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1999.12 No.72  発行 1999年12月10日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。
インターネットでは主な記事を紹介します。

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■走行中の窓ガラスにひび/山陽新幹線で相次ぐ
■インフルエンザワクチン足りず/昨年の大流行で希望者殺到
■国民投票で原発全廃決定後、初の閉鎖へ/スウェーデン
■子供の誤飲は予防が大事
■土壌ダイオキシン/こどもの遊び場の基準設けず
■フロンの回収進まず/法規制がないため?
■会計制度改革の波紋/2000年からの時価会計導入で
■病院の広告規制緩和/厚生省方針、来秋から
■駅に保育園/JR東日本、神奈川の2駅で


11月のニュースから

■走行中の窓ガラスにひび/山陽新幹線で相次ぐ

 山陽新幹線では走行中の車両の窓ガラスにひびが入るトラブルが10月から相次いでいます。今月7日午前11時35分ごろ、新岩国−広島間を走向していた博多発新大阪行きこだま626号の5号車の窓ガラスに直径約30センチのクモの巣状のひび割れがあるのを乗客が見つけ車掌に連絡しました。同日午後6時5分ごろには東広島−三原間を走行中の広島発大阪行きひかり360号の1号車の乗客が「バシッ」という異常音で窓ガラスに付いた直径約8ミリの傷2カ所を発見しました。 8日午後1時15分ごろ、福山−新倉敷間を走行中の博多発東京行きひかり112号で、7号車2階席の進行方向の窓ガラスがひび割れているのを乗客が見つけ車掌に伝えました。この事故の原因とは特定されていませんが、同日午前8時45分ごろ厚狭−新下関間の埴生トンネル内を走行中の広島発博多行きこだま567号から「トンネル側壁から照明器具のような物が垂れ下がっている」と、新幹線総合司令室に連絡が入っています。JR西日本で調べたところ、同トンネル内の側壁から長さ約3メートルのビニール製の漏水用といが垂れ下がっていたのが発見されました。
 1週間後の15日午後零時20分ごろには、岡山−相生間を走行中の博多発東京行きひかり110号の9号車の乗客が、窓ガラスにひび割れがあるのに気付き車掌に届けています。車掌が調べたところ、進行方向右側の窓ガラスの下側部に横一線に波形を描くようにひびが入っていました。
 これで10月21日以降山陽新幹線の窓ガラスにひびや傷が入るのは、7件目となりましたが原因はいずれも分からないままです。いずれの事故もひび割れした窓ガラスは3層構造となっている一番外側のガラスで、現場でテープを貼るなどの応急的な措置が可能なことから大事にはいたっていませんが気になるものです。JR西日本では「山陽新幹線では飛散防止のため採石(バラスト)を樹脂で固めてあるので採石が原因とは考えにくい」といっていますが、この時期に集中して窓ガラスのひびが相次いでいるので、原因を早急に調査し乗客の心配を払拭してもらいたいものです。

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■インフルエンザワクチン足りず/昨年の大流行で希望者殺到

 今年は昨年の2倍以上の350万人分のインフルエンザワクチンが生産されましたが、各地の病院からは「予防接種用のワクチンが手に入らない」という声が上がっています。 予防接種は2回行うのが原則ですが、ワクチンの供給が滞っていることから1回目を受けた子供向けに2回目のワクチンを確保するのが精一杯として、新規の予防接種を断る病院もでてきました。また大人には過去の感染による免疫があるため、「できるだけ多くの人に接種するため、2回目の方はご容赦ください」との張り紙を掲げる病院もあります。
 ワクチンメーカーは現在5社ありますが、このうちデンカ生研は急きょ原料の卵を取り寄せて15万人分を増産することにし、来年1月早々には出荷するとしています。
 昨年はワクチン不足といわれながら、結果的には5万人分以上が返品された経緯があることから、厚生省では今月17日付で、日本医薬品卸売業連合会にワクチンの偏在をなくすため卸売業者間で融通し合うよう文書で要請しました。
 どの程度の供給量が適正かは把握しづらい面がありますが、子供や老人など抵抗力のない人は早めの対応(予約?)が必要ということでしょうか。

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■国民投票で原発全廃決定後、初の閉鎖へ/スウェーデン

 スウェーデンでは1980年の国民投票で2010年までの原発全廃を決定していましたが、その後の経済的な理由などから廃止期限を先送りし、段階的な廃棄の道を歩んでいます。原発廃止の第一歩として、今月30日中に現役の原発が初めて閉鎖されることになりました。運転を中止するのは、同国南部で稼働中のバーシェベック原発1号機で、1975年の運転開始以来大きな事故はなく、今後も5年以上の営業運転は可能と見られているものです。同機を運用する民間電力会社シドクラフトでは同機の廃止決定後、最高裁と欧州委に閉鎖差し止めの法的措置を求めていましたが、12月2日の新聞では同原発は12月1日午前零時前に運転を停止したと報じられました。
 現在同国には12基の原発があり、発電量の約46%を担っていますが、全てを効率的な新エネルギーに切り替えるめどは立っていません。しかし原発の有用性や有効な代替エネルギーが現状無いことから「原発が必要だ」とする考えではなく、将来にわたる国民生活で負担が増える懸念があるものの国民の声を尊重した政策は評価したいと思います。前途は決して明るくはないのですが、危険のリスクは1つ減ったようです。

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■土壌ダイオキシン/こどもの遊び場の基準設けず

 環境庁は25日、砂場など子供の遊び場となっている土壌中のダイオキシン濃度の調査結果を発表しました。最高値は1グラム当たり54ピコグラムで同庁が近く設定する土壌の環境基準1,000ピコグラムやこれまでの調査結果に比べて低いため、「健康に影響はない」とし、ドイツが定めているような子供の遊び場を対象にした特別の環境基準は設定しない方針を固めました。
 調査は今年9、10月に全国354カ所の児童公園や保育所、幼稚園で実施、実際に0−6歳の子供が土遊びをしていた砂場や運動場の土壌を採取して行いました。その結果、最高54ピコグラム、最低は0で平均値は1.1ピコグラムとなり、環境庁が9月に公表した一般土壌調査の最高61ピコグラム、平均値6.5ピコグラムを下回ったものです。
 子供の遊び場が一般土壌と同じでいいかどうかを考えるときに、日常的に土との接触が数倍以上の場合、安全度を見てドイツと同じように十分の一くらいの基準が妥当と思われるのですが、どうでしょうか。現在調査した箇所のダイオキシン濃度が低くいので「基準値は不要」とする考えはどうなのでしょうか。
 基準値は規制値ではなく、人の健康に対し現在考えられるあらゆる要素を分析して望ましい値を定めるのが目的だと思います。環境ホルモンなどの影響が今後どのように出てくるか分からないからこそ、指針となる基準を定めてもらいたかったのですが…。

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■フロンの回収進まず/法規制がないため?

 オゾン層破壊を防ぐため1995年末までにフロン(クロロフルオロカーボン=CFC)の生産が全廃されましたが、CFCの回収が進まず大気中に放出され続けています。CFC生産のピークだった88年、89年に製造された冷蔵庫やカーエアコンなどの廃棄がこの数年集中しますが、通産省が9月に公表した1998年度調査では、CFCの回収率は、家庭用冷蔵庫で29%、カーエアコン12%、業務用冷凍空調機器56%にとどまっています。米国、英国、ドイツなどは90−91年に法律でCFCの回収を義務付け、放出には高額の罰金(米国では2万5,000ドル)を科しています。日本ではオゾン保護法でCFCの排出抑制を規定していますが、罰則がないため回収が進んでいないようです。
 中小零細事業者の多い回収業者では、排出者(客)が負担する処理費を上乗せすることも競争上できず、結果的に儲けにならない回収は行えないのが現状のようです。これは自治体が粗大ゴミで処理した家庭用冷蔵庫での回収率が77%と高いのに、新規買い換えで家電販売店などが引き取ったものは5%に過ぎないというデータにも現れていて、市場原理任せでは回収が進まないことが示されていると思います。
 2001年に施工される家電リサイクル法には冷媒フロンの回収義務が初めて盛り込まれますが、全体のCFC放出量から見ると微々たるものです。廃棄自動車のエアコンからは年間1,200トンのCFCが回収できるといわれていますが、実際に回収されているのは昨年の実績で140トン足らずです。このような状況下、兵庫県や神奈川県などでは条例でCFC放出に対し罰則を科し、独自の回収システム作りを目指していますが、回収を急ぐには国レベルの規制が必要との声が高いといいます。
 罰則がない法律では目的を達成しないことは十分予見できるのですが、結果オーライではなく発車オーライの法律ということでしょう。ところで行動目標が達成できないときには見直しと是正が必要になりますが、環境に優しい企業ではこの現実をどのよう対処すべきか、いい知恵を出してはくれないのでしょうか?

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■病院の広告規制緩和/厚生省方針、来秋から

 厚生省は26日、医療機関の広告規制を緩和する方針を決め、新たに対象とする項目の検討を医療審議会に提示しました。学歴など医師の個人情報や保有している医療機器の種類、得意とする診療分野などが新しい項目です。新広告規制は医療審の審議を経て来年の通常国会に医療法改正案を提出、来年秋から実施するとしています。
 現在病院では診療科名、医師名、診療時間などを公表することが認められていますが、患者の知りたい医療の質に関わる情報はほとんどありません。人の評判だけでは誤った情報や個人差もあることから信頼性が低く、実際に病院にかかってから初めてその質が分かるものです。これは商品を購入してから不具合が分かるということと同じですが、返品や交換ができない患者(顧客)の満足度はギャンブルみたいに当たり外れがあります。
 けがをして近くの病院に救急でかかる場合も、当直医が内科の医師ではとても目立つ痕が残ることがあり、脳外科の医師に当たればとてもきれいに縫ってくれるなど、その差は非常に大きいものがあります。このようにブラックボックスのような病院ですが、今回の厚生省方針で少しは外から見やすくなるかもしれません。特定の病気の手術件数や対応可能な外国語などの情報があれば、病院の選択にも幅がでてきます。しかし手術の成功率などのデータは、客観的な検証が難しいとのことで引き続き禁止するとしているのが残念です。
 あるいは、「当院では過去に訴訟問題を起こしたことがありません」という広告があってもいいと思うのですが…。

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