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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。
インターネットでは主な記事を紹介します。
「定期購読について」
■熱交換機に構造欠陥/敦賀原発事故
■金属ボウルから火災/再現実験で断定
■相次ぐ院内感染/厚生省、科技庁、調査へ
■トルコ大地震/各国救援隊の活躍の差
■レース中の脱落車輪を繊維で防ぐ/F1、インディに採用
■「ディーゼル車NO作戦」/東京都のキャンペーン
■環境負荷の少ないモミ殻容器/農業資源再生化協、中国から輸入
■2000年問題/列車の運行に差
■10月1日からの新計量単位/低い中小企業での認知
8月のニュースから
■熱交換機に構造欠陥/敦賀原発事故
敦賀発電所2号機で7月12日発生した再生熱交換器の中段と下段をつなぐ配管から一次冷却水約51トンが漏れた事故は、配管部の熱疲労が原因とみられていましたが、日本原子力発電は2日、その後の調査で再生熱交換器の構造欠陥が引き起こした事故であると発表しました。原電は30日、再生熱交換器の胴体部に「スイッチング現象」と呼ばれる熱膨張による変形が発生し、配管に流れ込む高温と低温の冷却水の分布が周期的に変化、熱疲労による亀裂が生じた可能性が高いとする調査結果を公表しました。
「何らかの原因で配管部の熱疲労により亀裂が生じた」、という結論で終わらずに、真の原因が明らかになったことは幸いです。原電の発表した「スイッチング現象」のメカニズムは次のようなものです。
まず再生交換器の外筒と内筒のすき間が設計よりも1ミリ程度広かったことから、内筒の中を通る低温の冷却水が予想より少なく、温度が約15度低い約170度まで冷やされていました。このため内筒の外を通る高温の冷却水(250度)との温度差が大きくなっていました。また内筒と外筒のすき間が不均一で上部が広くなっていたことから、そこに高温水が流れて外筒の上側を温めてしまいました。その結果外筒上部の金属が伸びて筒がたわみ、内筒が上部に移動して上側のすき間が狭くなります。すると、すき間が広がった下側に高温水が流れて筒の下側が温まり筒の変形が元に戻る、ということを約10分間隔で繰り返したようです。
原電が敦賀2号機の運転を開始した80年代半ば当時は「スイッチング現象」が起きることは知られていなかったということですが、常に最新の科学技術に裏打ちされた安全確保が必要な原発としては、適正な安全審査や定期点検を行ってきたのか疑問が残ります。現在は内筒を使わない構造が主流ですが、北海道、関西、九州の各電力会社が、似た構造の原発を運転しています。11月にも高浜4号機でプルサーマルを実施する予定の関西電力は「型が同じでも、再生熱交換器は基本的にはオーダーメイドで、筒の長さや水の流れ方などは個々の原発で異なる」とし、「高浜4号機は今年夏の定期検査で配管の健全性を確認しており、プルサーマルに影響が出るとは考えていない」と強調しています。どうでしょうか、今回の事故を教訓とする検査は行われて無いような気がしますが…。
また原発の定期点検は100日程度行われていたものが、ここ数年は40日程と点検日数を短くして運転時間を延ばすコスト優先経営となっています。最近発表の総理府世論調査でも国民の7割が原発に不安を感じていることから、安全性確保の客観的なデータが必要でしょう。
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■トルコ大地震/各国救援隊の活躍の差
トルコ大地震では世界各国から救援隊が派遣されましたが、人道的立場からトルコと関係の悪いギリシャやロシアからの救援もありました。また、韓国からの救援隊の「我々は朝鮮戦争で来てくれたトルコ人を忘れてはいない」という言葉に、トルコ人が感激したというニュースもありました。
我が日本は最初に援助の名乗りを上げる素早い対応で、40人のチームが現地に駆けつけ、彼らの仕事ぶりが期待されました。しかし日本チームは1週間で生存者1名と6遺体の発見にとどまり、生存者1名を救助したニュースだけが大きく取り上げられました。そのためか「日本チームは良くやった」と思っている人も多いことでしょう。
しかし現地に住む日本人が見た実体は少々異なり、考えさせられるものがあります。緊急援助ということで、イスラエル、ドイツなど多くの外国人部隊が夜も活動を続け、何十人という単位で生存者を助けました。それに比べ、日本チームはなぜか1名の救出しかできませんでした。その原因として、日本チームの救助活動は夕方で終了、夜は活動しなかったことが挙げられています。阪神大震災を経験した日本からの救援隊には期待がかけられたのですが、テントに寝て汚れた仕事のできる本当の救援隊ではなかったのです。これでは限られた時間内に多くの人を救助することを、最初から放棄したことと同じでしょう。「救援隊を素早く派遣したことで、日本の責任が果たせた」とでも考えているのであれば、とんでもないことです。
テレビなどのメディアが、この実体を流さないでいるのも気になります。我が国のメディアは、国際社会の中での日本や日本人について、良いニュースに偏って報道する傾向があるようですが、これでは我々日本人・企業・国は、ますます危機管理のセンスが鈍くなりそうです。
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■環境負荷の少ないモミ殻容器/農業資源再生化協、中国から輸入
農業資源再生化推進協議会(福岡市博多区博多駅中央街5-11、電話092-472-6111)は中国の江西環保宝餐具有限責任公司(江西省)が製造するモミ殻製容器の普及を始めます。今年末から輸入を開始、現在6カ所ある九州、関西支部を通じて食品トレー、カップめん、納豆メーカーなどに提供するとしています。この容器はモミ殻を粉砕した原料とのりをプレスで固めたもので、水に浸けたままでも1カ月は形状を保ち、電子レンジでも使用できます。製造コストも発泡スチロール製容器と同等で、廃棄後は微生物により分解される環境負荷の少ない容器です。イベントでは、果物の絞りかすで作った容器を使うこともありましたが、普及していません。このトレーの今後の普及が望まれます。
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■2000年問題/列車の運行に差
JR東日本は今年12月31日から2000年1月1日に日付が変わる年越し時間帯に、走行中の旅客列車約250本のほぼ全てを一時的に運転停止し、最寄りの駅に止めることを決めました。ところがJR西日本は年越し列車約150本を通常ダイヤ通り運行すると発表し、帝都高速度交通営団(営団)も通常運転すると発表しました。
鉄道各社の対応が異なりますが、JR東日本は「自社のコンピューターは改修し万全の対応をとっているが、社外からの電力供給などが止まる危険性もある。万が一異常があったときに、列車が駅と駅の間で止まって混乱するのを防ぐため」と説明しています。一方JR西日本は「9月中には全システムの点検を完了する見通しのため」、また営団は「ソフトの改修やシステムに問題ないことを確認した」というのが理由です。
列車を一時停止することのリスクは客の苦情だけで、他の災害や事故があっても地上に避難できるのは大切なことです。また、社会問題になった2000年問題の対応であれば乗客も納得し、「安全優先」を評価する声も聞かれるかもしれません。したがってJR東日本のリスクは小さいものと考えられます。
一方、「対策は万全」とする他の2社は、一時停止しないときのリスクをどの程度検証したのでしょうか。「想定していなかった」などの言葉は事故が起きてからよく聞かれることですが、駅と駅の間で停電した列車内の何万、何十万もの乗客を思い描けばリスクの大きさは分かるものです。チケット払い戻しだけで責任が回避できると思っているのか、あるいは対策への自信をアピールしたいだけなのかもしれません。安全問題については、もう少し謙虚であって欲しいものです。
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■10月1日からの新計量単位/低い中小企業での認知
天気予報の「ミリバール」が「ヘクトパスカル」になり、周波数の単位が「サイクル」から「ヘルツ」となるなど、計量単位がいつの間にか変わってきています。これらは92年の計量法改正で国際単位系(SI)へ移行することが決まったからですが、最後まで残った分野の猶予期間がこの9月末で終了します。重力単位系中心の9分野は、現行の重量キログラム(kgf)からニュートン(N)へ、熱量のカロリー(cal)はジュール(J)に変わるなど新旧単位での換算関係が生じることから猶予期間が最長の7年が当てられていました。
各工業会では早めの対応を呼びかけてきたのですが、バネ工業会のように不安を感じているところもあります。同工業会では4月に東京で通産省の担当者を招いて説明会を開き、各社の対応状況を把握するためのアンケートも実施しました。ところが図面・品質管理帳票類について自動車メーカーなど顧客からSI化の要求があったかどうかを聞いたところ、半数以上が「いいえ」の答だったといい、大手企業でも部品メーカーへの対応は異なっているようです。
10月からは旧単位を使った取引や証明などは禁止され、違反者は社会混乱の元であるとして50万円以下の罰金が科せられます。そのためここにきて企業間の取引に関わる契約書、証明書や仕様書など改訂するなど動きが活発化しているようです。ただ旧単位の計量器でも、測定した値をSI単位に換算することで使用可能なため、具体的に何を行ったらいいのか混乱している企業もあるようです。いずれにしても測定ごとに換算することの煩わしさやミスの誘発、あるいは取引先との換算値の取り決めなど、早めの対策は必要でしょう。
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