●●●明科旧国鉄廃線跡の散策で出会った「せっぷん道祖神」●●●
新型コロナ禍が襲った今年(2020年)の春先より、明科の旧国鉄篠ノ井線の廃線跡を探索してみようと数度に分けて出かけた。

廃線跡には、明治のころに造られたレンガによるトンネルがいくつかある 急な坂道を登ると、池桜の“聖地”といえるお墓のそばに道祖神が見えてくる
廃線跡は5〜6Kmあり、9月29日、終点のあたりを歩いていると、筑北へと続く国道403号線に出くわした。その脇に「池桜せっぷん道祖神」の看板を発見。クルマに乗り換え、細い脇道をたどることにした。2Kmほど進むといかにも限界集落を思わせる池桜の家々が見えてきた。中には廃屋もまじっている。急な坂道の手前でクルマを停め、目的地までは歩くことにした。急な坂道を歩くこと7〜8分で、道祖神のほこらと案内版が見えてきた。隣はお墓となっていて、長い間、村人たちの聖地のような場所だったことがうかがえる。
そこには3体の男女双体道祖神がまつられている。中央と右のものは、写真のように確かに接吻をしている。良く見ると互いに舌を出し入れしているようで、エロチックな香りさえ漂っている。信州のなかでも山深いこの地に“芸術作品”が鎮座している。期待以上の衝撃を受ける。江戸期につくられたようで、「縁結び」「疫病退散」「五穀豊穣」「家内安全」「子孫繁栄」などの願いが込められているのだろう。

3体の男女双体道祖神がまつられている。江戸期の作だがもちろん作者不明 真ん中の道祖神の拡大写真。性愛の様子ともとれるリアルな描写である
安曇野には、3体の接吻道祖神があるといわれる。ひとつは龍門渕公園(明科)にある大きなレプリカと、もうひとつは穂高柏矢町にある。いずれも、今回観た池桜の接吻道祖神をモデルにして後世につくられたようだ。以下に、案内板に書かれていた文面を紹介しよう。
【安曇野市有形文化射】池桜の接吻道祖神
平成20年10月29日指定
明科地区には、すでに確認されている道祖神だけでも146体あり、その数は長野県内でも一、二を争うものです。この道祖神は、県内でも特色のある物とLて有名で、昭和27牟郡誌編纂(へんさん)会モデル調査の時に学者に注目きれ、パリの拓本展にも出品きれ、注目を集めまLた.
道祖神の大ききは高さ53cmで、男女がお互いの肩に手を回しL、せっぷんをLています。仲むつまじく、抱き合っている婆は、ほかでも見かけることがありますが、ここのようなせっぷん像は珍らしい形です。
この道祖神は、江戸中期の作であるとされていますが、形態からすると江戸後期のものと思われます。