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2009.12 No.192  発行 2009年12月26日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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11月のニュースから

AEDが故障、緊急時に使用できずに死亡事故/日本光電

 11月20日、AED(自動体外式除細動器)の輸入・販売大手「日本光電工業」は都庁で記者会見し、同社が販売したAEDが故障していて緊急時に使用できず、女性が死亡する事例があったと発表しました。
 AEDには、部品故障を自己診断で検出するソフトウエアが内蔵されていますが、診断対象外の部分が壊れていたとのことです。

 同社は、同様の不具合が出る可能性がある10万7309台を、無料で改修することにしました。
同社によると、死亡したのは奈良県内の介護施設に入所していた80代の女性で、今年4月15日に施設内で倒れ、周囲の人がAEDを作動させたが放電しなかったものです。

 その後、心臓マッサージによる蘇生が試みられたものの、回復しないまま同日死亡してしまいました。
作動しなかったAEDは、米国の「カルディアック・サイエンス社」が製造し、日本光電工業が販売した「カルジオライフAED−9100」で、類似機種AED−9200、9231、1200の各機種を含め、ソフトウエアを変更するとしています。

 10月には「フィリップスエレクトロニクスジャパンが、米国から輸入したAEDの部品に故障の恐れがあるとして自主回収を始めましたが、これはメモリー機能を備えた部品が故障すると、機器が使用できなくなる可能性があるというものでした。

 今回の事故はテレビなどでも大きく報道されましたが、人命を救うためにある機械が肝心のときに作動しなかった、と言う少々ショッキングなものでした。AEDについては、管理者による毎日の動作チェックが求められていますが、この事故はそれで防げたものではないようです。

 電子機器の信頼性はそれほど高くないので、いつか必ず起きる不具合にどのように対処すべきか、今後さらに検討されることになるでしょう。

 ところでこれら機器の正常動作を確保するには、日常点検による不具合予防がどこまでできるかにも関わってきます。しかし2年前の調査では、AED管理者に求められている、毎日のAEDのバッテリーチェックすら8割以上の施設では行われていない状況にあります。

 責任問題ではなく人の命を守る、その観点から考えると、製品自体のリスク低減が望ましいところです。技術的にはメーカーによる遠隔チェックでの一元管理も可能なので、今後検討してもらいたいと思います。

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電動車いすモンパル ML100の無償修理/ホンダ

 ホンダの電動車いすモンパルML100で、コントロールパネル内の部品が干渉することで、走行レバーを放してもレバーが完全に戻りきらないことがある不具合が判明、そのため電動車いすが停止しない事故が発生するおそれがあるとして、同社は26日、製品の無償修理を始めました。

 不具合の状況は、コントロールパネル内部部品の隙間に余裕が無いため、高温多湿の環境で部品が膨張した際に干渉することがあり、走行レバーから手を放してもレバーが戻りきらず、電動車いすが停止しないおそれがあるとしていて、アクセルボリュームギヤ一式を対策品と交換するものです。

 さて高温多湿の環境下で製品が問題なく動作するためには、メーカーによる環境試験は不可欠ですが、同社はどうしたのでしょう。

 屋外で利用する電動車いすでは、真夏の炎天下における高温状態は素人でもでも容易に想像でき、事故品がそれ以上の、想定外の高温状態にあったとは考えにくものがあります。


 ただコントロールパネルの設計・製造を他社で行っている場合は、ユニット単体での環境試験を求めないこともあります。この場合、受け入れ検査や完成品での試験での対応となりますが、「自社スペック合致している」という他社の証明書の検証を厳格に行わないこともあり得ます。またサンプル数によっては、不具合を見つけることは難しいこともあります。今回のことは、どうやら同社の設計および品質管理上の問題が大きいようです。

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マクラーレン社製ベビーカー、米で指切断事故12件

 消費者庁11日の発表では、英マクラーレン社の折りたたみ式ベビーカーで、ちょうつがい部分に子どもが指を挟んで切断する事故が米国で12件起きていたことがわかりました。

 日本の正規輸入元によると、同社のベビーカーは国内でも約17万台売られているもので、切断事故は確認されていないものの、防止のためのカバーを早急に無償で配るとしています。

 消費者庁によると、米消費者製品安全委員会(CPSC)は9日、99年〜今年11月に米国内で販売された約100万台の顧客に対し、使用を中止してカバーを取り寄せるよう呼びかけたといいます。CPSCには、切断に至らなかったものを含めて15件の事故が報告されているとのことです。

 日本市場でも10日付で、マクラーレン正規販売店を通じて販売致した製品について、安全対策用の米国マクラーレン社が発表した「製品安全予防措置」にしたがい、「ヒンジカバー」の無料配布を始めました。

 ところでベビーカーに手指を挟む事故は前から報告されていて、国民生活センターでは2004年にベビーカーの安全性のテスト結果を公表、乗車中に手指を挟む危険性について注意を呼びかけていました。
 その後2006年11月、ベビーカーの開閉時に手指を挟み、あわや切断という事故が2件相次いで寄せられたことから、2007年4月に改めて注意を促がしていました。

 今回のヒンジカバーで危険のリスクが減少するならば、当初からこの部品が付いていれば問題は無かったことになります。メーカーの製品の安全評価が低かった、と言うことでしょう。
 それにしても4年前に国民生活センターが注意を呼び掛けていたのに、メーカーはハードでの対応を怠り、取扱い説明書での対処に終始したことも問題だったようです。

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東芝ライテック、ハロゲンランプ器具を無償交換

 東芝ライテックは4日、個人宅などの天井用ランプとして2004年4月から09年7月までに販売したハロゲンランプ器具「IHP60026R」など15機種が、使用中に本体部分が落下する可能性があると判明したため、計4296台を無償で交換すると発表しました。

 同社によると、木製の本体部分内の電線が、熱により劣化して切れてしまい、本体部分が落下してしまうものです。

 ハロゲンランプの熱によってテーブルが焦げる事故が6月に発生したことを関連会社を通じて把握、人体への被害はなかったものの、熱で劣化しにくい電線の素材と設計変更した商品に無償で交換することを決めたものです。

 どうやら同社はハロゲンランプの熱についてあまり認識していなかった、ということのようですが、ずいぶんいい加減な安全評価だったことになります。
東芝ブランドのため、他のメーカーとの信頼度の差があると思って購入する人も多いのに残念なことです。

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プリマハムなど、串刺し商品から化学物質を検出

(プリマハムは11月30日、自社で製造・販売を行っているヒレクシカツ(300g・450g)、豚クシカツ(35g・70g)など串を使用した串刺し商品の一部から化学物質2‐クロロエタノールを自主検査で検出したと発表しました。

 30日現在でこれが原因とされる健康被害の報告はないものの、同社は串を使用した商品の販売を停止し自主回収を決めたものです。

 12月に入ると、伊藤ハムも「串付きフランクフルト切れ目入り他2製品」の竹串から2-クロロエタノールが検出されたとして、回収を始めました。

 また同じ2―クロロエタノールが検出されたとして、複数の食品メーカーが先月末以降、商品の自主回収を実施していたことが分かりました。

 この物質は殺菌剤などに使われ毒性も強いものの、厚生労働省によると、検出されたのはいずれも微量で、生命や健康に直ちに影響が出ることはないそうです。

 回収を行っているのはプリマハム」、「トーチクハム」、「伊藤ハム」の食肉3社と、十勝大福本舗」(北海道)の和菓子製造1社です。

 プリマハムによると、先月28日に全製品の自主検査を行ったところ、串カツやアメリカンドッグなどの竹串から同物質が検出されたため、翌29日から自主回収を始めたものです。その後、同じ竹串を使用している他社も自主検査を実施、同様にとなったため、12月10日までに回収を決定しています。

 またプリマハム製品を店頭販売していた「セブン―イレブン・ジャパン」も販売を中止しました。
同省によると、竹串は国内業者が中国から輸入した竹を加工・販売したもので、殺菌工程で同物質が生成されたとみています。

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清涼飲料水「田七人参全草液」からヒ素検出、回収

 中国産のニンジンを原材料にした清涼飲料水から微量のヒ素が検出されたとして、神奈川県は20日、製造元の会社に商品の回収を命じました。

 ヒ素が検出されたのは、神奈川・秦野市の「日南製薬」が製造した清涼飲料水「田七人参全草液」で、神奈川県の保健福祉事務所が行った抜き取り検査で発覚、県は食品衛生法に基づいて日南製薬に商品の回収を命じたものです。検出されたヒ素は0.4PPMとごく微量で、健康被害の恐れはないといいます。

 「田七人参全草液」は中国・雲南省を主な原産地とする「田七人参」を原料としているもので、1箱に10ミリリットルのガラス瓶20本入りで、横浜市の業者を通じて口コミやインターネットなどで167箱が流通していたといいます。

 日南製薬は「田七人参のエキスに含まれていたヒ素が製品に入ってしまったようだ」としていて、自主回収を始めています。

 中国では野菜における化学農薬の使用量がたびたび問題となりますが、その注意すべき素材であったものの、同社では自主検査を行っていなかったものと思われます。

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