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Iターンネットワーク 新・信州人倶楽部 |
〜第66号〜 |
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〜リレーコラム〜
松田 房代
今年の夏は雨が多い…。
挨拶もこの雨のことから始まる。なんともジメジメしたうっとうしい内容である。
貴重な休みにできるだけ用事を済ませて、午後からは一気に草刈りに励もうと気合をいれるがみるみるうちに雲が多くなり、やがて大きな雷の音とたたきつけるような雨が降り出して、予定は見事につぶされてしまう。
「次の休みはなんとしてでも…」と思いながら草刈りの計画をたてているが、また空振りかも知れない。
我が家の土地は以前「桑畑」であったそうだ。さらに聞いてみると安曇族の話にまでさかのぼり、「この土地は海であった」ということに納得することがある。
地面を掘り起こすとゴロゴロとした石が多数出てくる。植木の水やりを行っても、乾燥しているときはいくら水を与えてもすぐに乾いてしまうといった具合に、水はけが非常に良い土地である。そんな中、庭作りに励んでみてはいるものの、結論的には雑草との戦いで終わってしまう。
黒土をいれてミニ菜園を試みたが、今では職場や犬の散歩でたくさんの野菜を頂くので花壇となった。アジサイが好きなことから多種多様な品種のアジサイを植えている。今年はどの家庭や公園、あちらこちらで目にするアジサイの色は見事であると思う。このときばかりは雨でもいいかな?と妥協してしまうこのごろである。
我が家の夢はさらにたくさんのアジサイを植えて、「松田さん家はどこですか?」と聞かれたときに「あの、アジサイがたくさん咲いている家ですよ。」と言われる事である。
庭仕事を始めたころ、近所の方に草や葉を教えていただいた。少しわかり始めた頃に苗を買ってきて植えてはみたものの、一向に花が咲かない…。終いには地元の子供たちから「雑草と草花の区別も付かないの?」とバカにされて悔しい思いをしたことがある。◆◆◆
「家を建てよう」そう決意したのは当時刊行されていた「SHINRA」という雑誌に連載されていた「玉村豊男」さんのエッセイがきっかけである。現在は東御市でワイナリーとレストランを経営しつつ、本業の絵画作成や出筆業を行って、最近ではTVのコメンテーターでも有名な方である。
その頃、私は大きな手術をして入院していた同室の方に、当時の東部町から横浜の病院に入院していた方と親しくなった。わざわざ横浜までと思ったが、長野や群馬の大学病院でも治療ができずに横浜まで通っていたのである。
ご主人とお父様が早朝長野の家を出発して面会時間前に到着して待合室のソファーで眠っているお二人を、静かに看護師さんが見守っていた姿を思い出す。
その方が当時の玉村さんを「この人のような人生を送りたいという考えが増えるかもしれない」と話していたが、まさに現実的になった。
様々な理由で田舎暮らしを希望している人は増えてきている。
いいこともあれば、腹が立つことにも出くわす。それでも欲しいものを手に入れる、または手に入れて満足していればそれでよいと思う。
北アルプスを見ているだけで満足な私は、毎日その風景を背にして松本方面に通勤している。私が仕事をしている部屋には窓が無い。1時間もすれば息が詰まる。
そんな時には常念岳が見ることができる場所でしばらくボーッとしている。登山はしないが、山を見ていることが好きなのである。都会では得られない光景である。
休みの日に鎌を持ち、ひたすら雑草を刈って汗をかく。普段遭遇しないことに一喜一憂している自分がおかしく思えることがある。陽の入り方、風の流れ、鳥の囀り、草花の成長、せっかく自然に接しているのだから大いに味わうべきであると思った。
この雨続きで草花もいまひとつであるが、裏庭に萩(ミソハギ)が咲き始めたのを見て夏が短いことに少しがっかりしている。
完全に雑草を取り払うことはできないが、雑草との戦いが私のストレス発散法になっているような気がしている。
◆信濃木崎夏期大学◆
中澤 滋
大町市の会員Kさんから教えてもらい、倶楽部のメーリングリストで紹介した「信濃木崎夏期大学」に出かけてきました。
皆さんは行かれましたでしょうか?
プログラムを見ていくつか受講したいと思ったのですが、朝9時から午後3時までという長時間の講座なので、なかなか出かけられませんでした。でも、ようやく8月6日に夫婦で行くことができました。
さて当夏期大学は大正6年、地域における生涯学習の場として、また我が国初めての夏期大学として開設されたものです。以来戦時中も休むことなく続けられていて、今年は93回目になるという歴史あるものです。
私は近くにいるものの、この夏期大学のことを全く知りませんでしたが、案内を見て、日本を代表する講師の先生方、バラエティーに富むプログラム内容に驚きました。
私達が受講した講座は、聖徳大学教授・放送大学客員教授の徳丸吉彦先生による「音楽と他の音楽との関係を聴き取る」と題するものでした。
内容ですが、音楽が他の音楽を引用することについて、その理由を日本と西洋の音楽を中心に解説するものでした。スライド・動画とCDなど、豊富な事例と具体的な音と音楽の数々の紹介に、だんだんと引き入れられていきました。
初めはなじめなかった「間テクスト性」という言葉も、講義を聴くうちにだんだん理解できるようになりました。私の理解では、作曲者や奏者・その他音楽に関わる人達が、曲をより多くの人に親しんでもらいたい、広めたいといった欲求などから、この「間テクスト性」を知らず知らず、あるいは意識して利用している、といったものだと考えました。
一方、自然の音や鳥の声と音楽・文化との関わり、音楽の一部を「塊」にとらえてのスタイルの話は興味深く、オーディオメーカーにいた私には、音楽の構造や設計手法的な内容にも思えて、とても面白く聴きました。
また徳丸先生が嘆いていらした「全国どこの学校にもピアノがあるのに、三味線がある学校はほとんどない」として、戦後西洋音楽の普及に努め過ぎた結果、日本古来の音楽を教えることをしてこなかった我が国の問題点にも言及、自らの取り組み・提言などを交えた話もあり、私の考えていない事実も教えてもらいました。
なるほど信濃木崎夏期大学、大町市や北安曇郡内の人は無料、他の人でも500円という誰でも受講できる講座でありながら、その内容は濃いものだと思い知らされました。
係の人に聞くと、平均すると毎回の講義に200人ほど参加され、当日は天気も良くなかったものの150人ほどいるようだ、とのことでした。
また係の人は、「1年間このために動き回っている」、そんな話から、かなり力を入れているものだということも分かりました。
近くにこのような夏期大学があり、私達は幸せです。名簿を見ると、県外の方が何十名もいたようです。私達もそうですが、一度受講すると「また来年来たい」、そんなことになるようです。
まるで大きな寺子屋のような大正時代の建物や机が印象的で、クーラーもありませんが涼しく、開放的な造りから周りの木々の緑の中で勉強しているような、とても魅力的な教室でもありました。
来年は早めに予定を組んで、興味ある講座、あるいは全く知らない世界のことを知るため、信濃木崎夏期大学に来るつもりです。◆◆◆〜連載新企画始まる〜
運営委員の松田さんのアイデアによる、彼女がレポーターになっての会員紹介・近況報告を、今号から始めることになりました。
メールでの取材をはじめ、信州を良く旅行・観光する松田さんが、訪問先近くの会員さんへの取材を考えているようです。
皆さんの生の声を、松田さん独自の切り口で取材されると思いますので、お声がかかりましたらどうぞ協力をお願いします。〜安曇野からマツダが行く!〜
◆突然ですが、お邪魔します!◆松田 房代
倶楽部会員の皆様、この会報の紙面をお借りしまして新しい企画を始めたいと思います。
倶楽部内で一番出席率が悪い私・“マツダ”が、余暇を利用して倶楽部会員の皆様と交流を深めたい、と思いまして提案させていただきました。
長野県内を東奔西走・北から南へと、会員の皆様のお住まいの方面に遊びに出かけたいと思っております。様々な情報誌によるクチコミだけでは、イメージダウンすることも多々あります。そこは地元の強みで是非、お知恵を拝借させていただきたいと思います。
なお、某TV局でいきなり「泊まらせてください!」、という企画ではありませんので、どうぞご安心ください。
事前に手紙・メール等で情報収集をしますので、お住まいの情報をお知らせください。また、ご迷惑でなければご自慢の情報(ご自身の趣味やお住まい、ペット、etc.)等を、紙面に掲載させて頂きたいと思います。
これから移住を希望される方々にもご連絡させていただきます。少しでも情報がお役に立てばと思っております。
第1回の企画として、倶楽部代表の中澤さんご夫妻、運営委員の田中さんご夫妻にご協力をいただきまして、インタビューさせていただいた内容を掲載します。
今まで掲載されていた会報やプロフィールなどで、この二組のご家族のことはご存知でしょうが、視点をかえて質問をお願いした模様をお知らせいたします。
以下登場者は、マツダは“マ”、中澤さんは“中”のように記述していきます。◆◆◆
マ:突然の思いつきで今回の提案を快く承諾していただき、ご協力ありがとうございました。いきなり倶楽部会員の皆様に取材をすると言ってもどうしていいものか? 皆目検討つきませんね。そこで運営委員の方にご協力をお願いします。
まずは事務局の代表中澤さんにお聞きします。
「中澤さんは移住されて約20年になりますね。この20年で安曇野・もしくは信州が大きく変わったところはどのようなところですか?」
中:まず車の数が非常に増えたことがあり、農道などでは感覚的には倍くらいの車が走っているみたいです。
大型スーパーや店舗もどんどん増え、加えて田んぼ・畑が宅地化されてしまい、安曇野の風景がどんどん変わってきています。安曇野の良いイメージは名前だけになりそうです。
マ:私はこの土地に越してから10年を過ぎましたが、同じように感じます。「安曇野に住みたい」という人々が年々増加してますね。そのような方々抱く不安や心配ごとに対してこれからも是非アドバイスをお願いいたします。「掲載されていた雑誌や倶楽部の会報等でご苦労されたことなどありましたが、地元の方々とお付き合いするコツをアドバイスお願いいたします。」
中:人により地元の人との付き合い方は異なると思いますが、私達の場合は感じたこと・思ったことをはっきり言うようにしてきました。これは私達の生活スタイルで、都会にいるときと同じようにしてきたものですが、それで良かったと思っています。
その結果、地区町会長、町内公民館長という重職も任されましたが、それもまた人と知り合えることにもなり、結構満足しています。
「郷にいれば郷に従え」が良いのだ!、と決めつける人がいますが、そんなことはありません。もしも自分たちの我慢の上に付き合いがあるのであれば、それは本末転倒でしょう。
「ダメなことはダメ」とはっきり言うことが、他人に土足で家・心に上がられない方法だと思います。べったりではない、すこし距離を置く関係が、私たちには合っているようです。そして、そのような関係の人とは、長くお付き合いできています。
また何事もそうですが、自然体が基本だと思います。
マ:現実では古いしきたりや慣習は大切にするべきではあるが、新しいことを取り入れることも必要であるという意見を耳にします。
理不尽に思うことは都会から来た人だけが思うことでは無く、新しい世代の人々にも共感されてます。地元の人との関り方で不安を持った方、是非ご意見を頂きたいと思います。さて、移住されて2年目の田中さんにとって、現在の生活や倶楽部の運営でまだ慣れないことが多いかと思います。
ここで田中さんにお聞きします。
「倶楽部の会報・プロフィール等をお読みになって興味を持たれた方がいらっしゃると思います。特に興味があったジャンルはどのようなものですか?(ex:趣味・土地・年齢…)」
田:さすがに皆さん個性的です。小池さんや古田さんのコラムの読後は、俄然おもてを走りたくなってきます。言い様のない思いがこみ上げてきますね。
マ:今後、会の集まりなどで是非情報交換されてくださいね。逆に今後、田中さんのコラムを読んで共感される方がいらっしゃると思います。そのときはアドバイスをお願いいたします。
さらに奥様にお聞きします。
「長野県は教育県といいますが、実際にお子さんの通学で感じたことはありますか?」
妻:夏休みなどの長期休暇が短い事ですね。習い事(学習塾ではありませんが)スイミング・英語などをしている子が多い。
うちの子は低学年なので、授業内容では特に感じられませんが、挨拶などのマナーや地域とのつながりも大切にしている事に関心。
田:以前いた川崎と特に差異は感じないですね。多くの友達と接しながら、勉強ともども大いに学んでほしいですね。
マ:マナーといえば、映画館での子供たちがとても静かに鑑賞している姿には関心しました。逆に大人たちのほうがうるさくて、迷惑していることがありますね。
「ご自身の時代と比較して驚いたこと、関心したことはありますか?」
妻:給食の内容… ナンのカレーライスなど、レパートリーが豊富で美味しそう。
田:米飯率が高いですね。私の頃は学期末だけでした。重複ですがレパートリーに富んだイメージがあります。
マ:秋に学校給食で「マツタケご飯」が食べられる話題をニュースで見ました。私の母は羨ましさのあまり、「いいわね。でも子供にはもったいない」と言ってましたよ。
さらに奥様にお聞きします。
「お子さんの行事等で出かける際に、送迎はされますか?」
妻:小3の子に関しては、女の子ということもあって基本的に送迎しますが、近場の時はなるべく友達や姉弟と行かせたりするようにしています。
マ:「車での移動は以前と比較して多くなりましたか?」
妻:神奈川では電動チャリの前後に乗せていつも行動していましたが、松本では、遠方の行動の時は車、近場の時は徒歩か自転車です。基本的には、子供には徒歩で移動させたいです。
マ:長野では車が無いと移動が大変難しいと実感してます。けれども通勤時に目にする自転車通学する学生で、私の家付近から松本まで毎日通っている子もいれば、親が車で学校まで送迎しているという様々な光景を見ます。都会の便利さとの違いですね。
さて、これから移住を希望される方にとって仕事面での心配もありますね。私自身も仕事に付けるか?かなり悩みました。中澤さんの奥様にお聞きします。
「移住をきっかけにいままでの仕事、もしくは離れていた仕事に復帰される、または新しい職種で働くという方々に、是非アドバイスをお願いいたします。」
妻:基本的なことですが、新しい職場に入ったときはまず他の人となじむことだと思います。だんだん慣れたら、自分の考えなどを述べて、職場の雰囲気・環境作りに協力することも大切です。
都会のように、いろいろなところから人が集まる職場では互いに意見をぶつけ合うことがありますが、こちらの人にとっては苦手のようです。都会から来た人の言うことは興味があるものの、自分たちがやってきたことを否定された、と誤解することもあります。
もともと盆地気質というか閉鎖的なところがあるので、感情的なトラブルになってしまいます。
正しいことは正しい、と言いたいのですが、しばらくは我慢することも必要だと思います。
それから、どういう訳か飲み会が多いので、他の催しと同様できるだけ参加した方がよいと思います。
また松本と安曇野、近隣の場所でも職場の雰囲気は違うので、広い長野県では地域性も多いと思います。それぞれの場所で独特のものがあるかもしれませんので、頭に入れておいた方がいいと思います。
自分の意見を言わないのに、考えが硬くて、他の人の意見を受け入れられない人も多いように感じました。
「出身県でわかる人の性格」(草思社刊)でも、このあたりのことが少し紹介されているので読んでみてはどうでしょう。
マ:ありがとうございます。今後は私自身の経験談なども投稿させていただこうかと思っております。これから移住を希望される方、倶楽部会員の皆様に是非相談してください。
さて、最後に田中さんのお子さんにもお聞きします。
「いままででかけたところで一番好きな場所はどこですか?」
メグ(小3)…アルプス公園
理由は遊具の他に動物もいるから好き。
シュウマ(小1)…キャンプ場(かじかの森)
理由は友達の家族と行って、夜遅くまで思いっきり遊んだから。
マ:長野ならではの自然を満喫した場所ですね。「今年の夏休みはどう過ごしますか?」、次回また教えてくださいね。
さて今回、二家族の方々にご協力いただきましてインタビューさせていただきました。
質問の内容は私自身移住してきた際に地元の方々から聞かれたこと、または移住する前に周囲から心配されていたこと、自分自身が不安に感じていたことをお聞きしました。
今後は倶楽部会員の皆様と誌面を作っていきますので、是非ご協力ください。
- 編集後記
こちらへ住みはじめ、登山をしだしてから8月で1年。先日は山仲間の先達と2人で、中房温泉、燕山荘、大天井、東天井、横通岳、常念岳、蝶ヶ岳、三股という親しみのある常念山脈を日帰りで。また10月には大町フルマラソンと。
こんな最近なんですが、運動後、それも酷暑であればあるほどアイスキャンディーを買いにもう一運動してます。おとなも子供もアイスキャンディー。そんな今夏のわが家です。
※山の専門誌「岳人」の9月号(8/15発売)202pに寄稿文が掲載されましたので、よろしければご一読ください。(田) ●●●
今年も「サイトウキネンフェスティバル」の時期となりました。チケットが購入できなかったので諦めていたところに朗報が…。
なんと数分で完売したチケット1枚を譲っていただくこととなりました。席もよく¥23,000の理由が納得できる場所です。地元の人に声をかけていた甲斐がありました。
当日、何を着ていこうか? 思案中です。チケット買えなかった人、ゴメンナサイ。(松) ●●●
今年は太平洋高気圧におおわれた、いわゆる本当の“夏”がなかったようです。今は残暑らしい気温というものの、オホーツク海高気圧の張り出しが続いているので、気温は高いものの爽やかな感じです。過ごしやすいですが、ちょっと物足りない夏でした。
我が家では今頃になって朝顔が咲いていて、庭にコオロギを見るようになり、とうにヒグラシの声も聞こえなくなりました。異常気象は温暖化のせい、と言う根拠も怪しいもので、各国政府・メディアが意図したものだ、との意見も聞かれます。
何が本当かはいずれ明らかになると思いますが、私の関心事は「この冬はどうなるのかな」そんなところです(笑)。(中)
●会報目次●
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