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2010.4 No.196  発行 2010年4月28日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

 



3月のニュースから

古い分電盤の放置は危険、火災原因に

 昨年12月に横浜市で起きた事故ですが、突然家中の電球がチラチラし始め、数秒間隔で暗くなったり輝いたりを繰り返し、次第に異常はひどくなり約15分後、ついにポン、ポンと音を立てて電球が切れてしまい、その後テレビも消え、気が付くと部屋中にプラスチックの焼けた臭いが立ち込めていたそうです。

  被害者は東京電力のカスタマーセンターに電話をしたところ「至急ブレーカーを切ってください」との指示、その後職員が仮修理して約3時間後に電気は復旧したものの、冷蔵庫、テレビ、電話機、ステレオ、温水便座など約20種の家電が壊れ、照明も約半分が切れていたといいます。火災にはなりませんでしたが、修理や買い替えによる出費は約40万円にも上ったといいます。

 実はこの事故の原因は、中性線欠相という分電盤のトラブルだというのです。家電製品のトラブルは、機能劣化などですぐに分かります。しかし多くの家庭では、分電盤のトラブルは想定外のため注意したいものです。

 中性線欠相とは、100ボルト用機器だけでなくエアコンやIHクッキングヒーターなどの200ボルト用機器も同時に使えるようにした配線「単相3線式」の場合に起きるものだといいいます。

 単相3線式は赤、白、黒の3本の配線があり、このうちの中性線(白)に断線や接触不良があると、過大な電圧が流れて電気製品が壊れたり、火災を引き起こすこともあるというのです。

 配線だけでなくブレーカーの劣化でも同じ欠相状態になることがあり、全国の消費生活センターには、毎年10件前後の被害相談が寄せられているといいます。

 さて欠相事故を防ぐ方法ですが、分電盤に取り付けられている漏電遮断器に中性線欠相保護機能付きのものを選ぶことが重要だといいます。民間の電気工事規格では95年から設置が義務付けられていますが、それ以前の古い家には保護機能がないものが使用されている可能性が高く、東京電力の管轄内では、単相3線式世帯の約1/3の538万世帯で、保護機能のないものが使用されているといいます。

 中性線欠相保護機能の有無は漏電遮断器の表示で分かるので、古い配電盤のある家庭ではぜひチェックしたいものです。

 また電気事業法で電気設備は4年に1回以上の定期検査が電力会社に義務付けられていて、委託を受けた各地の電気保安協会など登録調査機関が契約者宅を訪問していますが、国民生活センターの調査(08年)によると、分電盤やブレーカーなど屋内の調査は不在の場合や訪問販売などと間違われて断られることがあり、点検ができなかったケースが電力各社で16〜40%にも上るそうです。

 分電盤や漏電遮断器のトラブルが火災事故になることもあるので、無料で依頼できる点検を利用したいものです。

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ラジカセ付属ACケーブル無償交換/ティー・エム・ワイ

 ポータブルラジカセに付属のACケーブルが断線、スパーク発生事故が発生したことから、(株)ティー・エム・ワイでは、平成21年7月以降に販売した製品の自主回収を始めました。

 ポータブルラジカセの型番はDS−CK800AとDS−CK900Aで、該当する製品を持っている方は使用を中止し、同社のフリーダイヤル(0120-433-050)まで連絡することが望まれます。

 最近の製品におけるACケーブル断線・スパーク事故、というのは非常に珍しいことですが、国内ではPSEマークの無い電源コードは販売できないし、製品にも同梱できないことになっているので、このような事故は今までほとんど聞いたことが無く、同社の製品安全管理の問題を感じます。

 最近はPSEマークが必要な製品・部品において海外製品の割合が増えていますが、海外製の電気製品にはPSEマークが付されているものの、技術基準に適合していない危険なものも少なくないという指摘があります。

 同社はほとんどの製品を中国・台湾・韓国から仕入れているようですが、PSEマークなどの安全規格取得認定書類だけで製品の安全に対する「客観的根拠」としてきたのかもしれません。

 しかしPSEマークなど各国の安全規格認証取得では、サンプル製品による試験と工場審査に合格すれば可能です。しかし定期的な工場審査はあるものの、継続的な製品の安全性担保は、各工場の品質マネージメントに委ねられていることを忘れてはいけません。

 同社のことは分かりませんが、いわゆる「輸入事業者」と呼ばれる会社では、安値を重視するあまり、「輸入事業者」としての安全確認をおろそかにしていることも多いようです。
 同社が製品に付したPSEマークの根拠が、どのようなものだったかが問われるものです。

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赤ちゃん用の子守帯で事故/国民生活センターが注意喚起

 国民生活センターの危害情報システムには、抱っこベルト、抱っこひも等の、いわゆる「子守帯」使用時の赤ちゃん危害・危険情報が寄せられていて、過去10年間で64件にも達しているようです。

 子守帯での事故では、2010年3月12日にはCPSC(米国消費者製品安全委員会)が4カ月未満の赤ちゃんにスリングを使う場合の窒息の危険について警告情報を出しました。

 また同日、HealthCanada(カナダ保健省)も、スリング等を使用する際の転落や窒息事故に関し、注意喚起を行いました。

 センターではこれらレポートの紹介と併せ、消費者に子守帯の使用にあたっての注意を促すことにしたものです。

 センターへの情報では、2008年度13件、2005年度9件が目立っていて、ケガをした赤ちゃんの年齢をみると、0歳が全体の半数以上を占めていて、0歳3カ月から0歳8カ月に多くみられました。

 危害内容としては、「打撲傷・挫傷」が大半で、危害の内容には、窒息や転落、脱臼などの事例が見られるといいます。

 CPSCの警告では、過去20年間にスリングの使用による乳児死亡が14件あり、このうち4カ月未満の赤ちゃんは12件、2009年だけで3件報告されているといいます。

 スリングには窒息事故をもたらすおそれがあり、未熟児、双子、虚弱体質や低体重の乳児には特に注意が必要だとして、強制的な規格が必要な幼児用耐久財リストに、スリングを追加したといいます。

 一方カナダHealthCanadaの注意喚起ですが、同国では1995年以降ベビースリング使用時に9件の事故が発生しており、このうち2件は死亡事故のため、両親などに対して、ベビースリングなどを使用する際は次の点などについて注意するよう呼びかけています。
・保護者がつまずいて転んだときなどに赤ちゃんが転落する危険性
・不適切な姿勢のとき赤ちゃんが窒息する危険性

 国保松戸市立病院リハビリテーション科・整形外科品田良之医師は、赤ちゃんは気管が細いため、首を過度に前屈させたりすると容易に気道が閉塞してしまい、短時間で窒息を起こしやすいと指摘、赤ちゃんの顔色や身体の状態が常に観察できる子守帯の使用が望ましいとしています。

 以上のことを踏まえセンターでは、消費者へのアドバイスを次のように行っています。

赤ちゃんの体の向きなどに配慮しながら使用する。特に、顔が保護者の体に密着する、顎が胸につくほど首が強く曲がるなど、気道をふさぐ状態にならないよう注意する。赤ちゃんの顔色が見えるようにする。
子守帯に赤ちゃんの落下を防止するための調節具がある場合は、正しく調節し、固定箇所を確実に締める。
赤ちゃんの股関節脱臼を防ぐために、歩き出す前までは両足をそろえずに、股を開いた状態で抱っこする。オムツを交換する時に、股の開き具合に注意を払う。
首が据わるまでは背当て、頭当てがあるものを選ぶ。
なお、子守帯には(財)製品安全協会(SG)により認定された商品もあるので、購入時の参考にするとよい。

 





 

 

 

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ジュニア用ブーツの左右の飾りが絡まり転倒/国民生活センターが注意喚起

 国民生活センターでは、消費者トラブルメール箱に「小学4年の娘が小走り気味に歩いていたところ、履いていた左右のブーツの紐飾りが絡まって転倒、ひざなどを打撲した。紐を短くする、ブーツに縫い付けるなどの改善を願いたい」といった事例が寄せられたことから調査を行いました。
  その結果、危険な事故が起こりえるとして今回注意喚起をしたものです。

 事故品はブーツの前面に紐がついており、紐の先端に球状の飾りがついているもので、この飾りの左右が絡まり足がもつれたとのことでした。

 子ども用衣類では服飾関連の業界団体が安全性確保などのためのガイドラインを設け、飾り紐の長さの目安などを定めていますが、靴は含まれていないそうです。

 事故品はジュニア用ブーツで、子供用のコーナーで購入、娘(小学4年)の足のサイズは23cmくらいなので24cmを購入した、といっていました。その靴を普通に歩いていた時にも、たまに左右の飾りが絡まることはあったが、自然にほどけていたといいます。

 今回の事故は駐車場で小走り気味に歩いていた時に起こったもので、周りに縁石が多く転んだ場所によっては更に危ないと感じたとのことでした。

 センターでは事故同型品や、市場で入手可能な類似のデザインのブーツを数銘柄購入、自走式の歩行器を使って、実際に人が履いて歩行したときに左右の靴の飾りが絡むことがないか観察しました。その結果、通常歩行でも時折左右の飾りが互いにぶつかり合い、場合によっては絡んでしまうことがあったとのことです。また、結びの輪の中に他方の飾りが入ることもあったとしています。

 センターでは、EUには今回取り上げたブーツと同じタイプの製品について、ケガ防止のためのリコール情報があることを指摘、事故品と類似のデザインは他社製品にもあり、検証試験の結果、同様の現象が発生することがあるので、消費者にはデザインだけにとらわれない商品選びをしてもらいたい、としています。

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子ども用アクセサリーの危険性/カドミウム、鉛の溶出に関する調査結果

 国民生活センターでは、市場に出回っている214銘柄の子ども用アクセサリーについてテストを実施しました。

 子ども用アクセサリーのカドミウム含有については、2010年1月13日に米国で販売されている中国製の子ども用アクセサリーからカドミウムが検出され、その後CPSCが別の銘柄でもカドミウムを検出、製品の回収を行っ行っています。

 また国内に流通している輸入品の子どもが身につける可能性のある金属部分を含むアクセサリーについて、消費者庁からセンターにカドミウムの溶出量に関する調査依頼もありました。

 センターでは、2006年の厚生労働省の「金属製アクセサリー類等に含有する鉛量に関する試買調査」で、鉛が溶出しているものがあったことから、鉛についても併せて調べています。

 調査の結果、カドミウムでは214銘柄全てで国際標準化機構の玩具規格を超えるものはなかったとしています。しかし鉛の溶出では、食品衛生法の金属製アクセサリー玩具の方法で調べたところ、法令違反ではないが、214銘柄中9銘柄で一定量(90μg/g)を超える溶出が認められたとしています。

 今回の調査では問題となるようなものはありませんでしたが、このような商品の仕入れは流動的で常に変わっています。消費者には子供用アクセサリーで、カドミウムや鉛などの有害物質が溶け出る製品があるということを認識しておくべきでしょう。

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住金物産が掛布団にカシミヤ虚偽表示/消費者庁が措置命令

 消費者庁は3月31日、住金物産が製造しQVCジャパンが販売した掛布団に景品表示法(優良誤認)の規定に違反する事実が認められたとして、両社に措置命令を行いました。

 この問題では、昨年11月にも家庭用品品質表示法上の誤表記として、消費者庁と経産省が消費者へ注意を投げかけていて、販売元のQVCでは、この11月の社名公表の時点で当該商品を販売した1331人への送料を含めた返金を実施、昨年中に「どうしても連絡が取れなかった1人を除く、1330人への返金を終えた」といい、対応は良かったようです。

 今回の措置命令に対して消費者庁では、前回は商品に付けた品質タグの誤表示についての対応で、今回は通販番組とWebサイト上での映像や音声が消費者に誤解を与えたことから、措置命令をとったといいます。
問題の商品はQVCジャパンでテレビ放映され、同社のWeb通販サイトも含めて販売された「二層式掛布団カシミヤ&メリノウール」で、掛布団に使用している中綿の素材を「上層ウール100%、下層カシミヤ80%、ウール20%」としていたものですが、実際には上下層ともにウール100%で、カシミヤは全く使用されていないものでした。

 住金物産によると、問題の商品はすべて07年に中国の協力工場で製造されたもので、工場側が提出したサンプル検査はしたものの、販売用製品の検査はしなかったといいます。

 この材料誤表記は、QVC側の商品検査で明らかになり、その後住金物産でも検査して事実を確認したというものです。

 消費者庁では、「誤表示が問題となっており、購入者への返金対応だけでは不十分で、番組内でお詫びをするのが最善では」(表示対策課)としていて、住金物産では今回の措置命令を受け、消費者の誤認を排除するため4月1日付けで全国紙2紙にお詫び広告を掲載しました。

 ところで問題の商品広告ですが、08年1月18日から09年9月11日までの計5日間だけテレビ放映されたもので、通販業界からは「今回の処分は昨年度発足した消費者庁の09年度実績を、1件でも多くしたかったのでは」との声もあり、同案件で2度までも社名公表させられた、と感じている業界関係者の気持ちも、分からないでもないです。

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