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2009.9 No.189  発行 2009年9月27日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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8月のニュースから

NITEから注意喚起/冷水筒による事故と扇風機の事故

 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)では、冷水筒と扇風機による事故について注意を促しています。
<冷水筒事故>
〜事例1〜
 冷水筒(AS樹脂製)に熱い麦茶を入れ、ふたを閉めて持ち上げたところ、容器が破裂して、体に熱湯がかかり火傷を負った、というものです。
 この事故の被害者は、熱湯を入れた際には十分に冷ましてからふたをする旨の表示が製品上にあることを認識していたものの、うっかり熱いうちにふたをしてしまい、容器の内圧が高い状態で持ち上げたとしています。

 NITEでは、内圧と荷重の負荷に耐えられなくなって、取っ手の付け根付近が破損したものと推定、冷水筒に熱湯を入れるときは、十分に冷ましてからふたをするよう注意して欲しいとしています。

〜事例2〜
 冷水筒に酸素系漂白剤(粉末)と水を入れ満水にし、ふたをして台所の流しに放置しておいたところ、容器が破損したというものでした。

 NITEでは、密閉容器中で酸素系漂白剤から酸素ガスが発生したため、内圧が上昇し容器が破損したものと推定、ガスが発生する漂白剤などを容器に入れる場合は、ふたを閉めないよう注意を促しています。
 冷水筒を漂白剤で綺麗にするときに、このような方法をとりやすいかもしれませんが、注意したいものです。

<扇風機事故>
〜事例1〜
保育園で使用中の扇風機から火花が散り、煙が出た、というケースがあります。これは被害者が、天井取り付け型扇風機の清掃後に、プロペラを確実に取り付けなかったため、プロペラが前ガードと干渉してモーターがロック状態となり、過電流によりモーター巻線が異常発熱し、巻線と内部配線間で短絡・スパークし、発煙したものと推定されたものです。

 清掃後、組み立完了時の動作確認をしないことは考えにくく、プロベラが回らない異常状態に際し、被害者はなぜ速やかに電源を切り、異常原因を探らなかったのでしょうか。
 明らかなユーザーミスですが、保守・清掃などで製品を分解したりする場合は、取扱説明書をきちんと読まないといけません。

〜事例2〜
 鉄筋3階建てビルの飲食店から出火、1階部分約40平方メートルを焼いた事故の原因が扇風機だったケースです。事故の被害者は10年以上、扇風機に電源コードを巻き付けたまま使用していたといい、首振りの際、コードの引っ張り等による機械的ストレスを繰り返し受けて、断線、短絡し、出火したものと推定されています。

 このことからユーザーの危険認識がなかったため起きた事故のようです。事例1、2、いずれもユーザーの注意が足りなかったものですが、「ついうっかり」というものや、全く危険の認識の無いものまで、改めての注意が必要でしょう。

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家庭用オゾン発生器・調理器具による事故原因/国民生活センター注意喚起

 国民生活センターでは8月、消費者に家庭用オゾン発生装置と調理器具の安全性について、注意喚起を行いました。

<家庭用オゾン発生器>

 強力な酸化力を持つオゾンは、殺菌、脱臭等の幅広い分野で利用されていますが、最近では「室内等の除菌、脱臭」や、「生成したオゾン水による食品の添加物や農薬の除去」等、様々な効果をうたった家庭用オゾン発生器が販売されています。

 センターが把握している、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)では、2004年度からの約5年間に、オゾン発生器に 関する相談が410件寄せられています。このうち、「利用したら気分が悪くなった」「オゾンガスが体によくないとの情報があり不安」など、安全性に関するものが67件みられた、としています。

 オゾンは酸化力が強いため、高濃度のオゾンに曝露されると身体への影響が大きいものの、我が国では家庭用のオゾン発生器から排出されるオゾンに関する規制や基準がありません。そのため、身近な家庭用オゾン発生装置により高濃度のオゾンが大量に発生しているようであれば、ユーザーの身体への悪影響が懸念されます。

 そこでセンターでは、家庭用のオゾン発生器7銘柄(空気中と水中の両方で使用できるタイプ4銘柄、空気中のみで使用できるタイ プ3銘柄)を対象に、使用時に周囲・室内のオゾンが高濃度にならないか、また、使用上の注意・効果・オゾンの発生量等の表示が適切であるかも調べ、消費者に情報提供することにしたものです。

 センターの調査結果から、主な内容を以下に紹介します。

空気中での使用
 空気中、水中の両方で使用ができる4銘柄は、排出口付近のオゾンは最大2.2〜10.2ppmと高濃度で、8.7畳相当の室内で30分間運転すると最大0.1〜1.0ppmと、室内環境基準や労働環境における許容濃度の0.1ppmを超えて危険であった。

 空気中のみで使用できる3銘柄のうち、1銘柄は長時間使用すると室内のオゾン濃度が0.1ppmを超える場合があるのに対し、残りの2銘柄は室内のオゾン濃度をほとんど上昇させることがなく、オゾン濃度には大きな差があった。

水中での使用
 室内で少量の水に使用する場合、水中に通したオゾンのほとんどは溶けずにそのまま空気中に放散されるため、室内のオゾン濃度が高くなり危険であった。また浴室内で使用すると、短時間でオゾン濃度が高くなり危険であった。

表示
 高濃度のオゾンを吸い込むような危険な使用方法の表示があった。さらに2銘柄でオゾンに関する注意事項がほとんどなかったとし、治療効果をうたうなど、薬事法に抵触するおそれのある表示及び広告がみられた。
 オゾンの発生に関する表示は、発生量や濃度が記載され、単位が統一されていない他、表示値と実測値がかけ離れているものもあり、表示を見ても、どの程度危険なのかを知る目安にはならなかった。

 以上の結果からセンターでは、使用方法によっては危険なオゾン濃度となるものがあり、またオゾン発生量等の表示を見ても、専門知識のない消費者が安全に使用することは難しいと考えています。そしてこのような現状のもとでは、購入は避けた方がよいと結論づけています。

 センターの言うように、商品を売るための行き過ぎた効能の宣伝につられない、そして安全を配慮しない製品は買わない、ということを皆さんが認識すべきでしょう。

<電気ミキサー>
 センターには「電気ミキサーの部品を交換しようとしたとき、安全装置があるにもかかわらず急にカッターが回り出し、左手親指、人差し指、中指を切った。カッターが回り出した原因を調べてほしい」というテスト依頼があった事例を含め、危害情報システムには2004年度以降2009年度(2009年5月末登録分)までに、電気ミキサーで手指にけがを負うという事故事例が計16件寄せられているといいます。

 中には「電気ミキサーにガラス容器をセットする前に電源プラグを差したら、スイッチが押された状態になっていたためカッターが突然回転し、右手人差し指を12針縫う切断寸前のけがをした」という深刻な事故事例もあったため、センターでは電気ミキサーについて、手指のけがを防止するための安全性に着目したテストを行いました。

 今回の対象は、容器と容器台座が分割できる電気ミキサー8社8銘柄のテストとし、容器と容器台座が分割できない電気ミキサーについては、参考品として6社6銘柄の参考テストを実施したものです。その結果、カッターが露出した状態での作動確認テストでは、カッターが露出まま作動してしまう危険なものがあったといいます。

 カッター作動に関する安全装置の有無については、カッターが露出した状態で作動した4銘柄のうち、3銘柄には安全装置が付いていなかった。また、残りの1銘柄は安全装置が本体上には付いているが、容器台座上にはなく不十分であった、としています。

 また電源スイッチの種類について調べたところ、全8銘柄ともプッシュボタン式であった。また、使用直前に誤ってスイッチが押されないように、複数の操作を経ないとスイッチを押せないような工夫をしたものはなかった、といいます。

 安全装置についての表示では、「ボトルを取り付けないと作動しない」と表示しているにもかかわらず、ボトル(容器)を取り付けていなくてもカッターが露出した状態で作動してしまい、安全装置について誤認を与えるような表示のものがあった、としています。

 以上の結果からセンターでは、電気ミキサーによる手指のけがを防止するため、使用時以外は必ずコンセントから電源プラグを抜くことを勧めています。また、本体に容器台座と容器を取り付けないと、カッターが作動しない安全装置が付いているものを選ぶとよいとアドバイスしています。

 製品としての完成度の低い危険な商品が売られている現状では、消費者自らが注意しなければなりませんが、このような危険な商品がどこでも売られている日本の現状について問題視する必要があります。欧米に輸出する製品には厳格な安全規格をクリアーできる日本企業ですが、我が国ではコスト削減として規制がない部分の安全レベルを下げて国内市場で販売する場合があります。

 そのような日本企業のポリシーは私達国民生活のことを考えているとは思えず、私達を金儲けの対象としか見ていないようにも感じられて、残念でなりません。

 最近のニュースにある、エレベーターの二重ブレーキ問題をみても、私達を取り巻く社会は、家電製品に限らず欧米諸国よりも遅れた安全基準ばかりで、安全後進国と言われても仕方ないですが、企業を優先してきた政治の問題を感じざるを得ません。

<スライサー>
 センターには、「きゅうりをスライスしていたら右手人差し指を3針縫うけがをした。構造上問題がないか調べてほしい」というテスト依頼のあった事例を含め、危害情報システムには2004年度以降2009年度までに、スライサーで手指にけがを負うという事故事例が計292件寄せられています。

 中には、「きゅうりをスライス中に、右手小指の先端を切り、爪が剥がれて、人工皮膚を移植した」という深刻な事例もあったといいます。これまでセンターではスライサーを使用する際の手指のけがの危険について情報提供を行ってきたものの、現在も事故が後を絶たないため、今回は、スライサーについて手指のけがの危険性に着目したテストを行い、スライサーの安全な使用方法をあらためて消費者へ情報提供することとしたものです。

 今回のテストは、平刃タイプ(片刃)6銘柄、平刃タイプ(両刃)1銘柄、V刃タイプ2銘柄、計6社9銘柄を対象としたものです。テスト結果は次のものでした。

 スライサーは刃が露出している構造のため、そもそも危険なものであるが、たわみが大きいものは持っている野菜がより早く小さくなり、手指が刃に近づきやすくさらに危険であるとしています。プレート中央のたわみが大きかった1銘柄は、「思ったよりも持っている野菜が早く小さくなった」と回答した人が最も多かった。

 小さくなった野菜をスライスする際に使用する安全ホルダーは、野菜の種類や大きさによってはうまくスライスできなかったといいます。

 テレビCMでは安全ホルダー使用状態の映像がありますが、野菜を最後までスライスするものはなく、スライスできない残りが出てしまうことは分かりません。そのため実際には安全ホルダー使わなく、手で押さえる消費者も多いと考えられることから、事故も起きるようです。CMの印象で製品の質を評価するのはなかなか難しいものなので、注意が必要です。

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■埼玉養蜂、はちみつの不適正表示/農水省是正指示、デパートも回収へ

 農林水産省は、中国やハンガリーなど外国産の原料を混ぜたはちみつを「国産」と表示して販売したとして、はちみつ製造・販売会社「埼玉養蜂株式会社」をJAS法に基づき、是正指示を出しました。

 同省などによると、遅くとも平成20年3月から同21年5月まで、同社は、「国産純粋はちみつ」など14商品について、国産はちみつに中国産やハンガリー産、アルゼンチン産などの外国産を最大で約70%混ぜながら、商品名や原材料名欄に「国産」と表示して、同社のウェブサイトや全国のスーパーなどで計約7万個(約43トン)を販売したといいます。

 国産はちみつの価格は、外国産と比べ約4〜5倍の価格差があるといい、偽装表示が後を断ちませんが、今回の事件では三越などデパートで販売された商品の回収も進められています。

 同社は明治41年創業という老舗で、北本市商工会が紹介する文言からは、歩み続けた歴史と実績は「信頼」の柱を築いています、とあります。

 さらに大手デパートとの取引など、埼玉県内の工場の評価も高く、「厚生大臣賞」受賞、埼玉県「彩の国指定工場」で、立派な企業として紹介されています。

 しかし同社の実態は、不正が見つかりにくいことをいいことに、分かっているだけでも1年以上にわたり消費者をだましてきたことになります。

 企業が掲げる理念やポリシーには立派な言葉が並びますが、その理念を実践しないばかりか金儲けのために犯罪を犯す、そんな消費者の信頼を踏みにじる事件であり、憤りすら感じます。

 食品業界では、不正が当たり前のように頻繁に不正のニュースを見聞きしますが、この業界では他社の不正事件を「対岸の火事」とするだけで、全く危機感がないように感じられてしまいます。いつになったら私達が安心できるのでしょう。

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