発行人 中澤 滋 ASP研究所長野県松本市梓川梓3072-12 Tel. 0263-78-5002 |
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news ]
■大型バス衝突時安全対策で検討委/運輸省
■新幹線沿線の苦情急増/環境庁、低周波被害実態本年度中に調査
■薬害防止へ第3者機関/厚生省検討会中間報告
■独製注射薬にガラス片混入/ヘキストジャパン回収へ
■注射アンプルにガラス片が混入/輸入業社、自主回収
■錠剤に別の薬混入/日本新薬200万錠回収へ
■抗生物質製剤にハエ混入し回収/ファイザー製薬
■買物カートご注意
■バリアフリー商品、業界全体の基準作り急務
■タッチパネルの自販機、視覚障害者に負担
■スキーヤー衝突事故訴訟、「上の人」過失6割
■ソニーケミカルがISO新規格取得
■商品名「三四郎」で商標登録問題決着/ジャストシステム
運輸省は2日、高速道路を走行する大型バスの事故が多発していることから、衝突時の安全対策を向上させるための検討委員会を設置すると発表した。委員会はバス事業者および運転者、自動車メーカー、学識経験者らで構成し、今月中に発足する。
大型バスの安全対策に関しては衝突時の安全基準など数値で明確に規定されたものがない。このため検討会では、運転席などバスの全面部分の構造や強度改善のほか、シートベルトやエアバッグの採用など具体的な安全対策を総合的に協議する。また検討結果については対策の内容と効果、およびコストなどをバス事業者やメーカーに順次情報を提供し、改善を求めていく方針。
8月に起きた東名高速の事故では、バスの屋根が飛ぶという今までに例のない壊れ方をしました。大型バスについては、車体の安全対策は必要ないと考えられていましたが、そうもいかなくなったようです。
また乗客のシートベルト装着率が低いことから運輸省は17日、日本バス協会に対し乗客のシートベルト着用を徹底するよう要請しました。
■新幹線沿線の苦情急増/環境庁、低周波被害実態本年度中に調査
環境庁は16日、新幹線沿線や工場周辺の住民から苦情がある低周波音について、環境への影響実態調査を本年度中に実施すると発表した。
同庁が振動について行った1993年度調査で、広島、山口両県の山陽新幹線のトンネル出口付近で「窓ガラスががたがたする」などの苦情が急に増えたのがきっかけ。
ドイツなど欧州の一部の国で制定されている基準の根拠など、低周波に関する国内外の最新の研究結果を収集。苦情がある地域を現地調査しながら、建物の揺れや不安感など人体への影響を検討する。
環境庁によると、人間の耳に聞こえない20ヘルツ以下の空気振動を含め100ヘルツ程度以下の空気振動を一般に低周波という。新幹線や工場の送風機、ポンプなどから発生するとみられているが、実態はよく分かっていない。
環境庁は84年に「環境中にあるレベルの低周波が人体に及ぼす影響を証明できるデータはないが、高いレベルの振動などで血圧などに変化がある」とする報告書をまとめた。しかしその後は、低周波の影響調査はしていない。
ソリブジンによる薬害を機に設置された厚生省の医薬品安全性確保対策検討会は6日、第三者機関に同省の業務の一部を担わせることを柱とした中間報告をまとめた。新薬の臨床試験(治験)開始前の相談、調査制度を新設し、安全性に問題があれば治験を中止できるようにすることも盛り込んでいる。厚生省では来春の通常国会に薬事法などの改正案を提出、早ければ97年度から新制度をスタートさせる方針だ。
同検討会は94年10月に発足。治験から市販後までの、医薬品の安全性確保を検討してきた。
中間報告によると、安全性確保には一層の人員体制の強化が不可欠と指摘。厚生省本体の大幅増員は難しいため、「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構」を改組・充実し、同省と密接な連携を取って業務を分担すべきだとした。
さらに、治験が終わり、承認申請が出てから、国が治験データなどをチェックする現行の体制を改め、治験前から公的な関与を強めるべきだとした。治験計画を立てる前にメーカーからの相談に応じるほか、治験届けの提出後に、計画が安全性に十分配慮したものか、インフォームド・コンセントの徹底など患者の人権が守られているか、などを調査し、必要に応じて治験の中止や見直しを指導する。
医薬品機構はこれまでも、厚生省の業務の一部を委託されてきたが、同機構と同省を合わせても医薬品の審査に当たる人員は52人しかいなかった。これに対し米国の食品医薬品局(FDA)は1000人を越すスタッフを擁し、英国やフランスも審査部門だけで200人前後のスタッフを持つ。
同検討会では治験の方法や市販後の安全性確保策などについても、引き続き論議を進め、制度改正が必要な事項は来年1月をめどに結論を出す方針。
医薬品輸入販売業のヘキストジャパン(東京)は14日、ドイツヘキスト社から輸入した肺炎や気管支炎などの治療に用いる抗生物質製剤「ブロアクト静注用」にガラス片が混入していたとして、2〜7月に出荷した計53万70本を回収すると発表した
この製剤は粉末を蒸留水などに溶かして使用する注射薬で、10月31日に北海道の病院でおよそ1センチ四方のガラス片が混入した一瓶が発見された。検査に回された製剤からは注射針を通過する可能性のある微小片も発見され、回収を決めたという。同社では「微小片が静脈に注入されても、通常の異物と同様に処理され、生体への影響はほとんどない」としている。
静岡県保険衛生部に入った連絡によると、医薬品輸入販売会社、セローノ・ジャパン(東京)の浜松営業所がスイスの製造元から輸入した不妊治療薬の注射アンプルの中に、ガラス片が混入していたことが分かり、同社は24日、自主回収を始めた。
ガラス片が混入していたのはスイスのセローノ・ラボラトリーズ社が製造した不妊治療薬ゴナドトロピン製剤「フェルティノームP注」。21日に都内の病院で、9月に輸入販売したアンプルのうち1本の内部に縦約3ミリ、横6ミリのガラス片が入っていたことが分かった。これまでに見つかったのはこの1本だけで被害は出ていないが、輸入販売許可を与えた静岡県と同営業所は販売した全国約1840の病院、診療所を含め、国内で出回っている全てのアンプルを回収することにした。
困ったことにガラス片の混入事件は、12月になっても続きます。
日本新薬(京都市)は16日、前立腺肥大症の治療薬「エビプロスタット錠」500錠詰め1箱の中にストレス性胃腸病の治療薬「イリコロンM錠」が1錠混入していたことを明らかにし、2月から6月にかけて出荷した約200万錠を回収すると発表した。
同社によると、前立腺肥大症の患者に投与した場合、排尿が困難になるなど副作用が出る可能性があるが、少量なら大きな影響はなく、これまでのところ実害の報告はないという。
「エビプロスタット錠」は円形で白色、前立腺肥大症の患者の約28%が使用している同社の主力商品。「イリコロンM錠」は淡黄色の楕円形。
同社関係者によると、約200万錠は全国1万5000の医療機関に納入、このうち80%程度が既に使われたのではないかという。
10月16日、神奈川県内の総合病院の薬剤師が混入を発見した。混入原因ははっきりしないものの、両錠剤は製造ラインの一部を共用していることから、混入したのではないかと見ている。
他の製造業で取得が盛んなISO9000の管理で考えると、「製造ラインを共用したための混入」というのではいかにもお粗末です。
ファイザー製薬は22日、同社製の抗生物質製剤「ユナシン-S」にハエが混入していたため、同製品約3万本の回収を始めたと発表した。ユナシン-Sの回収は今年6月のかび混入によるものに続き2回目。同社はハエ混入が分かった15日、同製品の製造を停止している。
ユナシン-Sは肺炎や膀胱炎などの感染治療に使う静脈注射用の抗生物質製剤で、医療機関だけで使用され、一般薬局では販売されていない。昨年11月に販売を始め、現在までに約200万本出荷された。
今月15日、大阪府の病院から注射液を調整しようとしたところ、瓶の中にハエが入っていると同社に連絡があった。同社の調べで、入っていたのは体長約2ミリのキイロショウジョウバエと分かった。
回収するのは、5月22、23日製造分。同社では現在、原因を調査中。同じ製品を2度回収することについて、同社広報部では「あってはならないことが2度も起きてしまって申し訳ない」と話している。
何とも困ったことです‥‥。
スーパーマーケットのショッピングカートでけがをする米国の子供は年間、2万5000人。米オハイオ州立大のスミス教授らがこんな調査結果をまとめた。
カートがひっくり返ったり、飛び降りたりした際にけがをした子供は、3年間に7万5000人に達している。車軸を広げるなど安定性を高めることが必要とスミス教授。死亡事故こそないが、2000人は病院での治療が必要だったという。
「このままでは危険」と、助教授は改良されるまでカートは使用禁止すべきだと主張するが「事故は監督の不行き届きで起きている。設計に問題はない」と、メーカー側は取り合う様子はない。
おもしろいもので、米国では買物カートによる事故はPL訴訟にはなっていないようです。事故件数は多いのですが、まだ米国社会が許容するレベルなのでしょう。
最近の企業のPL対策商品と呼ばれるものの中には、当たり前のものから「過剰反応」と思われるものも少なくありません。社会が許容する安全レベルを決めるのは簡単ではありませんが、過剰反応商品を作る企業はその努力を怠っているのでしょう。
消費者はそのことのために、余分なコストを負担することになります。
松下電器産業は今年から全ての電磁調理器の操作盤に点字を表示することにした。すでに温水洗浄便座、洗濯機・乾燥機、電子カーペットの操作盤には全て点字を表示している。以前は希望者に対して点字シールを配布していたが、生産段階から点字を打ち込めば手間が省けるうえ、コストもあまり変わらないと判断した。
とはいえ、視覚障害者のうち点字を読める人は約2割しかいないと言われる。点字を表示すれば、誰でも使いやすくなるわけではない。「点字表示は第1段階にすぎない。スイッチの形などを工夫することにより、誰でも触って分かるようにするのが最終的な目標」(技術援助センター)という。
松下は5年ほど前からバリアフリーのコンセプトに基づいた製品作りを始めた。家電を操作したときに受け付け、終了、異常、警告などを知らせる報知音のガイドラインを設けたほか、表示方式、操作性について全製品の基準を統一した。
だが、業界全体での基準作りは進んでいない。視覚障害者が使いやすい家電製品の一覧表を作成している家電製品協会も、基準作りの音頭を取ることに及び腰だ。せっかく1社が取り組んでも他社が違ったことをすればむしろ混乱を招きかねない。
実際にそうした事態が起きる恐れはある。バリアフリーの基準作りに熱心なソニーは93年、ヘッドホンの左右を間違えないようにするため、右側に凸印を付けようと考えた。社内規格に盛り込もうとした矢先に、日本ビクターが左側に凸印を付けたヘッドホンを近く発売することを知った。ソニーがビクターに合わせることを決断、メーカーにより凸印の位置が異なるという事態は避けられた。
シャンプー、リンスの識別については業界全体で取り組み、シャンプー容器の側面にぎざぎざの凸部を設けてリンスと間違えないようにしています。
7月からJRグループのプリペイドカード(オレンジカードとイオカード)がほんの少し変わった。挿入方向の反対側にある切り込みの形が変わったのだ。これまではNTTのテレホンカードと切り込みの形はほとんど同じだった。
カードの切り込みを電話系は半円型、乗り物系は三角形、買物系は長方形とする方向で日本工業規格(JIS)が改訂される見通しだ。
JR東日本は3月に発表したばかりの新型自動販売機の計画の見直しを迫られている。硬化を同時に6枚入れられるなど、バリアフリーの要素も取り入れたが、タッチパネル上で操作するため視覚障害者が利用できない自販機となった。JR東日本は当初、一部は押しボタン式の自販機を残すことで解決しようとしたが、それでは数少ない自販機を探すという負担を視覚障害者に強いることになる。
結局、新型自販機にもテンキーを取り付けて、「視覚障害者が全ての自販機を利用できるようにする」ことにした。
健常者にとって便利なハイテク化が、視覚障害者には新しいバリアとなるかもしれない。
「健常者にとって便利なハイテク化」といわれるものの中には、単に効率優先の企業の都合を優先するものが多くあります。タッチパネルでの操作や、画面上で調整したりする商品が必ずしも使いやすいとはいえません。
かがまなくても商品が取り出せる自動販売機など、「障害者にとって使いやすい商品は、健常者にとっても使いやすいもの」という考えがもっと浸透しなければなりません。
スキーヤー同士の衝突事故をめぐり、下の方で滑っていた女性が、上から滑ってきてぶつかった男性を相手に約550万円の損害賠償を求めた訴訟が15日までに、札幌高裁で和解した。
女性側の代理人によると、裁判所が女性の過失割合を4割、男性を6割と口頭で示し、男性側が女性側に賠償金を支払うことで和解した。スキー事故で裁判所が過失割合を明示したのは異例という。
ASPニュース4月号で紹介した最高裁の判断により、審理が札幌高裁に差し戻されたケースですが、6:4の割合で過失割合が示され和解したものです。上の滑降者の過失割合がもっと多いと思っていましたが、下の滑降者も前方と同時に上を見る注意義務を怠ってはいけないということでしょう。
ソニーケミカルは磁気テープなどを製造する鹿沼第1工場で、来年7月に環境管理システムの世界規格に格上げされる「ISO14001/DIS」を取得した。同規格の取得は世界で初めて。生産活動による廃棄物や排気、排水など環境への悪影響を小さくする仕組みを構築できたとして、オランダの認定機関RVCに認められた。同機関の認証は来夏には自動的にISO規格となる。ソニーケミカルは「2000年までに廃棄物を現在の20%に削減」の目標を掲げていた。
いよいよISO14000の認証を取得する企業が出てきました。日立製作所ストレージシステム事業部と東芝青梅工場でもこの7月に「BS7750」に基づく環境管理システムの認証を日本環境認証機構(JACO)から取得しています。
パソコンソフト大手のジャストシステムは、商標登録上の問題から変更していた表計算ソフトの商品名を、96年に発売する新製品から従来の「三四郎」に戻すことを決めた。「三四郎くん」の商標を登録した茨城県のソフト会社、エス・エス・ビーとの調整がつかず、93年10月に発売した「三四郎」を今年9月に「ジャスト三四郎」に変更していた。このほどエス・エス・ビーに商標使用料を払うことで和解、マイクロソフトの新基本ソフトの「ウィンドウズ95」対応の「三四郎2」として再び発売する。
終わりに
最近多い医薬品の混入騒ぎですが、今月はどういうことか多発しました。
薬事法で定められている医薬品の製造および品質管理に関する基準には、GMP(Good manufacturing practice)というのがあります。また、医薬品の安全性試験の信頼性を確保するためのGLP(Good laboratory practice)というのもあり、開発から製造までしっかり管理されているのかと思っていましたが、どうもそうではないようです。