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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。
インターネットでは主な記事を紹介します。
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■運転士がATSを勝手に解除/JR西日本、今年1月と5月
■ATCカバーのカギが紛失/JR西日本、博多新幹線列車区
■山陽新幹線、11時間立ち往生/徳山−小郡間、5人入院
■山陽新幹線、保守車両が衝突・脱線/神戸、作業員3人重軽傷
■携帯電話、汗で通話不能/国民生活センター調べ
■改革へ最終報告/患者取り違えの横浜市大病院
■信大病院のカルテ開示/8月に2件の請求
■空き瓶リサイクルに各社乗り出す/ウイスキー、ワインボトル
■バリアフリー歩道へ/建設省、基準見直し
■商品の満足度ホームページで紹介/ネットエイト
9月のニュースから
■運転士がATSを勝手に解除/JR西日本、今年1月と5月
JR西日本の運転士が今年1月と5月にATS(列車自動停止装置)を勝手に解除し、信号を無視していたことが19日までに分かりました。ATSを解除することはJRの社内規定で禁止されていて、近畿運輸局はJR西日本を厳重注意しました。
JR西日本によると、5月21日午後10時頃、東海道線大阪駅構内で、姫路発野洲行き新快速電車の運転士が駅直前の赤信号を隣の黄信号と見誤り、そのまま運転を続けたところATSが作動して電車が自動的に止まりました。ところが運転士は「黄色信号で電車が止まるのは、ATSの故障」と勝手に判断、新大阪総合司令室の指示を仰がず、ATSを解除するスイッチを押して赤信号のまま直進してしまいました。
ところが信号機から約130メートルのポイントにさしかかると、予定と違う線路に電車が進入したため運転士があわてて手動でブレーキをかけて止めました。このときにポイントを破損しただけで済んだのですが、運転士が目視に頼らざるを得ない危険な状況を作ってしまったことになります。
一方1月13日の事故は午後7時20分頃、東海道線尼崎駅で発生しました。松井山手発西明石行き普通電車の運転士が、尼崎駅に入る直前の赤信号を見落として直進したところ、ATSが作動して電車が止まりました。ところが運転士は赤信号を見ていないため、その直後にATSを解除して運転を始めました。このときは特に被害は出なかったようですが、すぐには止まれない電車を動かす危険性を考えると恐いものがあります。
緊急回避の場合を除いて通常の安全システムでは、ぎりぎりのところで異常を検知して安全装置を作動させるのではなく、冗長性(余裕)を持たせているのが普通です。尼崎の事故では、運転士が黄色信号の認識のもと、目の前に危険がないことからATSの故障と判断、ATSを解除して運転を続けたものです。同じように大阪駅の場合も赤信号を見ていないため、ATSがなぜ作動したのかを疑問視する態度がありました。機械やシステムの警告を無視し、自分の目で見ないことにはルールを破っても納得しようとしない困った人達です。人間のエラーを助ける安全システムへの認識が欠けているとしか思えません。機械システムが発する警告や動作に対し、「なぜなのか?」と問いかけるのは誰でも考えますが、公共交通機関などで大勢の人の命を預かる立場では、一人で考えることの危険性を認識しなければなりません。
今回の2人のような運転士がたまたまいたとは考えにくく、JR西日本のマネージメントのどこかに欠陥があるのではないでしょうか。
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■ATCカバーのカギが紛失/JR西日本、博多新幹線列車区
JR西日本博多新幹線列車区(福岡市博多区)で6月末、新幹線の速度などを管理するATC(自動列車制御装置)カバーのカギを紛失しました。新幹線は通常自動で速度を制御しますが、「トラブルなどが発生した場合は、ATCを解除して手動に切り替える」とJR西日本では言っています。今回紛失したのは、ATCの手動運転切り替え装置の保護ケースのカギだということです。
6月末、福岡地方を中心とした集中豪雨で、列車が止まるなど混乱した際にカギが紛失したようですが、7月になってJR篠栗線門松駅(福岡県粕屋町)にこのカギが届けられていたことが23日に分かりました。門松駅の駅員によると7月8日頃、高齢の男性がカギの入った茶封筒を「拾った」と言って駅に持ってきたもので、封筒には切手が貼ってあったものの差出人の名前はなかったといいます。
「列車のセキュリティーに関することなので詳細は答えられない」とは、JR西日本福岡支社広報室の弁ですが、この言葉に使われているセキュリティーを、気に?している会社としては、まことにお粗末な一件でした。
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■山陽新幹線、11時間立ち往生/徳山−小郡間、5人入院
24日午後8時頃、山陽新幹線徳山−小郡間の上下線で停電となり、岡山発博多行きのひかり395号が立ち往生する事故が発生しました。このため後続の博多行き3列車も同区間でストップしたのですが、これら4列車はその後3~5時間も停電してしまい、乗客およそ2,000人は照明、冷房が切れた蒸しぶろ状態の車内に閉じ込められました。この事故で一時、広島県三原駅以西では下り線に計29本の列車が止まる事態となり、乗客計約8,000人が迷惑を被りました。
JR西日本では、まもなく送電が再開した上り線の列車を動かし、停車中の395号と後続の2列車に横付けして乗客を運び出しました。約1,500人の乗客を岡山駅まで運び、体の不調を訴えた高齢者ら8人を病院に搬送したのですが、5人が入院してしまいました。JR西日本では、395号のパンタグラフに、強風にあおられた木のツルのようなものが巻き付き、ショートしたのが原因と見ています。下り線の395号は25日未明にようやく動力機能が回復、後続車を連結するなどして同日午前6時50分頃、約11時間ぶりに動き出しました。
客を蒸し暑い車内に長時間閉じ込め、入院者が出るような事態に何か回避手段はなかったのでしょうか。ディーゼル機関車を現場に向かわせて乗客を搬送するとか、列車を牽引するとか、等々。上り線の電気が復旧したからまだ良かったものの、電気が復旧するまで事故対応が何もできないようではあまりにも日和見的で、公共交通機関としての責任が全く感じられません。乗客の被害・迷惑を肌で感じない企業体質でもあるのでしょうか。一般にどのJRもそのようですが、事故時の乗客への対応が適切でないとの批判が聞かれます。
この事故で中国運輸局は25日、「復旧に時間がかかりすぎた」、「駅間に長時間乗客を乗せたままにした」、「乗客らへの情報提供が不適切だった」として、JR西日本に対し異例の警告書を出しました。当然のことでしょう。
しかし9月はJR西日本の安全・危機管理の悪さが目だつニュースが多く、まだ続きます。
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■山陽新幹線、保守車両が衝突・脱線/神戸、作業員3人重軽傷
27日午前4時半頃、神戸市西区の山陽新幹線神戸−西明石間の上り線で、保守用車(12両編成、乗員18人)に後続の保守用車(8両編成、乗員4人)が追突し、双方の計3両が脱線しました。このため、追突された車両に乗っていた作業員が肋骨を折るなどの重傷を負い、2人が顔などにけがをしました。同新幹線は始発から新大阪−姫時間で上下線とも運転を見合わせ、午前8時すぎに復旧、運転を再開しました。
原因は調査中ですが、JR西日本や兵庫県警神戸西署では、枕木の交換を終えた保守用車が、六甲トンネルの保守作業を終えて停車していた、前の保守用車に追突したものと見ています。
山陽新幹線では昨年9月にも、相生−岡山間で保守点検用作業者がバラスト散布車に追突、脱線させる事故が発生しています。このときは運転士の居眠りが原因で、業務上過失傷害などの疑いで運転士と現場責任者が岡山区検に書類送検されています。
近畿運輸局では相次ぐJR西日本のトラブルに対し、今回も警告書を出したのですが、相変わらず原因究明や再発防止策の確立を求めるだけです。JRの場合は一般の企業と違って、社会的な混乱の大きさから業務停止命令などは出せないのですが、経営陣の一掃を求めるなど管理責任を厳しく追求して欲しいものです。このような不祥事が続くと、2000年対策は万全だとして、年末の列車を通常ダイヤ通り運行させるJR西日本の安全ポリシーも、果たして評価に耐え得る裏付けがあるのか疑問視されます。利用される人は注意したほうがいいでしょう。
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■携帯電話、汗で通話不能/国民生活センター調べ
携帯電話を水に直接ぬらした覚えがなくても、汗などの水分が本体内に進入し、通話不能になるケースがあることが6日、国民生活センターの調査で分かりました。同センターによると、94〜99年度に携帯電話の水ぬれに関する苦情・相談は101件あり、このうち52.5%の利用者は「水にぬらした覚えがない」としています。このため同センターでは今年5月時点での4社の最新5機種を2台ずつ、計10台で汗や結露の影響を調べるテストを行いました。
テストは汗でぬれた胸ポケットに携帯電話を入れた場合を想定し、人口汗液で湿らせた体温程度の布に接触させて1時間ごとに測定、計80時間接触させて行いました。この結果5機種10台のうち4機種5台が通話不良になり、2台とも通話できたのは1機種だけでした。
夏場、カバンを持たない人は携帯電話をワイシャツなどの胸ポケットに入れることは容易に想像できると思うのですが、取扱説明書では「湿度の高い場所では使用しないでください」などの一般的な表記だけで、具体的に汗による「水ぬれ」について言及したのは皆無でした。ところが携帯電話には、水ぬれするとにじむ仕組みの「水ぬれ判定シール」が本体内部に取り付けられていて、客が持ち込んだ修理機に対し「水にぬらしたための故障で、修理できない」と断ったり、安易に買い替えを勧めるケースもあるそうです。
消費者側からは不具合とも思える、製品の構造的な問題を注意しない(このことを思いつかなかっただけだと考えますが…)反面、企業の経済的な負担である保証期限内の修理を抑える方法は、ちゃっかり行っているのです。PL法施行に伴い、注意・警告表示は量的には増えましたが、今回のケースは具体的に製品の置かれる環境を想定してない(ユーザーの立場に立っていない)、取扱説明書の質が向上していないことの現れでしょう。どの製品群でも使える一般的な注意・警告ページをワンセット作れば、「取扱説明書のPL対策は終了した」とする企業の怠慢の結果でしょう。
しかし大手企業の作る携帯電話の中にあって、5社中1社くらいはまともな会社があっても良かったと思うのですが、この程度なのでしょうか…。情けない気がします。
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■改革へ最終報告/患者取り違えの横浜市大病院
横浜私大病院の患者取り違え事故はまだ記憶に新しいのですが、同病院では7日、現在は医学部教授が兼任している病院長を専任とすることや、病院運営などについて外部の専門家に評価してもらうシステムを導入することなどを柱とする、病院改革の最終報告書を公表しました。学内の委員会がまとめたもので、近く厚生省と文部省に提出するとしています。
具体的には、各診療科から独立した安全管理の専門部門の設立や、医療事故の防止をテーマにした職員研修を取り入れることを求めるなどしています。安全管理部門の権限と、院内の管理が十分であるかを客観的に捉えるための行動(内部監査および第三者機関の評価)を、今後どの程度取り入れていくのか興味があります。横浜市大の不祥事として大きなニュースになったのですから、同院が中心となり全国の主要病院間で安全の相互監査、評価・提言を行うネットワークの構築や機関の設立など、社会的に貢献する行動も期待したいものです。
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■信大病院のカルテ開示/8月に2件の請求
信大病院(松本市)は1日、科長会を開き、同病院が7月1日に全国の国立大病院に先駆けて始めたカルテ開示制度について、8月中に県内の男性2人がX線フィルムを請求したことを報告しました。同病院によると、カルテ開示を請求したのは同病院に入院し外科手術を受けた県内の70代と40代の男性です。また科長会では文部省と協議して決めた患者の負担金についても報告があり、カルテのコピーは1枚11円、X線フィルムは一番大きなサイズを1枚569円と設定したことを説明し承認を得たといいます。
始まったばかりの新しい制度ですが、すでに2件の請求があったというのは、医療情報に対する関心の高さを感じます。同病院では患者の声をできるだけ聞くよう心がけているといい、カルテ開示の窓口を設けて対応しています。
静岡県浜松市の私立の総合病院、聖隷三方原病院など一部の病院の取り組みのように、患者に主治医以外の別の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を勧める動きが出てきています。「セカンドオピニオン」の前提条件でもあるカルテなどの情報開示は、今後ますます必要となるでしょう。最近話題になる多くの医療事故で不信を感じる患者と病院の信頼関係を築くためにも、客観的な情報が大事です。
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■バリアフリー歩道へ/建設省、基準見直し
建設省は10日、車いす利用者や視覚障害者などでも通行しやすいバリアフリー歩道の構造基準を策定しました。道路法に基づき歩道の幅やこう配、段差などを細かく取り決めたもので、26年ぶりの構造基準の見直しとなりました。
新基準は「歩道内は自動車が駐車場に入るための坂がある場合でも、内側に1メートル幅以上の平坦部を確保する」、「歩道内のこう配は車道と平行する縦方向に5%以下、排水のためのこう配は横方向に2%とする」、「横断歩道などに出る際の歩道と車道の段差は2センチで、歩道内には段差を設けない」などが定められました。
これから道路を作る際の指針となるもので、ようやくといった感じですが、まずは進歩として評価したいと思います。しかし既存の道路・歩道の改修などにどの程度反映されるのか気になります。今現在多くの人が困っている歩道をどのように改修するか、そちらの方に興味があります。歩道の幅の狭いのは物理的な制約が多く簡単には直らないと思いますが、車の出入りのための歩道横方向の急斜面は早急に何とかしてもらいたいものです。
馬力の小さな車いすの人に負担を強いるよりも、馬力の大きい自動車に多少の段差を我慢してもらう方が、社会全体の環境負荷低減になることだと思います。
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