[ ASP ホームページ ] [ ASP
news ]
ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。
「定期購読について」
■国内初の薬害PL訴訟審理始まる/名古屋地裁
防止
■回送列車にはねられ作業員5人死亡/JR山手線貨物線
■新幹線の飲料水が細菌汚染/昭和薬大グループ調査
■PCB吸収・分解植物を開発/太平洋セメントと国立環境研究所
■国内の廃棄物全体の6割が 生物系廃棄物など/生物系廃棄物リサイクル研究会報告
■中古車の返品、交換も可能/長野日産、日産サニー松本、国内初のサービス
■誰でも使える定期券/札幌市が新サービス
■2000年問題の影響、対処は?/急がれる各方面での対応
■2000年はうるう年?/2月29日問題
2月のニュースから
■国内初の薬害PL訴訟審理始まる/名古屋地止
名古屋市の2人の女性が、昨年10月に名古屋地裁に起こした国内初の薬害による製造物責任(PL)を問う裁判で、2月1日に開かれた2回目の公判で審理が実質的に開始されました。裁判は漢方薬を服用して副作用が起きたとして、この薬を輸入販売した業者を相手に損害賠償を求めているものです。訴えでは92年から95年にかけて医師から処方された冷え性に効くという漢方薬を飲んだところ、慢性腎不全を発症したとされています。
厚生省ではこの漢方薬と腎不全の因果関係を認めています。また同省は93年、医薬品について「副作用による有害性の程度が、その医薬品の有効性を考慮してもなお許容されない場合」に医薬品の欠陥があるという見解を出しています。したがって薬の効果とその副作用を客観的に評価することで、“製品”に欠陥があったかどうかが判定できるはずです。
しかし「副作用は製品の欠陥と考えられる」という原告側に対し「医薬品に副作用はつきもの。予測はできなかった」とする被告側の隔たりは大きく、薬の添付文書やカルテなどの医療情報の開示が不十分な現状で、どのような裁判所の判断が下されるのか注目されます。
[目次へ]
■回送列車にはねられ作業員5人死亡/JR山手線貨物線
21日午前零時10分頃、東京都品川区のJR山手線貨物線下り線で、工事をしていた「大和信号工事」の作業員5人が臨時回送列車にはねられ全員が死亡しました。調べによると作業員5人は21日午前零時頃、JR山手線目黒〜五反田駅間の貨物線路内で、信号電線の取り替え工事のために資材を運んでいる際、後ろから来た臨時列車にはねられたものです。
臨時列車は同日午前零時7分に品川駅を出発、山梨県内の中央線小淵沢駅に向かう途中でした。現場はカーブのため見通しが悪く、運転士は「時速約60キロで走行中、現場の約100メートル手前で作業員がいるのに気付き、ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しています。
JR東日本によると、工事区間での臨時列車の運行を確認するために、工事責任者は作業日の3日前にJRからダイヤを取り寄せることになっているそうです。さらに当日は、工事責任者が現場に入る直前に改めてダイヤの変更の有無を確認した上で作業を開始することになっているといっています。しかし今回の工事責任者はダイヤを取り寄せておらず、大崎駅構内の信号所に運行予定の確認もしていなかったようです。また、列車の運転士は「作業の見張り役も立っていなかった」と話しており、工事責任者が臨時列車の運行状況を把握していなかったミスと見張り役のミスが重なったのが事故原因と見られています。
JRでは「工事責任者から請求がない限りダイヤを送ることをしていなかった」とし、また責任者が請求を行ったかどうかについても、「台帳などによる管理はしていない」といっており、安全を人任せにしていたようです。これではルールを作ったものの、ルール通りに行われているかの検証を行わず「安全は確保されている」と公言することであり、同社の体質が感じられます。同社では「今後、ダイヤを工事責任者が確実に携行するよう、何らかの対策を講じる」といっていますが、「責任者がダイヤを携行すれば良し」とする考えのようです。ダイヤを携行することが目的ではなく、ダイヤを把握し作業員や列車の乗客の安全を確保させるために何を行うのか、そのあたりが見えてきません。
[目次へ]
■新幹線の飲料水が細菌汚染/昭和薬大グループ調査
昭和薬科大学の笹津備規助教授らの研究グループでは、24時間風呂で問題となったレジオネラと非定型抗酸菌の全国的な生息分布状況を調査するため「良い見本」として各地の水道水47検体のほか公園やビル、デパートなど公共施設、航空機や新幹線を含む鉄道など公共交通機関の飲料水を調査しました。
その結果、98年9月と12月、99年1月に東海道新幹線(3検体)と東北新幹線(1検体)の4検体全てから非定型抗酸菌(M・ゴルデネエラ)が検出されました。また4検体のうち2検体からは、一般細菌が飲料水として適切な濃度(1ミリリットル当たり100個以下)を大幅に上回る量が検出されました。一般細菌濃度は東海道新幹線で1,425個、東北新幹線で650個でした。航空機など他の公共交通機関や公共施設からは検出されませんでした。
非定型抗酸菌は土壌や水などに生息しているもので、免疫力の衰えた人ではまれに風に似た症状の感染症を引き起こすといわれています。一般的には病原性は少ないとされているため笹津助教授は「人への病原性は少なく、飲んでも普通の健康状態の人ならば感染症を引き起こす可能性は少ない」と述べています。
新幹線からだけ検出されたことに対しJRでは危機意識を持っていないのか、JR東海東京広報室は「新幹線の水は紫外線殺菌灯により滅菌処理をしている。水質検査は病院の衛生試験室で試験をしている。飲んでも問題はないと思っている」とコメントしています。
しかし一般細菌数が飲料水として適切の値の14倍以上というデータでは、飲まない方がいいのは明らかでしょう。JRは「自社で滅菌処理をし、検査もしているから大丈夫だ」という論理で、他の検査機関のデータには耳を傾けないということなのでしょうか。JRで過去行った検査データがあれば是非見たいものです。こんな異常な数値であれば誰でも飲料水として許可はしないと思うのですが…。乗客に対し客観的な安全評価を提供しないで、「安全はJRで確保しているから、黙って列車に乗ってくれればいい」というのが、JRの本音のようです。
[目次へ]
■PCB吸収・分解植物を開発/太平洋セメントと国立環境研究所
太平洋セメントと国立環境研究所の共同研究チームは遺伝子組み替え技術を利用して、ポリ塩化ビフェニール(PCB)を吸収・分解する植物を開発しました。研究チームはナス科の薬草「ベラドンナ」にPCBの分解を促す遺伝子を導入し、最大で80%を分解吸収したといいます。ベラドンナはヨーロッパによく見られ、精神を安定する薬草として知られています。成長力を高めたベラドンナをPCBの入った液体中で育てたところ、液体中のPCBの53%が炭素などに分解され、27%が根に吸収されていました。研究チームでは植物の内部の酵素などがPCBを壊していると見ています。
PCBの分解処理技術では、触媒を使って高温で燃焼させる方法や触媒を使った化学処理が開発されていますが、汚染された土壌の浄化には土を入れ替えるしか方法がありませんでした。今回開発された植物を利用することで、PCB汚染土壌を安価に浄化できそうです。
[目次へ]
■国内の廃棄物全体の6割が 生物系廃棄物など/生物系廃棄物リサイクル研究会報告
農水省や環境庁などで作る「生物系廃棄物リサイクル研究会」は2日、生ゴミや家畜の排泄物など生物系の廃棄物が2億8,000万トンに上り、国内の廃棄物全体の約60%に達したとの推計をまとめました。データは1993〜1997年の各省庁などの調査結果を集約したもので、生物系廃棄物の内訳は家畜の排泄物が9,430万トンでもっとも多く、ついで下水汚泥が8,550万トン、生ゴミが2,028万トンなどの順になっています。廃棄物全体の60%もの比率を占める生物系廃棄物の有効利用を進める必要があります。
同研究会ではまた、今後リサイクル推進にあたる関係者の課題として、「環境容量に即した生物系廃棄物の発生抑制および資源化推進」、「処分選考型からリサイクル優先型システムへ意識と価値観の改革」、「経済社会システムの総点検と再構築」、「循環型経済社会のナビゲーター役を」、の4つを提言しています。
[目次へ]
■中古車の返品、交換も可能/長野日産、日産サニー松本、国内初のサービス
長野日産自動車(長野市)と日産サニー松本販売(松本市)は18日、販売した中古車を納車後10日以内であれば、返品や交換に応じる「リターンサービス」を27日から始めると発表しました。同社によると、中古車販売で「クーリングオフ」の制度化は国内初だとしています。対象は両社から直接購入した中古車で、車種やメーカーは問わなく、返品・交換の申し出までに支払いが済んでいれば対応するものです。
一般にクーリングオフ制度は、消費者が実際に製品の状態を確認して購入する場合には適用されないものです。しかし「中古車は店頭で見ただけでは商品価値が分かりにくく、お客さんが買ってから後悔することも多い」という長野日産のコメントにあるように、車はある程度の距離を走行すると気になる箇所もでてくるものです。ハンドルやギヤの操作感と車の反応、加速やブレーキの性能や癖、シートの具合や車内に入り込む騒音など、数日運転をして気づくことが多くあります。車は運転者の手足となる道具に近いもので、嫌々運転するのはとても苦痛なものです。今回の中古車販売サービスを利用すれば、前所有者の運転の仕方や整備状況に対する不安も軽減され、中古車を敬遠する人にも受け入れられるかもしれません。
[目次へ]
■誰でも使える定期券/札幌市が新サービス
定期券は名義人しか使用することができないのが普通ですが、札幌市では25日から通勤定期券を持参した人なら誰でも使える新サービスを始めました。対象となるのは札幌市営地下鉄3路線とバス、市電に乗れる通勤定期券です。割引率の高い通学定期券などは対象外です。
父親が休日で休んでいるときに子供が通勤定期券を利用して遊びに行けるなど、利便性を向上させて定期券の購入者数を増やすのが狙いのようです。札幌市交通局によると、1997年度の地下鉄など市営交通機関の利用者は1日平均約57万8,000人で、96年度に比べ約4%のマイナスで通勤定期券の利用者もここ数年間、毎年減り続けています。
利用者数の減少に対しては運賃値上げで対処する公共交通機関が多いのですが、札幌市の新サービスがどのような効果を上げるのか興味があります。仕事やショッピング、趣味などで都市部によく出かける人は、回数券と定期券のどちらにしようか迷うことでしょう。家族が利用できるのであれば定期券を購入する人は恐らく増えると思いますが、札幌市公共交通機関全体の収益がどの程度改善するか、その効果は見えません。しかし運賃を上げずに、利用者の利便性を高めることで解決策を探る札幌市のアイデアは評価できます。
このサービスの波及効果として、車の利用が減り地下鉄やバスなどの利用が増えれば、都市環境の面からも大変意義のあるものです。公共交通機関では単独の事業収益だけを考えるのでなく、市民生活や(広域)自治体の総合的な環境要素を考える必要があり、今回の札幌市の対応がいい方向に進むことを願います。諸外国の都市部で実施されているエリア内共通運賃(一定時間内であれば1枚の切符で地下鉄やバスを乗り継げるサービスなど)の導入も、今後検討してもらいたいものです。
[目次へ]
■2000年問題の影響、対処は?/急がれる各方面での対応
対応が遅れていた日本でも2000年問題についての話題が多くなってきました。
厚生省行った昨年末から今年始めにかけての調査で、「患者の状態を監視する装置が2000年1月1日に止まる」「検査システムに2000年1月1日以降のデータが読み込めない」などの問題が起きることが明らかになりました。同省ではこれを受けて、国内の16万の全医療機関を対象にこの問題への対応などを尋ねる大規模な実体調査を実施することを6日までに決めました。また、人工呼吸器や生命維持装置に関する情報、機器の修正など具体的な対応方法をまとめたマニュアルを作成して全医療機関に配布し医療分野の対策の強化を促すことにしています。
金融監督庁は9日、2000年問題で金融機関がシステム障害を起こし、取引顧客などに実害を与えた場合、一定期間の業務停止を命じる厳正な処分を科す方針を決めました。事故後の制裁だけではなく、事前の防止措置として対応が間に合わない金融機関に対しては、2000年になる直前の12月をめどに一定期間の業務停止を命令する考えでいます。
主要国の航空当局で構成する国際民間航空機関(ICAO)は26日、日本と北米を結ぶ北太平洋ルートなど4つのルートで今年の12月31日夜から2000年1月1日朝にかけて航空機が飛べる航空路数を減らしたり、飛行間隔を長くし交通量を絞り込むことを決めました。日本、米国、ロシアなど12カ国とICAO関係者が東京で22日から開いていたICAOの「2000年問題対策会議」で決定したものです。
海外の話題を少し。11日板門店で行われた在韓国連軍司令部と北朝鮮群の将官級会談では、北朝鮮の兵器に関するコンピューターの2000年問題への対応について話し合われました。兵器システムや軍事施設でコンピューターが誤作動することで偶発的な軍事衝突につながる懸念があるため、国連軍、韓国側は同日の協議で北朝鮮と情報を交換し、対応を協議したいとの意向を示したものです。韓国マスコミによると北朝鮮側はこの提案に対し即答を避けましたが、「2000年問題とは何で、いつ、どうやって、誰と会って論議すればいいのか」と質問し関心を見せたといいます。
ロシア国家通信情報委員会のマノシュキン副委員長は27日、本年度予算にコンピューターが誤作動する2000年問題の対策費2億ドルが計上されていなかったとして、プリマコフ首相が大蔵省に3月1日までに財源を示すよう指示したことを明らかにしました。また2000年問題対策の政府最高責任者であるブルガク副首相は、国防分野などで「現実的な驚異」が予想されると指摘しています。また、主要官庁の他、電力独占企業の統一エネルギー機構やガスプロム、アエロフロートなど主要企業でも対策は10〜12%程度しか進んでいないとしています。
2000問題に対し、年末年始には家にこもり外出しないという人もいますが、実際の市民生活への影響がどの程度なのか、公的機関からの情報は少ないようです。そのためか我が国では国民がパニックにならないよう、発表する時期をうかがっているという指摘もあります。
2000年問題に危機意識を持っている米国では、米上院特別委の「2000年問題」報告書草案の内容が27日、明らかになりました。
報告書草案によると、電気、上下水道など公共事業部門は、1998年末の段階で50%しか問題に対応できておらず、停電が長期間、全国規模ではないものの局所的に生じる恐れがあり、上下水道機能が阻害される可能性があるとしています。医療部門では病院の64%と診療所の90%が問題に対応する構えがなく、患者のカルテ保管だけでなく、手術や診察用の機器類に障害が生じる恐れがあるとしています。
運輸部門では、鉄道運輸の脱線事故の可能性を否定しましたが、航空運輸では空港、特に国外の空港の対応が遅れているため、国際線でフライトキャンセルや乗客制限が多発する可能性が極めて高いと指摘しています。海上運輸も対応が不十分なため、国際貿易が混乱する公算が大きいとしています。米政府では先に全ての大使館に対し2000年問題に備え、最長30日間の「自給自足」体制を整えるよう指示していますが、上院の報告書ではこの問題が国民の日常生活にも影響を与えるとの認識を持っていることを示したものです。日本での混乱は米国以上と思われるので、早めに各省庁・各業界主導で「安全宣言」を出して欲しいものです。
さてインターネット上でも非常に多くの2000年問題関連情報が飛び交っていますが、とりあえず「 2000年問題関連Webzine 」(日経BP)から情報集めをしてみてはいかがでしょうか。
[目次へ]
■2000年はうるう年?/2月29日問題
ドイツのダルムシュテッダー・ソフトウエア社のウォルフリューディガー・ハンセン氏は2000年の「2月29日問題」の対応チェックを呼びかけています。これは現在世界で採用されているグレゴリオ暦で決められている4年に1度はうるう年の問題です。2月が29日まであるうるう年も、25回に1回(100年に1度)はうるう年でなく、2月は28日までです。ところがこの100年ルールも、400年に1度はうるう年を設けて調整することにしていて、西暦2000年はちょうどこの400年に1度のうるう年になり、2月は29日まであります。
コンピューターの多くは、この「400年ルール」をプログラムしてないといわれ、2000年は2月28日までと設定し、日付が実際より1日早まることになりそうです。その結果どのような影響がでるかは明らかになってはいませんが、2000年問題に取り組んでいる企業や団体では要チェックでしょう。
[目次へ]
終わりに
地域振興券の配布が始まっています。郵政省が「信書」にあたるとして宅配便での郵送を認めず、ちょっとした騒ぎになったのはまだ記憶に新しいと思います。最近、知人の家に地域振興券が郵便で届いたのですが、郵便局員が小さな子供に渡していった、ということで憤慨してました。お金と同じ扱いをすべき金券を、はんこ一つで小さな子供にでも渡すというのは、「大事な“信書”の取り扱いではない」、というものです。もしも子供が紛失したり、封が開いていたらどうなるのでしょうか。そのような問題が発生しないよう、郵政省が責任持って確実に届けるはずの信書だと思うのですが…。
[目次へ]
|