1997.7 No.43  発行 1997年7月7日
発行人 中澤 滋 ASP研究所長野県松本市梓川梓3072-12 Tel/Fax 0263-78-5002


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仕様外の部品使用/動燃、「ふげん」で原因発表
放射能漏れで研究者が死亡/ロシア 実験で被爆
列車とホームに挟まれ女子高生死亡、目撃−停止措置とらず/福岡市のJR駅 車掌「気が動転…」
O157対策、「不適切」33%が放置/総務庁、学校給食施設を調査
銘柄の偽り見逃さない/食総研、米をDNA鑑定
自動車業界、労働安全衛生に独自規格/自経連が月内策定、年内にも現場で試行
建機も排ガス対策型に/都 車公害防止計画を改定
家電包装材を半分に/松下電器、まず洗濯機用から
生分解性プラのたい肥化 世界的な認証取得/昭和高分子
アルミ缶再利用、7割突破/昨年度、飲料用 産構審目標、4年早く達成
空き缶再生率、算定あいまい/環境団体調べ
米喫煙訴訟42兆円で和解/たばこ各社25年間で州政府などに支払い

6月のニュースから

■仕様外の部品使用/動燃、「ふげん」で原因発表
 「ふげん」の放射能漏れ事故で、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は3日、放射性物質を含む重水が漏れた循環ポンプの接続部に、定められた仕様以外の部品が使われていたのが原因だった、と発表した。動燃は関連する部品を正規のものに取り換えると共に、納品時の品質管理の強化など再発防止策をまとめた。
 動燃の調査によると、仕様以外の部品が使われていたのはポンプと配管の接合部で重水の循環液が外に漏れないようにするためのゴム製部品。ポンプの循環液はアルカリ溶液であるため本来は耐アルカリ仕様を使うことになっているが、定期検査で分解した際に一般仕様のタイプを間違って取り付けていた。このためゴム部品が腐食し重水が外に漏れだしたという。
 過去の点検記録を調べた結果、合わせて11カ所で一般仕様のゴム部品が誤って使われていたため取り換えた。

 定期検査で分解したときに誤って一般仕様のゴム部品を使用したというのですから困ったものです。原発の安全性は高いと言われますが、それは設計、部品・材料、施工、メンテナンス、マネジメントなど全ての要因に問題がない場合のことです。人間のエラーを想定して管理体系を作っているはずですが、このような単純ミスがあるようでは、原発の安全性根拠も危うい気がします。
■放射能漏れで研究者が死亡/ロシア 実験で被爆
 ロシア原子力省スポークスマンによると、同国の核研究センター「アルザマス16」で起きた放射能漏れ事故により、大量の放射能を被爆した研究者のアレクサンドル・ザハロフ氏(42)が20日、搬送先のモスクワ市内の病院で死亡した。
 ロシアでの放射能漏れ事故による死者は、旧ソ連時代のチェルノブイリ原発事故(1986年)以来。
 ザハロフ氏は17日、同センター内で、核連鎖反応制御などを始めとした軍事用の実験を行っていた。現在、同省が事故原因の調査を進めると共に、実験室を閉鎖、汚染除去作業を続けている。
 「アルザマス16」は、モスクワの東約350キロにある核兵器開発用の研究施設。

■列車とホームに挟まれ女子高生死亡、目撃−停止措置とらず/福岡市のJR駅 車掌「気が動転…」
 福岡市東区のJR鹿児島線九産大前駅で23日、女子高生が普通列車とホームの間に挟まれ死亡する事故があり、列車の車掌が事故の一部始終を目撃していながら緊急停止の措置をとらず、女子高生を引きずったまま列車を走らせていたことが24日、福岡県警の調べで分かった。
 車掌は入社2年目で乗務経験は約4カ月と浅く、調べに対し「突然の事故で気が動転し、緊急停止の手順が全く分からなくなってしまった」などと話しているという。
 県警は業務上過失致死の疑いで車掌と運転手から事情を聞いているが、女子高校生は列車と接触した時点で即死状態になった可能性が高いことから、死因との因果関係について慎重に捜査している。
 列車最後尾にいた車掌は、先頭から3両目に桂さんが接触したのを目撃。その後、7両目付近にかけ車両に巻き込まれていく様子も確認したが、非常停止スイッチを引かないまま列車はホームを離れた。
師村博JR九州広報課長の話
 車掌が事故を目撃して非常停止スイッチを引かなかったのは事実だ。当社では危険を認知した時点でスイッチを引くよう指導しているが、今回の事故で車掌がどの程度危険を認知していたかどうかは核心に触れる話なので、県警の捜査を見守りたい。

 広報課長の話にある「危険の認知の程度」の問題ではないと思います。緊急時には、頭で分かっていても体が反応しないことが多く、そのために訓練が欠かせないのです。JRで行っている教育・訓練に問題がないのか、気になるところです。
■O157対策、「不適切」33%が放置/総務庁、学校給食施設を調査
 総務庁が29日付で発表した病原性大腸菌O157対策に関する学校給食施設の実態調査によると、昨年8月の文部省による緊急点検で「不適切」とされた延べ778項目のうち、33.9%にあたる264項目が改善されないまま放置されていることが明らかになった。総務庁は30日に文部省に対し調査結果を通知、都道府県教育委員会に衛生管理や食中毒防止策を徹底させるよう求める。
 調査は神奈川、岐阜、大阪、和歌山、岡山、鹿児島の6府県の学校給食施設103カ所(小中学校73、給食センター30)を無作為抽出して、昨年12月から今年3月にかけて実施。
 文部省の昨年の緊急点検で「不適切」とされながら改善が見られなかった例としては、食材納入時の品質検査をまだ行っていないところが34施設(33.0%)に上っていることを指摘。また@天井一面に黒かびが発生して調理用のかまに落ちる恐れがある上、パン保管場所にネズミや害虫を防ぐ設備がない(大阪府内)A調理者専用の手洗い場所や便所がない(和歌山県内)B食品庫、便所、清掃用具の消毒をしていない(岡山県内)−−の極端な事例も報告。衛生管理に関する業務怠慢が日常化している実態が鮮明になった。

 文部省による改善の要請があったにも関わらず放置するのは、おそらくコストがらみの問題があるのでしょう。しかし、現場の従業員はこのような環境で学校給食を作っていることに何の疑問も感じないのでしょうか。言われたことしかせず、自己擁護ばかりを考える人が多くなっているのでしょうか?
 現場の衛生環境を最も知っている従業員の発言で、管理者の安全意識を向上させて欲しいものです。
■銘柄の偽り見逃さない/食総研、米をDNA鑑定
 農水省食品総合研究所などは、精米からデオキシリボ核酸(DNA、遺伝子の本体)を抽出して分析、「ひとめぼれ」「あきたこまち」といった銘柄を鑑定する技術を開発した。精米後に品種を特定する方法は初めてで、品種を偽った不当表示の監視に使えるとみている。犯行現場に残された血液などのDNAから誰のものかを調べるDNA鑑定のおコメ版だ。
 新技術はまず精米を粉末にしてDNAを抽出。これに、特定のDNAだけに結合して目印になる物質(プライマー)8種類を混ぜて、分析する。
 プライマーは品種によって結合する組合せが異なるため、品種を特定できる。「ひとめぼれ」「あきたこまち」の他「コシヒカリ」「ササニシキ」「日本晴」など代表的な10品種を区別できた。

 これはいいニュースです。おコメに限らずいろいろな食品にも広がって欲しいものです。なにしろ見た目で分からない物事に対しては、「このくらいはいいだろう」とか「他でもやっていること」といって自己を正当化し、混ぜものやら偽った表示を行う人・企業が多いようですから。
■自動車業界、労働安全衛生に独自規格/自経連が月内策定、年内にも現場で試行
 自動車業界が労働安全衛生(OHS)を対象とした独自のマネジメント規格案を策定、年内にも主要メーカーでトライアルが始まる見通しとなった。OHS規格は欧米で国家規格として制定作業が進んでおり、欧米での生産が進んでいる業界として自動車産業経営者連盟(自経連)が検討してきた。国内では中央労働災害防止協会(中災防)が独自規格を策定したほか、化学、建築、造船などの産業界でも検討中であることから、自動車業界の動きが産業界のOHS対応を加速しそうだ。
 OHS規格は、国際標準化機構(ISO)など国際的な場での制定作業が停滞している反面、英国が独自規格(BS8800)を制定したほか、欧米主要国や豪州などで規格策定作業が急速に進んでいる。そのため、このままでは我が国企業が立ち後れるとの懸念が広まっていた。
 自経連の規格案は、内部の検討会での作業を経てまとめたもので、6月中に報告書を作成、関係部署に配布する。英国規格をベースに、中央労働災害防止協会が作成した規格(ガイドライン)などを踏まえ、経営サイドの見方だけでなく、自動車産業の労使関係を重視しながらまとめた。

■建機も排ガス対策型に/都 車公害防止計画を改定
 東京都は17日、自動車公害防止計画を改正し、排出ガス対策型建設機械の積極使用などを盛り込んだ。計画は1998〜2005年度の9年間。重点施策として排出ガス対策、低公害車の普及促進、自動車交通抑制対策などを掲げた。 特に未規制自動車の建設機械は、窒素酸化物排出量削減のため都発注の建設工事で排出ガス対策型機械の積極使用を受注業者に求めていく。また使用の義務付けも検討するとした。
 すでに建設省では昨年度からトンネル工事など所管の直轄工事で、排出ガス対策型機械の使用を義務付けている。建設機械や産業機械など特殊自動車による窒素酸化物排出量は、自動車全体の約3割を占めているといわれる。

 建設機械など規制対象外のものが自動車全体の3割も占めているのはちょっとした驚きです。航空機や船舶などもかなりの排ガスを大気中に放出していますが、他の代替技術がないのか企業の努力が足りないのでしょうか。日本では規制の対象物を特定するために規制から漏れるものが多く、法律体系を考え直す必要があると思います。例えば排ガスの規制であれば、「大気中に放出する窒素酸化物は基準値○○以下でなければならない」と法の精神を明確にして、どうしても例外を認める場合は、その例外のための法律を作るのがいいと思います。
■家電包装材を半分に/松下電器、まず洗濯機用から
 松下電器産業は家電製品の包装材の半減に取り組む。8月から洗濯機の一部機種で包装用の段ボールや発泡スチロールを従来の約半分に削減、来年1月からは冷蔵庫で段ボールを約半分に削減する。さらにキッチンシステムなど他の製品にも広げる予定だ。これだけ抜本的な包装合理化は家電業界で初めてという。
 洗濯機では主力商品である容量が4.2キログラムの小型3機種で包装材を減らす。上下と4つの側面全てを覆っていた段ボール包装を、上下と前面だけにし、クッション材となる発泡スチロールも形状を変える。これにより、段ボール使用量は55%、発泡スチロールは45%削減できる。
 冷蔵庫ではすでに、生産会社である松下冷機が全機種を対象に発泡スチロールの削減に取り組み、全機種合計で90年度比3割以上を削減した。来年1月からは洗濯機と同じように、容量が50〜80リットルの小型タイプで段ボールを40%削減する。

 松下の新しい梱包形態は、今までも大型冷蔵庫や産業用機械などで見かけた方法で、製品の上下2箇所に丈夫なカバーをかぶせ、その上からベルトで固定するものです。手渡しや投げたりすることを想定する場合、製品を完全に覆う梱包になりがちですが、大型の製品ではこれで十分なのですね。
■生分解性プラのたい肥化 世界的な認証取得/昭和高分子
 昭和高分子は25日、生分解性プラスチック「ビオノーレ」の生ゴミ袋がたい肥化に適するという世界的な認証を取得したと発表した。日本メーカーでは初めてで、これを機に世界の中心市場の欧州で販売を始める。一方、日本でも長崎ハウステンボスに続き4月から自治体の採用が始まった。生分解性プラスチックのネックである高コスト解消に向け、量的拡大に力を入れる。
 生分解プラの市場は中心となる欧州が3000トンだが、日本では1000トンにも達していない。生分解性プラの袋に生ゴミを入れて土に埋め、袋の分解と同時にたい肥化する使い方が主。一般プラと判別するために「OKコンポストラベル」を貼ることが必要だが、今回ベルギーの審査期間AVIなどがビオノーレの生分解性やたい肥化時の品質を確認し、認証した。認証は6社目。

■アルミ缶再利用、7割突破/昨年度、飲料用 産構審目標、4年早く達成
 飲料用アルミ缶の再利用率が初めて70%を突破した。アルミ缶リサイクル協会が12日まとめた調査によると、96年度は前年度より4.5ポイント高い70.2%となった。市町村による分別回収の促進などが貢献しており、産業構造審議会が昨年3月にまとめた「廃棄物処理・再資源化ガイドライン」の目標値(2000年度に70%)を4年早く達成したことになる。
 96年度のアルミ缶の消費量は前年度より6643トン多い27万1298トン(164億缶)。一方再利用されたアルミ缶は1万6589トン増え、19万391トン(115億缶)となった。アルミ再生メーカーが積極的に設備を増強したことで、再生した後、再び缶材に使用された率は前年度より25.6ポイント高い71.2%と急伸した。
 同協会では、今年4月の容器包装リサイクル法の施行を受け、市町村がインフラの整ったアルミ缶の回収に力を入れたことや回収したアルミ缶が1トンあたり10万円と比較的高く売れたことが再生率の向上に寄与したと見ている。
 同協会はアルミ再生メーカー207事業所に調査票を送付、再資源化率を算定した。

■空き缶再生率、算定あいまい/環境団体調べ
 環境に関する調査・提言をしているNGO(非政府組織)の「環境市民」(代表・森主一氏ら3氏)は3日、空き缶リサイクルについて業界団体が公表しているリサイクル率の算定根拠があいまいで、実際はもっと低いとの調査結果をまとめた。
 業界団体のアルミ缶リサイクル協会、空き缶処理対策協会が発表した95年度のアルミ缶、スチール缶のリサイクル率はそれぞれ65.7%、73.8%。これに対し「環境市民」が自治体や飲料メーカーへの聞き取りなどを通じ独自に推計したところ、アルミ缶は51.9%、スチール缶では50%を下回った。
 「業界団体の数字はキャップ、アルミはくなど缶以外も回収量に含み、リサイクル量が多めにでる。スチール缶は回収経路の情報開示が遅れているため回収量の把握自体が困難」と堀孝弘評議員は説明している。
 今後はリサイクル率の算定方法を一般に検証できるよう開示し、リサイクルへの企業の取り組みをさらに促すよう厚生省や通産省に働きかける。

 公表されるデータには調査側に都合のいいものもあるようですが、特に「達成率何%」なるデータはその傾向が強いのかもしれません。リサイクル率の算定方法を一般に開示するよう求めるのは大事なことです。これからは公開される情報の有・無から、情報の質が問われてくるのでしょう。
■米喫煙訴訟42兆円で和解/たばこ各社25年間で州政府などに支払い
 全米40の州政府と反喫煙団体などが、たばこメーカーを相手取り、健康被害などに関する損害賠償を求めていた訴訟で、原告側と米たばこ各社は20日、メーカー側が今後25年間に総額3685億ドル(約42兆円)を支払うことを柱とする和解案で合意した。見返りとしてメーカーは将来の損害賠償について一定範囲での免責を得る。合意内容の実施には米政府の承認を得た上で米連邦議会で法制化する必要があるが、今回の和解は40年におよんだ米国でのたばこをめぐる法的責任の論争に区切りをつける歴史的な意味を持つ。
 和解案には、メーカーの和解金支払いの他に@米食品医薬品局(FDA)は将来、たばこのニコチン使用を禁止できるAたばこ自動販売機の設置禁止B漫画の人物などキャラクターを用いた宣伝の禁止を含む、たばこ広告の大幅規制Cレストランなどを除き職場や公共の場での喫煙禁止−−などが盛り込まれた。
 合意の決め手になったのは、たばこメーカー各社の和解金拠出による基金の創設だ。拠出額は当初100億ドルで、その後年間最大150億ドル。これとは別にたばこ各社は健康被害に関して消費者に誤った情報を流したことを認め、この懲罰的損害賠償額として500億ドルを支払う。
 これらの資金は、たばこ関連の医療費を負担してきた州政府が受け取る。

 この和解でたばこメーカーは今後、州政府からの訴えや集団訴訟を免れることが保証されますが、個人がたばこ被害に関する訴訟を起こすことは可能とのことです。

終わりに
 最近は各地の商工会議所もインターネットで情報を提供していますが、その中にPL保険の支払状況が掲載されていました。それによると95年7月〜96年6月の間の保険支払い済み事故が386件、約2億5000万円となっていました。中小企業PL保険の事故例も掲載されていますので、参考にされる方は次までどうぞ。
 http://www.nagoya-cci.or.jp/pl-jiko.html

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