国産蜂蜜の混入の疑いがあるという指摘を受けた」との報告を受け、弊社では株式会社フラワーハネーに対し事実関係の確認を進めてまいりました。2月21日に株式会社フラワーハネーは、地元西濃保健所に届出を行ない、保健所による調査が実施され、同社より中国産アカシア蜂蜜の混入があった旨の告知が行なわれました。

 翌2月22日に、株式会社フラワーハネーに詳細の確認を行なったところ、弊社取扱製品についても中国産の蜂蜜が混入していた事実が判明、そのため2月22日仕分け分より、同社製造製品の供給を中止いたしました。
混入の実態・詳細把握のため、翌2月23日より現在まで、弊社品質保証グループの担当者による現地での調査を行い、より正確な情報収集を行なっているところです。

 大地を守る会では加工食品メーカーとの信頼関係を基に、書類による基準適合審査を中心に商品の信頼性を確保してまいりました。また、弊社指定原料のメーカーへの納品量と、最終商品の弊社への出荷数との整合性確認、品質保証担当・仕入担当による原料在庫の現場確認等を実施してまいりました。

 またメーカーの悪意ある事故発生を受け、2009年度からは審査・監査体制の見直しを行ない、従来の基準適合審査に、メーカーにおける原料の調達状況の現場監査などを追加するとともに、順次、外部専門機関(生産情報公表JASの登録認定機関である有限会社リーファース)による定期的な監査を実施してまいりました。
しかしながら、今回のような事故が発生しました事は、商品の信頼性を確保する体制がいまだ不十分であったと言わざるを得ません。みなさまの信頼を大きく損なうこととなり、誠に申し訳なくお詫び申し上げます。

 近年国産蜂蜜、特にアカシアの蜜は不足しているようです。私事ですが、私が利用しているスーパーでも昨年途中から国産アカシアの蜂蜜を置かなくなりました。そこでスーパーの本部に問い合わせたところ、今まで納めていた養蜂場が、国産の蜜が手に入りにくくなったため、中国産をブレンドせざるを得ない、と連絡してきたためだといいます。

 このような良心的(当たり前なのですが…)な養蜂場もありますが、不正を働く業者はかなり多いように感じられます。

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消費者庁「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公表

 消費者庁はこのほど、「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公表しました。これは、昨年10月に公表し、その後のパブリック・コメントを募集した「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針(案)」について、寄せられた意見やその後の検討を反映させ「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」としたものです。

 消費者庁では、トランス脂肪酸に関して食品事業者が情報開示を行う際の考え方として「食品の容器包装、事業者のホームページ、新聞広告等を通じて広く開示され、消費者の適切な食品選択に資するものとなることを期待します」としています。

 さらに、「指針」では、トランス脂肪酸その他の脂質に関する科学的な知見は、日進月歩で充実していることから、現時点では、健康増進法に基づく栄養表示基準に規定するのではなく、本「指針」において考え方を明らかにしたものであり、「今後も、新たな知見に基づき、本指針を随時見直していく」としています。

 日本ではトランス脂肪酸に限らず、一般の栄養成分表示についても、表示する際に従うべき一定の基準(栄養表示基準)はありますが、表示義務はありません。今回の指針についても表示を行うのであれば従う必要がありますが、表示するかどうかは事業者が判断することになります。

 したがってトランス脂肪酸の使用を抑えた商品では宣伝効果があり、表示するメーカーも出てくるかも知れません。しかし、消費者が知りたいのはトランス脂肪酸を多く含んだ食品であり、その商品は恐らく表示されないままになるのでしょう。

 相変わらず企業に配慮した我が国の法律ですが、国民の知るべき権利をもっと尊重してもらいたいものです。
 トランス脂肪酸については、摂取と心疾患のリスクとの関連が近年明らかにされ、2003年にはWHOでも、1日当たりのトランス脂肪酸の平均摂取量は最大でも総エネルギー摂取量の1%未満とするよう勧告を行っています。

 さて、日本においては、日本人1日当たりのトランス脂肪酸の平均摂取量は、総エネルギー摂取量の0.6%程度であり、これまであまり特別な配慮は必要ないとの認識でしたが、最近の研究では、若年層や女性などに摂取量が1%を超える集団があるとの報告あり、北・南米やアジア等における諸外国において、栄養成分表示の一環としてトランス脂肪酸の含有量の表示の義務化が進んでいることなどを背景に、日本でも表示についての議論が高まっていますが、義務化まで何年かかるのでしょう。

  外食依存度の高い人、加工食品の購入率の高い人など、思い当たる人は個人レベルで注意しなければなりません。ショートニングを使っているビスケット、パン、ケーキ、スナック菓子といった小麦粉加工食品やマーガリン類、そして外食・総菜品の油で揚げた食品のとりすぎには、気をつけたいものです。

 牛肉の脂質にも少し含まれているそうなので、日常的に食べる食品から完全に排除することはできませんが、いろいろな食材を使ったバランスの良い食事を摂っていれば、それほど心配することはないでしょう。

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