1997.6 No.42  発行 1997年6月7日
発行人 中澤 滋 ASP研究所長野県松本市梓川梓3072-12 Tel/Fax 0263-78-5002


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建材や塗装の化学物質 6種の使用削減要請へ/4省庁、健康被害招く恐れ
発色マグロ封じ、CO基準/厚生省通知愛知県が回収命令
日常レベルの電磁界、生殖機能に影響なし
シートベルト必ず着用、最高の75%/総理府調査、助手席は82%に
品質表示を分かりやすく/通産省、見直し案
イエバエがO157の媒介/厚生省、実験で確認
環境管理規格、取得会社は250社/6割は電機メーカー
ISO9000、10.2%が取得/建設省がアンケート
ダイオキシンの母乳摂取、乳児のホルモン濃度が低下傾向/大学助教授ら調べ
「分煙」「禁煙」企業の半数導入/森ビルがテナント調査 外資では約70%
市町村の9%が庁舎内分煙実施/厚生省調査 都道府県では東京・新潟だけ
米たばこ大手が自販機販売停止へ

5月のニュースから

■建材や塗装の化学物質 6種の使用削減要請へ/4省庁、健康被害招く恐れ
 建設、厚生、通産、林野の4省庁は3日までに、ホルムアルデヒドなどの化学物質6種を「健康被害を招く恐れが強い」として、建築資材などへの使用を削減するよう住宅関係業界に求める方針を固めた。
 家屋を新・改築した直後に頭痛や吐き気などの原因不明の症状に見舞われる「シックハウス症候群」を防ぐための措置で、6物質と同症候群の強い因果関係を国が初めて認めた恰好だ。
同症候群は数年前から顕在化。国内に数百万人の潜在患者がいるともいわれ、大学病院の医師らが「建材や塗料などに含まれる化学物質が気密性の高い室内に放散されるのが原因」と指摘していた。
 削減規制の対象になるのは、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、木材保存剤、可塑剤、シロアリ駆除剤の6物質。
 国内ではこれまで、フローリング合板などのホルムアルデヒド含有量を規制するJIS規格や日本農林規格(JAS)はあったが、室内の空気に関する汚染指標はなかった。関係者によると厚生省が新たに策定するガイドラインは、世界保健機関(WHO)が定めた基準値と同一の0.08ppmとなる可能性が強いという。

 安全に関する規格などは本来、エンドユーザーの健康や安全を目的にすべきですが、我が国ではエンドユーザーを消費者ではなく、生産者サイドの枠でとらえているようです。
 たしかに工業規格などは品質の安定や、標準化に伴う製造コストの引き下げなどの効果が大きく、消費者にもその利益は還元されていると思います。
 しかしスペック基準が多く、また複数の監督省庁が関係するシステム・空間・環境では、消費者の安全が見過ごされたままになっています。これでは「誰のための安全か」という安全確保の目的がないのも同然です。
■発色マグロ封じ、CO基準/厚生省通知愛知県が回収命令
 インドネシアから輸入した冷凍マグロの切り身に、食品衛生法で添加が禁止されている一酸化炭素(CO)が多量に含まれていた問題で、厚生省は21日、マグロの鮮度をよく見せるためにCOが添加されたかどうかを判断するCO濃度の基準値を作成、都道府県に通知した。今回発覚したマグロはこの基準を大幅に上回っており、愛知県は同日、問題のマグロを輸入していた県内の業者に対し、食品衛生法に基づく製品の回収命令を出した。
 厚生省が示した基準はCOの含有量が@マグロ1キロ当たり500マイクログラムを超えているA初回の検査で200マイクログラムを超え、2日後の再検査でCO値が明らかに減少した−−のいずれかが認められた場合、COが添加されたと判断。食品衛生法に違反するとしている。
 マグロをCO処理すると、赤く発色し新鮮に見えるほか、変色の進みを抑えられる。天然マグロは日がたつにつれて、空気に触れてCO濃度が上がるのに対し、CO処理されたものは逆に数値が下がるという。
 厚生省の基準値通知を受け、問題のマグロが出回った大阪市は同日、販売していたスーパーや飲食店5店を立入検査し、製品の販売禁止を命じた。
 厚生省は95年1月、100マイクログラムを超えるマグロについては、COが添加されたとする基準を通知したが、同年末に天然マグロから100マイクログラムを超えるCOが検出されたため、96年6月、この基準を廃止していた。

 食品業界では鮮度やブランド至上主義のために表示を偽ったり、今回のケースのように薬品による処理が問題となります。「顧客に良い商品を食べてもらう」という認識を持たずに、「分からないようにうまくやる」式の不正が多くて困ります。 少し前ですが、「たしかな目」(国民生活センター発行)1995年10月号の商品テストで、マグロのさくの調査がありました。DNAによる魚種の判定では、魚種表示されていた14銘柄中8銘柄しか正しくないという結果が出ていました。
 また「あるデパートの無農薬有機野菜ブランドの契約農家が、出荷直前に農薬を散布している」という話しを耳にしたこともあります。こうなると消費者はまず疑ってかかるか、信用できるルートで購入するしかないのですが、「デパートだから良い」とはいかないので困ります。
■日常レベルの電磁界、生殖機能に影響なし
 送電線などから発生する電磁界が健康に与える影響を調査している通産省・資源エネルギー庁は30日、「実験の結果、日常レベルの強度の電磁界が動物の生殖機能に影響を及ぼすデータは得られなかった」とする報告をまとめた。
 実験は家庭で使う電気周波(50-60ヘルツ)の磁界を、妊娠したネズミ4グループに0〜2,500ミリガウスまで4段階に強度を変えてあて、胎児への影響を調査。あてる時期も妊娠0〜8日の着床前期と、妊娠8〜15日の胎児の器官形成期に分けて、それぞれ2回ずつ実施した。実験の結果、妊娠したネズミの体重や健康状態、生存胎児数やその発育状態に、グループ間の有意な差はなかったという。

■シートベルト必ず着用、最高の75%/総理府調査、助手席は82%に
 総理府が17日に発表した「交通安全に関する世論調査」によると、自動車を運転するときにシートベルトを「必ず着用する」と答えた人は一般道路で75.6%、高速道路で90.7%といずれも過去最高になった。前回(94年)調査に比べると「必ず着用する」という回答はそれぞれ5.6ポイント、2.1ポイント増加した。助手席の同乗者に着用させる人も一般道路で82.6%(前回比5.8ポイント増)、高速道路で90.8%(同1.9ポイント増)と過去最高で、総務庁交通安全対策室は「交通安全への意識が高まった結果」と見ている。
 調査は70年から実施しており今回で10回目。2月に全国の成人男女3,000人を対象に行った。有効回収率は76.1%。
 シートベルトを必ず着用すると答えた人は若年層ほど少ない。一般道路では20歳代で57.9%、30歳代以上の78.6%を下回った。

 運転するときにシートベルトを着用する人よりも、助手席の人に着用させる人が多いというのは面白いですね。自分1人のときはシートベルトを着用しない人も、同乗者がいるときは自らも着用し同乗者にも着用を促すのでしょうか。
■品質表示を分かりやすく/通産省、見直し案
 通産省は16日、衣服や家庭用洗剤などの製品につけることを義務付けている「品質表示」の見直し案をまとめた。現行の一律表示法から、ある程度メーカーなどの自由裁量に任せ、消費者に分かりやすい内容表示を目指す。早ければ来年度にも新表示が登場する。 品質表示は62年に制定された「家庭用品品質表示法」にもとづき、製品の成分などを表示。製品ごとに、文言や、表示位置、文字の大きさなどが一律で決められている。しかし、製品の複雑化や、消費者の商品知識の向上などで、現行の表示が次第に時代に合わなくなり、利用者から「分かりにくい」といった声も上がっていた。

 確かに衣料品のドライマークは分かりづらいものです。「ドライクリーニング専用」と思いやすいのですが、「ドライクリーニング可能」という意味なのです。
 本来水洗いできない繊維素材はないのですが、収縮率が異なる複数の素材を使う商品が多くなり、注意して洗わないと型くずれなどのトラブルが生じてしまいます。これを避けるために、業界では必要以上にドライマーク表示を多く行っているようです。これは洗濯についての説明を十分行わず、トラブルを回避する方法ばかり考えた結果でしょう。
■イエバエがO157の媒介/厚生省、実験で確認
 最もありふれたハエであるイエバエが、病原性大腸菌O157を媒介する恐れが強いことを、厚生省のO157研究班が23日までに実験で確かめた。昨年、O157による食中毒が発生した佐賀県でハエから菌が検出されたが、食中毒への関与ははっきりしなかった。今回の実験では体内に4日も大量に菌を保持した上、排出もするなど、媒介する力はかなり大きいことが分かった。

 「これは大変だ」と思う人も多いかと思います。通常、食品にハエがとまると手で払ったりしますが、だいたいその食品は食べてしまいます。しかしこのことでハエがいるお店で買物や食事をしないなどという、極端な動きになると困ります。
 大事なことはハエがいるいないではなく、ある特定の環境(店、家庭内など)全体を清潔にすることです。部分的に抗菌グッズがあっても安心できないと考えるべきでしょう。
 抗菌という名の下に殺菌効果があるかのように誤認させる商法、しかもその抗菌効果すら疑わしい商品があふれている現在、ちょうどいいショックでしょう。
■環境管理規格、取得会社は250社/6割は電機メーカー
 電機メーカー各社は国際標準化機構(ISO)が定める環境管理規格「ISO14001」の認証を取得する動きを加速させいてる。
 松下電器産業はすでに国内20カ所、海外14カ所の事業所で取得しており、98年度末までに200カ所強の事業所での取得を目指す。三洋電機は国内2カ所、海外4カ所で取得しているが、97年度内に約80カ所で取得する方針。シャープは国内8カ所、海外3カ所の計11カ所で取得した。
 通産省・工業技術院によると、国内で現在約250社が同規格を取得しており、このうち約6割が電機メーカー。
 国内の認証機関である日本品質保証機構は「最近では、中小メーカーからの問い合わせも増えている」としており、認証取得の動きは大手メーカーから中小企業にも広がりつつある。

■ISO9000、10.2%が取得/建設省がアンケート
 建設省は品質管理・保証の国際規格「ISO9000シリーズ」と環境管理・監査の国際規格「ISO14000シリーズ」について、建設業界にアンケートを行い、このほど結果をまとめた。それによると回答した491社のうち、ISO9000をすでに取得した部署のある会社は50社で全体の10.2%を占め、また今後取得を予定している会社は235社、47.9%。両者を合わせると258社、58.1%になり、6割近くが取得に向けて活動を進めていることになる。
 同省は94年9月に「品質・環境・労働安全絵雨声等に関する国際規格の公共工事への適用に関する調査委員会」を設け、公共工事への国際規格などの適用を検討中。この活動の一環として、94年度からISO9000に関する動向調査を行い、95年度からはそれにISO14000も加えている。さらに今回からは従来の建設会社に加え、建設関連会社、建設コンサルタント会社にも調査対象を広げた。

 ISO9000シリーズの認証取得件数はここ数年で急速に進み、現在日本では4,500件を超えるまでになっています。ISO14000シリーズを含めた事業戦略としてのISO取得熱は産業界全体におよんでますが、行政もこれを手本にISO認証を行政改革の必須要件にして欲しいものです。
■ダイオキシンの母乳摂取、乳児のホルモン濃度が低下傾向/大学助教授ら調べ
 母乳からのダイオキシンの摂取量が多い乳児ほど、身体の成長に不可欠な血液中の甲状腺ホルモンのレベルが低くなる傾向があることが、九州大学医療技術短期大学部の長山淳哉助教授らの調査で17日までに分かった。
 ダイオキシン摂取量が多いと、免疫に関連する、ある種のリンパ球の量が増加することも判明。ダイオキシンが乳児のホルモンや免疫の働きに悪影響を与えている可能性を示すデータとして注目される。
 ダイオキシンが免疫やホルモンの働きに悪影響を与えることは動物実験では指摘されていたが、現在の汚染レベルで、人間への影響がでていることを示唆するデータは初めて。今後、国などによる詳しい調査が迫られることになりそうだ。
 長山助教授らは、出産後2、3カ月の母親約35人から母乳の提供を受けて含まれるダイオキシン濃度を分析。生後1年後に子供から採血し、甲状腺ホルモンの濃度などを調べた。

 自然界にない科学的に合成された物質は、毒性分析が進むことで新たな危険要素が出てくることがあります。このような場合は開発当初の分析・評価が不十分だったことを反省し、「他にも問題があるはずだ」との立場で各方面の安全レベルを早急に設定しなければなりません。
■「分煙」「禁煙」企業の半数導入/森ビルがテナント調査 外資では約70%
 禁煙、分煙などの実施比率は約50%−−。森ビル商事(東京・港)がこのほど、森ビルグループのオフィスビルの入居企業を対象に実施した「オフィスビルでの喫煙に対する意識調査」で、こんな結果が明らかになった。最近は他人が吸ったたばこの煙を吸い込む「受動喫煙」問題がクローズアップされているが、企業の対応も徐々に進み始めているようだ。
 同調査は今年2〜3月にかけて、森ビルグループのオフィスビルのテナント企業651社を対象に実施した。
 調査結果によると、社内で「禁煙タイム」、喫煙コーナーの設置による分煙など、禁煙に何らかの制限を加えている企業は53.7%。これに対して制限のない企業は42.4%だった。また、外資系企業の対策実施比率は68.6%に達し、日本企業の48.0%と差がついた。
 一方、「(ビル会社が管理する)廊下など共用部を禁煙にすべきかどうか」を質問したところ、「全面禁煙」と「喫煙コーナーなどを設置して禁煙」との回答合計が81.4%に達し、嫌煙派の増加を改めて裏付けた。
 森ビル商事では調査結果について、「禁煙が非喫煙者に不快感を与えるという認識は次第に定着しつつあり,今後は受動喫煙を容認している企業は減っていく」と見ている。

 ビル内や公共空間に禁煙コーナーが設置され分煙化が進むのは良いのですが、スペースの都合からか従来の休憩場所を使うことが多いようです。このため喫煙しない人が休みたいと思うときに、煙のこない場所がなくて困ることがあります。「喫煙する人のための配慮」という認識でしょうか、まだまだ喫煙者のための社会は続きそうです。
■市町村の9%が庁舎内分煙実施/厚生省調査 都道府県では東京・新潟だけ
 全国の市町村の1割弱が本庁舎で分煙を実施−−。世界禁煙デーを前に厚生省が発表した「喫煙対策に関する調査結果」で、こんな自治体の取り組みが明らかになった。
 調査は1月に実施。全国の約3,200市町村のうち288(9%)が、喫煙コーナーなどの指定場所以外は禁煙にしていると回答した。都道府県レベルでは新潟県と東京都だけが分煙していた。分煙をしている市町村を都道府県別に見ると、長野(70)、愛知(19)、青森、静岡(ともに15)の順で多かった。

 企業に比べてずいぶん低いものです。顧客満足度を掲げる企業と、住民満足度を掲げない行政サービスの差でしょうか?
■米たばこ大手が自販機販売停止へ
 米国のたばこ大手3社は食品医薬品局(FDA)との協議の末、たばこの自動販売機による販売と屋外広告を中止することを受け入れた模様である。ワシントン・ポスト紙が消息筋からの情報として伝えた。3社はさらに、禁煙キャンペーンに対し数億ドルの資金を提供するといわれる。
 FDAは紙巻きたばこについて、喫煙の有害性についての表示と若年層への販売制限を業界に指示、連邦裁判所から業界の訴えを退ける判決が出されている。業界側はこれを不服として4月30日に上告手続きをとったが、米国内ではこの問題が和解により処理されるとの見方が強い。その場合、米議会がクリントン大統領の承認を得た上で、ニコチンを規制する立法措置を講じるものと予想されている。

 日本での似たような動きでは夜11時から翌朝5時までの間、屋外のたばこ自販機の停止というのがあります。最近のデータでは、92%が停止されているようですが小売店の売上げに響くなど実施率100%にはなかなか届かないようです。

終わりに
 今年の花粉時期は過ぎましたが、例年花粉に悩まされるはずの私が何事もなく過ごせました。思い当たることはただ1つ、それはこの冬から合成界面活性剤の入っている中性洗剤、洗濯用洗剤やシャンプーなど全てを石けんに替えたことです。そのためか、この冬は手や足が荒れることもなく、合成表面活性剤の入っているハンドクリームのお世話にならずにすみました。
 どうやら、手を荒らす商品を買うことでハンドクリームも買わなければならないという、企業の戦略に乗せられていたような気がします。

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