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2010.9 No.201  発行 2010年9月29日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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8月のニュースから

■ガス栓及び接続具に起因する事故防止について/NITE

 NITE(ナイト:独立行政法人製品評価技術基盤機構)によると、製品安全センターに通知された製品事故情報のうち、「ガス栓」及び「接続具」による事故は、平成17年度から21年度の5年間に219件あったといいます。このうち、死亡事故が3件、重傷事故が7件、建物へ延焼した火災が64件でした。また、NITEの調査結果では、事故原因が不明のものが43件(20%)、消費者の誤った取り扱いや不注意による事故が115件(52%)ありました。

  消費者の誤った取り扱いや不注意による事故では、「使用していないガス栓を開放」、「接続不良」、「不適切な接続具を使用」などがあります。このためNITEでは、消費者にガス栓及び接続具による事故の内容を理解してもらい、正しい使用によって事故を防止する必要があるとして、注意喚起することとしました。

 事故の現象についてみると、「使用していないガス栓の開放による中毒、ガス漏れ、爆発、火災」46件、「ガス栓・接続具の故障・破損によるガス漏れ、爆発、火災」25件、「接続不良による火災」23件、「不適切な接続具を使用したことによる火災」19件、「接続具の異物や汚れによる火災」13件などがありました。建物に延焼した火災に至ったものは、219件のうち64件ありました。

 事故事例の概要を次に示します。
◆使用していないガス栓の開放による中毒の例平成21年3月15日(北海道、70代女性、死亡)
(事故内容)使用者が一酸化炭素中毒で死亡する事故が発生した。
(事故原因)ゴムホースだけが接続されていたガス栓のつまみが半開き状態となっており、一酸化炭素を含むガスが室内に漏れたものと推定される。
都市ガスについては平成22年3月25日をもって、一酸化炭素が含まれない供給ガスへの転換がすべて終了、またLPガスには一酸化炭素は含まれていないため、今後このような事故はなくなると考えられます。

◆ガス栓・接続具の故障・破損による火災の例平成18年3月2日(東京都、年代・性別不明、火災)
(事故内容)ファンヒーターを使用中、機器本体裏側から煙が出て、ファンヒーターと迅速継手の一部が焼損した。
(事故原因)掃除のたびに、ガス用ゴム管に取り付けられたファンヒーター側の迅速継手の着脱が繰り返され、取り外し時に迅速継手が床または壁にぶつかり、その衝撃で迅速継手内部のスライドバルブ本体突起部が摩耗、スライドバルブが脱落したことに気付かずファンヒーターに接続したため、接続部から微量のガスが漏れ、ファンヒーターの火が引火したものと推定される。

◆接続不良による火災の例平成19年2月10日(京都府、70代女性、重傷)
(事故内容)住宅の寝室で使用中のガスファンヒーター付近から出火して、1人が重傷のやけど、1人が軽傷のやけどを負った。
(事故原因)ガスファンヒーターに指定の迅速継手を使用せず、ガス用ゴム管を直接接続しゴム管止めをしていた。ヒーターを移動して使用しているうちに接続部が徐々に外れ、ガスが漏洩していたところにタイマー点火したため引火したものと推定される。

◆不適切な接続具を使用したことによる火災の例平成21年5月15日(栃木県、年代・性別不明、火災)
(事故内容)ガスこんろを使用中、ガス栓とガス置台周辺が焦げた。
(事故原因)2口ガス栓のうち、販売時には取り付けていなかった樹脂製キャップが付けられた方のガス栓を誤って開放したことから、ガスヒューズが作動しない程度のガスが漏れ、ガスこんろの火が引火したものと推定される。

◆接続具の異物や汚れによる火災の例平成22年3月10日(兵庫県、年代・性別不明、火災)
(事故内容)ストーブを点火したまま移動し、使用していたところ炎が出て、迅速継手が一部焼損した。
(事故原因)迅速継手に異常は認められず、異物侵入防止用キャップが装着されていなかったため、保管中に迅速継手のソケット側シール部に多量の繊維状の異物が付着し、気密が保てない状態でガスストーブのプラグに接続したため、ストーブを移動させた際にガスが漏れ、ストーブの炎に引火したものと推定される。

 以上のことからNITEでは、ガス栓及び接続具による事故の防止について、ガス栓及び接続具の誤使用・不注意による事故が多発していることを訴えています。
  また特にガス栓とガスコード、ガス用ゴム管の接続の誤りによる事故、使用していないガス栓の開放による事故が多発していることに着目、消費者には、ガス栓・接続具の選択に注意するなど、取扱説明書に従って、以下の注意事項を必ず守って、正しく使用するよう促しています。ガス設備は、都市ガスの場合、ガス事業法に基づいて3年に1度、LPガスの場合は、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律に基づいて4年に1度、ガス配管の漏えい検査、給排気設備(ガス風呂釜・ガス湯沸器)などの点検調査が行なわれので、協力するようにしてもらいたいとしています。

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日産バネット、三菱デリカ、マツダボンゴの燃料漏れで火災の恐れ

 8月は車の燃料漏れに関する3社同様なトラブルがありました。

 マツダ(株)は、「ボンゴ」と「ボンゴブローニイ」、三菱自動車工業(株)は、「デリカ(商用車)」、日産自動車(株)はバネットのリコール(サービスキャンペーン)を実施すると発表しました。

 不具合の内容は、助手席シート座面(エンジンカバーと共用)下のエンジンルームを点検整備した後、前席中央席用シートベルトバックルを誤ってエンジンルームに挟み込ませた状態でエンジンカバーを閉めた場合、当該シートベルトバックルが燃料ホースと干渉することがある。そのまま使用すると、燃料ホースが損傷または抜けて燃料が漏れ、火災に至る恐れがある。

 改善内容ですが、シートベルトバックルの動きを規制するためのスペーサを取付けるとしています。

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アップルiPod nanoの火災や発火事故、経済産業省・消費者庁が資料を求める

 消費者庁は3日、アップルジャパン株式会社に対して、携帯音楽プレーヤー「iPod nano」の加熱事故に関する資料を提供するよう求めたと発表しました。

 消費者庁によると、第1世代のiPod nanoについて、これまでに消費者安全法に基づく消費者事故等の通知や、消費者生活用製品安全法に基づく重大製品事故の報告が同庁になされているといいます。今回、情報を集約・分析するにあたり、さらに資料が必要だとして、消費者安全法第14条第1項の規定に基づき、アップルに対して資料提供の協力を依頼したとしています。

 第1世代iPod nanoの火災や発火、発煙、火花、焦げ、破裂など、アップルが把握している国内外の事故の件数や概要、原因、これまでにとった注意喚起や再発防止策の内容、事故に遭った消費者への対応方針などの資料を、8月10日までに提出するよう求めています。

 第1世代iPod nanoの加熱事故については、すでに経済産業省も7月28日、消費生活用製品安全法第40条第1項に基づき、事故原因や再発防止策を8月4日までに報告するようアップルに求めています。

 経済産業省によると、同社は米国本社の調査によって過熱・焼損事故の原因がバッテリーセル内部に何らかの欠陥が製造時にあったことにより、充放電サイクルを繰り返すうちに欠陥部を起点とするバッテリー内部の損傷が拡大してバッテリーが内部短絡を起こし過 熱に至った可能性があると推定しているようです。

 経済産業省では、今回の事故品についての分析はこれから行うところであるとしながらも、当該製品におけるバッテリーセルの内部欠陥に起因するとみられる過熱・焼損事故が多発していることから、速報段階ではあるものの、事業者名、製品名を公表し、消費者対して下記の注意喚起情報を提供することにしたものです。

 “iPod nano”のうち、過熱・焼損事故の発生の恐れのあるものは下記の製品番号となっています。
 MA004J/A (販売台数 708,000台)
 MA005J/A(販売台数 393,000台)
 MA099J/A(販売台数 424,000台)  
 MA107J/A (販売台数 287,000台)
 販売期間は、いずれも平成17年9月~平成18年9月です。

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西松屋のベビーベッド、ベビーカー事故に注意

 株)西松屋チェーンは、同社が(株)加名市より購入し2009年8月下旬〜2010年7月下旬に販売したベビーベッド「インリッチ」において、フレームの格子部が外れ、床板が脱落する事故が発生したことから、商品を回収すると発表、代替品との交換または返金にて対応するとしています。

 また同社が2010年4月5日より販売したグレコ社製ベビーカー「シティスポーツEDT ミッキーマウス」において、子供が座席に座っている時に、折りたたみストッパーの先端部で右太腿に擦り傷を負うという事故が発生したため、該当箇所を覆うカバーを無償配布すると発表しました。

 同社は購入者に対し、安全カバーが届くまでは、商品の使用を控えるか、子供が折りたたみストッパーの先端部に触れることのないよう十分注意して使用するよう呼びかけています。

 該当する製品は次のものです。
 シティスポーツEDT ミッキーマウス(商品番号:6N91MKM3J)
 シティスポーツEDT ブロッサム(商品番号:6N90GOP3J)
 シティスポーツEDT メトロポリタン(商品番号:6468MTR3J)

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電子タバコの安全性を考える/国民生活センター注意喚起

 国民生活センターによると、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、2007年6月の最初の相談事例から2010年6月末までに電子タバコに関する相談が309件寄せられていて、特に近年相談が急増しているといいます。そこでセンターでは電子タバコについて、カートリッジにニコチンが含まれていないか、事業者がカートリッジ内の成分と安全性をどのように確認しているのか等を調査し、消費者に情報提供することにしました。

 テストの対象銘柄は、国内で販売されている25銘柄45種類の味と参考として個人輸入品2銘柄2種類の味で、ニコチン、ジエチレングリコールの含有量等を検査することにしました。

 その結果、カートリッジの液体を調べたところ、全ての銘柄でジエチレングリコールは検出されなかったものの、国内で販売されている25銘柄45味中、11銘柄15味でニコチンが検出されました。

 また表示については、国内で販売されているほぼ全ての銘柄でニコチンを含まない旨の表示がみられたが、一部の銘柄からニコチンが検出された、カートリッジ内の液成分表示があったのは25銘柄中11銘柄のみで、表示されているものの中でも表示内容には大きな差があった、安全である旨の表示がみられたが、対象や根拠が不十分であったり、不明瞭なものが多かった、使用対象年齢に関する表示があったものは25銘柄中16銘柄であった、3銘柄で充電器にPSEマークの表示がなく、3銘柄でPSEマークが通常の使用状態では見えないところに表示されており、電気用品安全法に抵触するおそれがあったといい、問題が多いことが分かります。

 事業者へのアンケート調査からは、ニコチンが検出されたものがあったにもかかわらず、回答があった全ての事業者は、ニコチンは含有していないとの回答であった、多くの事業者が安全性を把握しているとの回答であったが、多くは成分を飲み込んでしまった場合の安全性や衛生性と考えられるものだった、多くの事業者は、電子タバコを禁煙あるいは減煙の目的で設計し、効果があると考えて販売していた、多くの事業者は、未成年者は使用するべきではないと回答しながら、表示以外の対策を講じていなかった、とするなど、製造・販売事業者についての問題も数多くありました。

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火山灰を含む洗顔料の使い方に注意/国民生活センター

 国民生活センターには、最近人気となっている火山灰、シラス、シラスバルーンといった火山灰由来の原材料を配合した洗顔料について、洗顔料を使用して眼に異物が入ったとの事例がセンターの危害情報システムに報告されています。

 これらは2005年度以降の約5年間で23件寄せられていて、うち10件は火山灰由来の原材料が配合された洗顔料を使用して発生した事例とのことで、10件中9件は通院治療を要していたとしています。

 また1990年頃に、スクラブ剤入り洗顔料の使用による眼表面異物の事例が多数報告され、センターでも情報提供を行ってきました。しかし火山灰由来の原材料が配合された洗顔料も、使用時に誤って眼に入った場合、使用者自身では異物を除去できず、眼表面に残ってしまうおそれがあると考えられるものです。

 そのためセンターでは、火山灰由来の原材料を配合した化粧品及び医薬部外品のペースト状の洗顔料10銘柄を対象に、眼に入った場合、眼に残って眼表面を傷つけてしまうおそれのある粒子が入っていないか、テストを行い、消費者に情報提供することにしました。

 主な調査結果等ですが、全ての銘柄の不溶性成分に一定以上の大きさの粒子やとがった部分を含む粒子が含まれており、これらの粒子の一部は涙やまばたきで排出されずに眼表面に残る可能性があったといいます。また商品に表示された方法で泡立てた泡にも、とがった部分を含む粒子が含まれていたとのことです。そして眼に関する注意表示がなされていたのはテスト対象10銘柄中8銘柄でした。

 消費者への注意として、火山灰由来の原材料が配合された洗顔料は誤って眼に入ると粒子が眼表面に残るおそれがあることを認識し、使用時は眼に入らないように注意し、万一眼に入って異物感や痛みを感じたときは眼科医の診察を受けるよう勧めています。

 火山灰を使ったせっけんは、「肌がつるつるになる」、「肌が白くなる」などの宣伝で人気のようですが、細かな粒子で肌を擦るやすりみたいなものかも知れません。気を付けたいものです。

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