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2004.1 No.121  発行 2004年1月14日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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ゴンドラから転落死で事業改善命令/御岳ロープウェイ

電線と樹木の接触が原因/米・カナダ大停電、中間報告

京福バスまたまた不祥事

バスのブレーキ違法電波で障害/三菱ふそう、ABSに不具合

人間ドックの値引き妨害/日本総合健診医学会に注意

盲導犬同伴を拒否/徳島の3セク保養施設

福祉用具の安全性・使い勝手の評価機関

葉たばこの残留農薬検査



12月のニュースから

ゴンドラから転落死で事業改善命令/御岳ロープウェイ

 長野県三岳村の御岳ロープウェイで10月、乗客2人がゴンドラから転落死した事故で、国土交通省北信越運輸局は16日、同社に対し安全管理体制の強化と、施設改善を柱とした事業改善命令を出しました。鉄道事業法に基づく行政処分で、ロープウェイの事業者に出されたのは全国で初めてのことだといいます。

 命令は安全管理体制について、事故の11日前にゴンドラがワイヤをつかむ握索機の異常で非常停止がかかるトラブルがあったにもかかわらず、運輸局に速やかに報告されていなかったことなどを重視したもので、安全確保が確実に行われる組織体制の見直しや、社員に対する教育指導体制の確立などを指示しました。

 施設改善については、事故で傷ついたワイヤの交換や、全ての握索機の解体点検、握索機の異常を感知できなかった安全装置の再整備などを指示しました。ロープウェイだけでなく、同社が保有しているリフトも対象として、十分な点検整備を求めたものです。同社は今後、運輸局に改善の具体的な内容と時期を届け出た上で、改善を実施、運輸局の立入検査で安全が確認されれば運行再開となります。

 ただ同社の柴田社長は同日の会見で、「安全整備についてはきちんとやってきたと理解している」と釈明し、予測し得ない事故でやむを得なかったかのような発言をしています。しかし事故の11日前、ゴンドラが握索機の不良で非常停止したトラブルを運輸省に報告しなかった理由を聞かれると、「整備担当者から報告が無く、事故調査報告書を見て初めて知った」と述べている通り、安全運行が適切に行われていることの検証もなしに「社員はきちんとやっているはずだ」という思い込みに慢心していたようです。

 施設改修には1億円が見込まれるとしているため、運行再開は当分めどが立たない状況ですが、村内の観光業者からは1日も早い営業再開を求める声が出ています。しかし営業再開のためには原因となる設備の改善と、同社の安全管理システムの構築が必須のはずで、業者というのは自分の都合ばかり言うものです。


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■電線と樹木の接触が原因/米・カナダ大停電、中間報告

 8月中旬の米カナダ大停電の原因を調べていた両国合同調査委員会は19日、中間報告を発表し、米オハイオ州で電線と伸びた樹木が接触して送電障害が発生、電力会社の対応ミスを引き金に、米中西部の送電システムを管理する機関が適切な措置を怠ったことが重なったと結論付けました。当初原因については、米国とカナダが相手側にあると主張し合っていましたが、米国の電力インフラのもろさが証明された結果となりました。

 停電で5,000万人が影響を受けたという事故は、「停電の大部分は防ぐことが可能だった」との米エネルギー長官の声明にあるように、人為的ミスが重なったことで被害が拡大したことが明らかになりました。米国・カナダの電力網は電力自由化などにより非常に複雑に絡み合っていることはニュースでも良く聞きましたが、これら電気網は、電子回路のシステムやコンピュータ管理システムを運用するときでも同じような事故が起こるとを示唆しています。鉄道ダイヤや信号システムのどこかに異常が発生すると、監視システムを管理する人や復旧に携わる人の人為的ミスが重なることで、現実に復旧までには大幅に時間がかかるなど、最近でも身近に見聞きします。

 安全策を何重にしようとも「人の行うミスは排除しきれない」ということ、あるいは人のフェールセイフの問題について改めて考えたいものです。

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京福バスまたまた不祥事

 愛知県内の東名高速道路で11月、乗客24名を乗せて走行中の京福バスの夜行高速バスの男性運転手(51)が、喫煙しながら運転していたことが分かりました。道路運送法に基づく旅客自動車運送事業運輸規則では、乗客のいるバスなどの車内で乗務員が喫煙することを禁じていて、中部運輸局福井運輸支局は同社を口頭で厳重注意しました。

 運転手は「眠かったので、1本だけ吸った」といっているようですが、仮眠中の交代運転手を起こすことはせず、乗客の迷惑を省みずタバコを吸うといった法律違反を行った同社の管理は一体どうなっているのでしょう。ましてや6月に別の高速バス運転者が携帯メールを送受信しながら運転したことや、9月には車検切れのバス運行が発覚したのですから…。法律や顧客に対する品質を無視した、個人の勝手な運用がまかり通るようでは公共交通事業者ならずとも失格ですが、この辺りのことが分かっていないようです。あるいは最近言われている「現場力」の復権とは逆に、現場力に支配されているのかも知れません。

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バスのブレーキ違法電波で障害/三菱ふそう、ABSに不具合

 「三菱ふそうトラック・バス」のバス2車種が、改造されたトラック無線などの違法な高出力電波を受けるとブレーキが利きにくくなり、人身事故が東京都内で2件起きていたことが15日、同社の調査で分かりました。同社では約2,200台を対象にブレーキ部品などを無料で交換する改善対策を国土交通省に届けました。

 事故は2002年4月と11月に首都高速で発生、いずれも突然バスのブレーキが利かなくなり、前を走っていた乗用車などに追突し乗客が骨折するなどのけが人が出たものです。

 同社が調べたところ、ABSのセンサーが、アマチュア無線で認められている上限の2.5倍の2,500ワットの電波を受けると不具合が起きることが判明したといいます。

 最近の車はコンピューター制御でエンジンの出力やエネルギー効率を最適化したり、その他多くの電子制御システムを搭載されています。スリップしないようブレーキをコントロールするABSシステムですが、そのセンサーの不具合でブレーキが利かなくなる、というのでは困ります。センサーに限らず電子部品というのは必ず壊れるものであり、そのときに危険になるような設計は安全設計とは言えないものです。今回は違法電波による事故ですが、ABSセンサー単独不良による同じ事故が起こり得るのかどうか心配です。

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人間ドックの値引き妨害/日本総合健診医学会に注意

 人間ドックの内容を審査し優良施設を認定している日本総合健診医学会(JHEP)が、値引き契約を問題視して「非常識な料金は看過すべきでなく、優良認定を取り消す」と圧力まがいの文書を全国の優良施設に送り、公正取引委員会から9月「独禁法違反につながる恐れがある」と是正を求める注意処分を受けていたことが6日、明らかになりました。

 関係者によると、警察共済組合警視庁支部は昨年、職員約2,000人を対象に人間ドックの実施を計画し、東京都内を3地域に分けて見積もりを取り、最安値を示した3施設と昨年7月に契約をしたといいます。料金は1人約2万円〜3万円で、3万円代後半から4万円前後とされる優良施設の相場より安い契約でした。

 JHEPは昨年8月になって「非常識な料金で契約する施設の存在が指摘される。会員相互の信頼を考えると看過すべきでなく、優良認定の辞退を勧告し、辞退しなければ取り消す」との警告文書を全国200カ所以上ある全優良施設に送ったといいます。

 JHEP側は「人間ドックの質を守ろうとした」と言っているようですが、人間ドックを安価に提供するという、顧客満足度を高める姿勢は品質重視の基本的な考え方です。安ければサービスも悪い、との見方をする人は減り、場合によれば「高ければ不等に利益を得ているのではないか」と疑う人も増えてきている現在、JHEPの行ったことは後者ではないかと思われます。JHEPはまた「非常識か常識的」かの判断基準を明確する必要があります。そのためには人間ドックの料金体系を詳細にわたり公開しなければ客観的な発言とはいえず、受注できなかった他施設からの不正な圧力があったのだと疑われてもしょうがないでしょう。

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■盲導犬同伴を拒否/徳島の3セク保養施設

 徳島県市場町が出資する第三セクターの保養施設「金清温泉白鳥荘」が、盲導犬を同伴した徳島県鳴門市の視覚障害者団体の宿泊を拒否していたことが30日までに分かりました。

 この団体によると、視覚障害者16人の研修旅行のため、10月上旬に同施設に宿泊を申し込み、同施設も予約を受け付けたといいます。しかしその後、盲導犬2匹を連れていくとを電話で告げると、「受け入れた経験がない」と全員の宿泊を断わられ、旅行先の変更を余儀なくされたといいます。団体側は「盲導犬は訓練されていると説明したが『犬が嫌いな人もいる』と言われた。理解不足だ」と述べています。

 同施設の尾田正雄所長は「階段が多く施設も老巧化しており、けがをする恐れがあると考えて断わった。現在は受け入れ体制を取っている。法律は知っていたが現場の対応は簡単ではない」などと話しているようです。

 宿泊施設は顧客満足度を重視するはずなのですが、自分たちの対応努力を怠りお客さんを差別し、しかもそれが法律に触れる行為であっても「しかたがなかった」という言い訳しかできないのはどういうことでしょう。2003年10月に身体障害者保護法の適用が、不特定多数が利用する民間施設に拡大されたばかりなのに、「法律を知っていた」と言うのに何も対応せず、事件発覚後の発言である“簡単でない現場の対応”が1カ月程度でできたというのは、不自然でしょう。ようは法律を遵守する“その気”がなかったとしか思えません。

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■福祉用具の安全性・使い勝手の評価機関

 全国の福祉団体や介護サービス事業者、神戸市などが27日、東京都内で会合を開き、車椅子など福祉用具の安全性や使い勝手を評価する第三者機関「日本福祉用具評価センター」の設立に向けた発起人会を発足させました。来年3月に設立し、2005年度から業務を始める予定としています。

 事務局によると、評価はJIS規格試験のほか、利用者モニターの意見をふまえた使い勝手の評価も実施するとしています。当面は車椅子だけを大将とするようですが、将来的には介護用ベッドや杖など他の福祉用具も評価する予定だとしています。福祉用具の安全性や使い勝手が正しく評価されることはあまりなく、客観的な認証マークの付与などにより利用者の購入時ガイドになることが期待されます。

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葉たばこの残留農薬検査

 日本たばこ産業(JT)は、来年度から国産葉たばこを購入している全ての農家を対象に残留農薬の検査を実施します。これまでは一部農家で抜き打ち検査を実施しているだけでしたが、喫煙の健康リスクを拡大しかねない農薬の使用を抑制するよう農家に促してたばこの品質を安定させ、外資系たばこ会社との競争激化に備えるとしています。

 たばこ離れが進む中、JTの品質重視の姿勢ですが、非喫煙者から見ると同じ毒を吸っているのにそこまでする必要があるのか、といった疑問があります。しかし農薬を使用するとたばこの味や香りに影響が出る可能性があるのだといいます。実際のことは良く分かりませんが、農薬使用量を低減することをPRし、商品価値を高めたいというところでしょうか。

 ところでたばこの葉はいいのですが、巻いてある紙の問題はどうなっているのでしょう。漂白剤を使用した紙であれば、その紙が燃えるときにはダイオキシンが発生するのですが、その辺りの危険性についてはJTはどのように考えているのでしょうか。ニコチンやタールなどの毒性を無視したいJTとしては、おそらくノーコメントでしょうが…。

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終わりに

 市民団体のアクセシビリティガイド実行委員会は全国の駅のバリアフリー情報を収集、ホームページで公開しています。1999年に立ち上げた「日本列島縦横無尽ーネットで作ろうアクセシビリティガイド」(http://www.a-guide.org/ACG/default.htm)がそれで、現在ホームページ上で全国約1,400駅の情報を公開しています。

 同団体の活動は、調査を全国の人たちに任せる市民参加型が特徴で、これまで調査には約500人の全国のボランティアが関わったといいます。また各自の調査項目や方法を統一するためサイト上で30項目に上る調査票を公開しています。ボランティアの人はその調査票を印刷して、近くの駅を探検し情報を提供することになります。まだまだ地方の駅の情報は少ないようですが、多くの人の参加で最新情報に更新する頻度が多くなり、情報精度が増すことにもなります。いざ外出しようとする障害者や足腰の弱ってきた高齢者のために、今後ますます充実して欲しい取り組みです。

 ところで車いす利用者を悩ませていることに、外出から戻ってきた際の車いすの車輪の汚れを落とす作業があるといいます。障害者が車椅子に座ったまま他の人が車輪の汚れを落とす場合、体重がかかっているため車輪が回らずけっこう労力を要するといいます。晴桂研究所(0794-22-1712)の「車椅子車輪清掃具 ラクリーナ」は、自転車の車輪の回転軸を木枠に縦に2つ取り付けた構造で、人が乗ったまま作業ができるものです。車いすの車輪を前後に回しながら汚れを拭き取るだけの、簡単作業だといいます。http://www.hwc.or.jp/kensyuu/tenji-hall/yougu/idou6.htmlで商品を見ることができます。

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