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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。.
10月のニュースから
■古い消火器の破裂事故が起きています!
国民生活センターでは古い消火器の破裂事故が相次いで起きていることから、注意を促しています。
平成21年9月15日と16日に、腐食が進んだ消火器を操作したことによって消火器が破裂し、負傷者がでる事故が相次いで起きました。
この事故以外にも、平成11年度以降、数多くの事故が起きて死亡事故が起きた事例もあります(日本消火器工業会の調査および消防本部からの報告による)。
そこで、消費者に以下の注意を呼びかけるとともに、消費者庁および総務省消防庁が公表した文書を紹介しました。
<消火器の取扱いの注意点>
・消火器を風雨にさらされる場所や、湿気が多い場所に設置しないこと。
・消火器の状態を目で見て確認し、腐食が進んでいるものは、絶対に使用しないこと。
・不用になった消火器は、消化剤の放射や解体といった廃棄処理は自分で行わず、回収を行っている専門業者に廃棄処理を依頼すること。
とくに、腐食が進んでいる加圧式の消火器は、破裂の可能性が大きいので、速やかに専門業者に処理を依頼したほうがよいとしています。
9月中旬に起きた60歳代男性の事故は、古い消火器の破裂事故の報道を見て、自宅の納屋に十数年前から置いてあった消火器を廃棄しようとしたときに起こったものでした。男性は薬剤を放射して使い切ろうとしたものの、レバーがさび付いていたため放射できず、さらに力を入れてレバーを引いたところ、底部分が破裂し、反動で跳ね上がった消火器が下あごを直撃したものです。
この消火器は、底部分が激しく腐食していて、ラベルの文字が判読できず、製造時期も確認できませんでした。腐食がすすんだ消火器は危険なことがよく分かります。
総務省消防庁によると、消火器本体の耐用年数は8〜10年で、廃棄するときは、自分で処理せず、専門業者に依頼することを勧めています。
同じく9月ですが、10歳の男児が屋外の駐車場で放置されていた消火器に触って遊んでいたところ、その消火器が底部から突然破裂、頭を直撃し重症を負ったという事故がありました。消火器は20型という、約10キログラムもある重さのもので、その破壊力が想像できます。
この消火器は1989年製で、20年前に製造されたものでした。長い間、風雨にさらされ、本体容器の劣化が相当進んでいたものと思われます。
消火器の処理は専門業者に依頼するのが確実ですが、新しい消化器を購入すると古い消化器を引き取ってくれる店もあるので、そのようなところを利用するのも良い方法です。[目次へ]
■乳児が入り込み重傷を負う事故が発生/日本育児の落下防止柵
今年の7月9日、株式会社日本育児が輸入したベッド用落下防止柵を設置した、大人用ベッドで寝ていた乳児が、柵とベッド上のマットレスの隙間に入り込み、重傷を負った事故が発生していたことが分かりました。
消費者庁などによると、この防止柵を取り付けたベッドに寝ていた生後5か月の男児が、すき間に体ごと挟まれたものです。男児は胸が圧迫されて一時、心肺停止するなどし、現在も入院しているといいます。 保護者が目を離している間に、ベッドに寝かされていた乳児が動いて隙間に挟まったのが原因のようです。
さて同社製品を取扱説明書どおりに設置した場合、ベッドとの間に2cmの隙間が生じるものの、この状態では乳児が入り込む可能性は少ないとのことです。しかし柵を設置した状態で大人がベッドを使用したり、マットレスが柔らかいなどの状況等によっては隙間が広くなる可能性があるそうです。
一般には「使用する際に生じる製品とマットレスの間の隙間」、及び「乳児を寝かせる際に注意を払う必要がある」といった注意喚起が必要ですが、同社製品の取扱い説明書には記載されていませんでした。
なお対象年齢は、生後まもなくから5歳頃までと記載されていることから、使用方法に問題は無く、同社の注意表示の欠落が問題視されるでしょう。
同社ではホームページ及び販売店舗等において、マットレスとの隙間に関する使用上の注意喚起を行い、同社が把握している製品購入者に対しDMを送付、安全な使用方法についての注意喚起を行なうこととしました。
また業界団体では今回の事故を受け、全国ベビー&シルバー用品連合会及び、同様の機能を有した類似製品を取り扱っている各事業者は、それぞれの製品の使用者に対して製品とベッドのマットレスとの間に生じる隙間に関する注意喚起を行うことにしました。
また同連合会では今後、ベッド用落下防止柵の製品の安全性、使用対象年齢表示、使用法・設置法、取扱説明書・製品本体等の表示についての調査及び検討を進め、ベッド用落下防止柵の安全に関する業界の自主基準を検討していくことを考えているそうです。
消費者へは、ベッド用落下防止柵とマットレス等複数の製品を組み合わせて使用する際には、製品の間に生じる隙間において思わぬ事故が発生する可能性があることを認識、使用上の注意等取扱説明書に従って正しく使用することを求めています。特にベッド用落下防止柵を使用して大人用ベッドに乳幼児を寝かせている方は、ベッド用落下防止柵とマットレスの間に隙間が生じないよう正しく設置されているか、常に確認し、乳児については、出来るだけ目を離さないよう注意を呼びかけています。
今回の事故は予見可能でしたが、同社および業界では製品上の警告ラベルや取扱い説明書での注意書きの対策を怠っていたことになります。重大事故が起きてからの対応という、少々不満の残るニュースでした。[目次へ]
■脚が外れるおそれのイスを無償点検・交換/コクヨ
コクヨファニチャー(株)は、同社が販売したダイニングチェアーの一部製品において、後脚の接合部が外れる可能性があるとして、製品を無償で点検、交換すると発表しました。
2005年6月3日から2009年7月末日に販売した製品で、使用中に後脚の接合部が緩み、外れる可能性があることが判明したものです。場合によっては転倒し怪我をする恐れがあることから、同社では無償点検および交換の措置を取ることにしました。
対象のダイニングチェアーは、品番:CK-W1930KJ24, CK-W1930KJ68, CK-W1930VD64, CK-W1930VD22です。
4年間も販売していた製品ですが、いまごろ欠陥が判明したようです。家具の安全性確保では、強度・耐久試験が求められていますが、同社では行っていなかったのでしょうか。大手企業ですが、安全に対する甘さがあったのかもしれません。[目次へ]
■「キティとあそぼ!」、付録のパーツで子供が誤飲の恐れ
(株)サンリオは、9月15日に全国書店にて発売した隔月刊誌「キティズパラダイスPEACEキティとあそぼ!クレープの号」の付録バスケットボールゲームについて、化学的特性(重金属などの溶出)については食品衛生法に適合しているものの、付属のボールが小さく、小さな子どもが誤って飲み込んでしまう恐れがあるため、商品の販売を中止するとともに、回収・返金することにしました。
再発売あるいは代替雑誌の刊行については、詳細が決定次第ホームページで案内するとしています。
幼児が遊ぶおもちゃなどでは、素材から毒性物質が溶け出ないか、あるいは飲み込んでしまうことで窒息の危険がないか十分注意して販売するものですが、今回はチェックが甘かったようです。
サンリオショップではカー用品、時計などもあり、キティキャラクターを印刷した様々商品が存在しています。それら外注で作られた商品の安全性は、サンリオでどの程度チェックされているのか、企画部門で今回のケースを見落とした点からも、メーカーの「安全です」の言葉を鵜呑みにしているとしたら問題です。[目次へ]
■無印良品、羽根まくらから羽毛が飛び出し顔に負傷
(株)良品計画は、無印良品で販売した「羽根まくら」の一部において、充填物の羽毛が生地から飛び出し顔などの皮膚を傷つけたという事例が発生したため、該当商品を回収し返金することにしました。
原因はシングルステッチで縫製したために、縫い目から羽毛が飛び出したようです。充填物がダウン・フェザーの場合はダブルステッチ縫製が常識と言われていますが、どうしたというのでしょうか。
このような商品が企画・販売された同社の製品安全性評価は機能していないようです。[目次へ]
■「ニコチンがビタミン」粉末に根拠なし/公取委、たばこ用品販社の不当表示認定
たばこの先に付けて吸うと「ニコチンをビタミンに変える」などと表示して販売されている粉末剤「ビタクール」「タバクール」について、公正取引委員会は19日、効果を裏づける根拠がないとして、販売などをしている3社に対し、表示をやめるよう、景品表示法違反(優良誤認)に基づく排除命令を出しました。
命令を受けたのは、販売会社「ビタクールジャパン」と「ミュー」、製造・販売会社「オーシロ」の3社。
同製品は、プラスチック容器などに入れた粉末を喫煙する際にたばこの先端につけて使うもので、(株)オーシロが製造し、3社が「タバクール」(株)オーシロ、「ビタクール」(株)ビタクールジャパン、ミューM、という商品名で販売しています。
公取委によると、3社は、2003年以降、商品のパッケージやホームページで「ニコチンの約80%をビタミンB複合体であるニコチン酸に変える」「副流煙のニコチンやタールを減少させる」「ニコチン・タールを還元作用によって減少させ、本人だけでなく周囲への煙害も少なくする」「ビタミンCの破壊が少なくなるため、肌荒れが少なくなる」などと表示していたものです。
3社が公取委に提出した資料では、ビタミンの増加などは認められたものの、ニコチンからの変化などを示すデータはなかったといいます。粉末剤を使うとビタミンの一種であるニコチン酸が増えることを示す数値データなどを根拠にしていましたが、公取委は「商品に含まれていたビタミン成分が燃え、数値が増えた可能性もある」としています。
ビタクールジャパン社は「命令に従い、パッケージその他から文言は削除する予定」、ミュー社は「データ取得ができるまで、指摘された表現を自粛する」としています。
公取委によると、3社は包装紙やホームページなどに「ニコチン・タールを減少させ、周囲への煙害も少なくする」などと表示、粉末剤0.7〜5グラムを500〜3000円程度で販売していたものです。
喫煙者が健康を気にしていることを逆手に取った商法で、いろいろな香りを楽しむ、ということでの需要があったようですが、タバコの先に得体の知れない粉末を付けて燃やすことに、不安を感じない喫煙者もいることに驚きです。化学反応により、ニコチン以外の危険な物質が生成される恐れを感じなかったのでしょうか。[目次へ]
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