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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。
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■電力自由化の落とし穴/カリフォルニア州停電
■水道配管から出火し家屋全焼/水道管凍結で業者解凍作業中
■エコノミークラス症候群話題になる/英国の報告など
■携帯電話の電磁波、人体に悪影響無し/総務省中間報告
■レーザーポインター有害玩具指定/島根県
■子供のCT撮影、発ガンの危険性/米コロンビア大まとめる
■ペットフードの安全基準は必要か/農水省実態調査に乗り出す
■文字や画像拡大/日本IBM開発の高齢者用ソフト
1月のニュースから
■電力自由化の落とし穴/カリフォルニア州停電
日本では昨年大口需要家を対象とした電力の部分自由化が始まりましたが、1998年から完全自由化を行ったカリフォルニア州の電力供給不足が招いた停電問題はショッキングでした。現在米国では25州が自由化に着手しているといい、各州とも市場メカニズムとの矛盾がないよう工夫しているため今回のようなことはない、としています。今回のカリフォルニア州の電力自由化失敗の原因は、電力会社に対する取引制限など、がんじがらめの規制の結果と言われています。その中で一番の原因は、やはり小売り料金が固定されてしまっていたことではないでしょうか。同州では当初、競争原理から卸の料金が下がることを見込んでいたのですが、原油とガス価格が高騰しても電力会社は規制された安い電力で売らざるを得なく、経営が極端に悪化したというものです。また小売価格が上昇しなかったことから、電力消費者の節電意識や行動が促進され需要が控えられる、という経済のバランスも働かなかったということです。
現在の生活は電気がなければ何もできない、というほど電気に依存していて、ガスや石油を利用する暖房器具や調理器具でもコントロールシステムに商用電源を使うことが多くなっています。電力会社にあまりにも依存している現状の社会基盤のあり方が、果たしてこれで良いのかと不安に感じてしまいます。今世紀中にも化石燃料が枯渇してしまう、と言われているため、今自然エネルギーからの電力供給に関心が高まっています。また、家庭用のマイクロガスタービンシステムなど究極的な分散型電力供給システムの推進も個人生活のリスク回避に有効になると見られています。身近にあるガソリンスタンドが業態変更して小規模な発電事業者となるなど、新規参入による電力業界は今後大きく変わっていくかもしれません。
しかし日本では未だ自然エネルギーを利用した発電が実用域に達してないようで、ドイツのように数百万キロワットの風力発電が稼働している国と比べると、規制緩和を始めとする政治の強力な後押しがまだまだ不十分だと感じてしまいます。
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■水道配管から出火し家屋全焼/水道管凍結で業者解凍作業中
寒い地方では水道管が凍結することは良くあるのですが、日中の自然解凍が見込めない場合専門業者に解凍を依頼することがあります。解凍方法は鉄製の水道管に電流を流して氷を溶かすものが一般的なようです。ところが長野県伊那市では、解凍作業中に配管の一部が加熱し女性(80)宅が全焼する火災があり、伊那消防署は17日、関係業者に注意を促しました。伊那署や同消防署によると、女性は風呂場の水の管が凍ったため、市内のガス会社に解凍を依頼、同社は風呂の壁と外壁の間の凍結した管に電流を流したといいます。しかし電流は凍結した水の管には流れず、併設されている抵抗の少ない湯の管に流れてしまい、ステンレス製の蛇口部分が発熱、周囲の断熱材や外壁に引火したと見られています。
水と湯の両方の配管があるときには、蛇口で合わさることで両方の管による並列回路が構成されてしまい、2箇所の蛇口に電極をつなぐと、解凍すべき管に電流が流れず他の管に流れてしまうというものです。水道管の元と凍結した箇所に近い蛇口の間に電流を流せばいいのですが、手間を省いて屋内の2箇所の蛇口に電極を取り付けたのがいけなかったのでしょう。なお、同消防署が同様の設定で実験したところ、ステンレス製の管は4分半ほどで真っ赤になり、温度は600度近かったと言います。
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■エコノミークラス症候群話題になる/英国の報告など
12日付の英紙タイムズによると、昨年のシドニー五輪に参加した英国選手団の監督やコーチ計3人に、長時間の航空機搭乗で血行障害が生じる「エコノミークラス症候群」が起きていたことが分かりました。治療に当たった医師は「手当を受けなければ生命の危険もあった。五輪監督ら健康な人が発症したことは、この症状が誰にでも起こり得ることを示している」と警告しています。3人は35−45歳で、このうちマウンテンバイクの監督は英マンチェスターからオーストラリアのブリスベンまで22時間エコノミークラスに搭乗したものです。身長が190センチを越えることから機内で窮屈な姿勢を続け、到着時には左足のふくらはぎがむくみ、夜には痛くて触れないほどであったといいます。到着2日後に医師の診断でエコノミークラス症候群と診断され、伸縮力の強いストッキングをはくとともに6週間にわたる抗擬血薬の注射を続け、飲み薬は今も服用しているといいます。
エコノミークラス症候群については、2日後の14日付の英日曜紙サンデー・タイムズでも取り上げられ、ロンドンのスタンフォード病院がこのほど8時間以上航空機に搭乗した50歳以上の約400人を対象に調べたところ、10%の人に血栓が生じているのが見つかったと伝えています。
最近ではテレビでも紹介され理解されてきたエコノミークラス症候群ですが、病気自体は1970年代末から知られているようです。原因は航空機で長時間同じ姿勢で太ももが圧迫されることから下肢静脈に血栓ができ、着陸後に動き出したとたんにその血栓が血液中を飛んで肺の血管を詰まらせてしまうものです。また航空機内は湿度が約20%と低いため、体が脱水状態になり血栓ができやすいとされています。予防法はできるだけ水分を取ることや、自由に動けない場合は1時間に1回程度は座ったまま足踏みやつま先立ちなどの適度な運動が勧められています。水分といってもアルコール類は利尿作用から脱水を促すので、過度の摂取は良くないようです。
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■携帯電話の電磁波、人体に悪影響無し/総務省中間報告
携帯電話から出る電磁波の人体への影響を評価していた総務省の生体電磁環境研究推進委員会(委員長・上野照剛東大教授)は30日、「健康に悪影響を及ぼすという証拠は認められない」とした中間報告をまとめました。電磁波の影響評価は実験用のネズミなどで実施したもので、迷路の道順を記憶させたネズミの頭部に電磁波を当てて正答率を比較したり、電磁波を当てる前後の脳の変化を調べたところ影響は見られなかったというものです。
テレビニュースでも実際にネズミが動き回っている映像が放映されていましたが、実験方法が果たして妥当なものだったのか疑問に感じたのですが、どうでしょう。迷路の道順を記憶させたネズミの脳ですが、どの程度の細胞レベルの被害が生じたときに正答率がどのくらい変化するのか、ということなど分かっていないのが現状でしょう。このような子供の理科の実験のような簡単な実験結果を、中間報告といえども公表するというのは、あまりにも性急にすぎるように思います。電磁波が脳細胞一つ一つに与える影響がどのように表れるかを解明した実験でもなく、ある条件下で起きたネズミの行動から脳の変化がなかったことを、どの程度の信頼性で評価できるというのでしょうか。これでは「携帯電話の電磁波が影響ない」、ということを無理やり証明するための作為的な実験のような気がしてなりません。
同じ携帯電話の安全性について英政府は昨年11月、携帯電話の販売に際して「携帯電話が発する電磁波が健康に悪影響を与える可能性がある」と明示した小冊子の添付を義務付け、利用者に過度の使用を警告することを決めています。この小冊子では「十分な科学的解明はなされていない」とした上で、「電磁波による潜在的な危険性」を指摘し、特に「保護者は子供に携帯電話を長時間使わせるべきではない」と注意を呼びかけています。
安全か危険かが解明されていないことに対する謙虚さを持つことが科学者や国の取るべきスタンスですが、我が国政府と英国政府の「国民を守ろう」という姿勢の差を感じるものです。数多くの化学物質が今になって人体への悪影響が明らかになりつつある現在、未熟な科学技術のために分からないことを「危険でない」と言い張る根拠は、経済重視や特定の業界保護であっても国民の健康を配慮しているとはとうてい思えません。
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■レーザーポインター有害玩具指定/島根県
全国でレーザーポインターの事故が相次いでいることから、島根県は25日、県青少年健全育成条例に基づきレーザーポインター5種類を有害玩具に指定すると発表しました。指定されたレーザーポインターは、18歳未満の青少年に対し店頭販売と自動販売機での販売が禁止されることになります。違反した場合は30万円以下の罰金としています。
島根県では99年11月に中学生がレーザーポインターで目にけがをする事故が起きていることから、全国で初めての有害玩具指定にいたったようですが、国が守ってくれない健康被害は自治体が行う、という住民中心の考えは評価できます。少しでも、できるところから始める柔軟な取り組みは、住民の信頼を得ることになるでしょう。
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■子供のCT撮影、発ガンの危険性/米コロンビア大まとめる
現在は多くの病院でCTによる撮影が行われていますが、米コロンビア大のデビッド・ブレナー博士らが22日米医学誌「エックス線学」に発表した報告は気になります。CTは子供の患者に必要量の5倍もの放射線を浴びせている、というもので米国内ではこれが原因で年間500人の子供が将来がんにかかって死亡する、との評価をまとめています。
CTの放射線は通常のエックス線よりも強く、博士らによるとCT撮影の実施件数は医療用エックス線撮影件数全体の4%にすぎないのに、放射線の量は全体の40%を占めていると言います。またCT装置が発するエックス線の強度は大人の体に合わせてあり、子供を対象とした撮影でも、ほとんどの医療施設で強度を調整していないことが判明したとのことです。
病院では患者増につなげる対応の一つとして最新の機械を導入することがありますが、きめ細かな設定ができる機械でも検査技師の問題や病院の効率優先の考えから子供用の放射線量設定をしないこともあるのでしょう。CT装置の使用では患者が負担する金額も大きいことから、被爆量の安全を求めて医師にぜひ相談したいものです。
医療現場では薬の処方でもメーカーの勧める標準的な大人・子供に対する量が基準ですが、患者が訴える副作用が血液検査などで分析できないことも多く、きめ細かくデータを追跡し量を調整することはまずありません。「そんなことはないと思いますが」というように、医者は患者の訴えが医師の経験外であるときは認めてくれないものです。データで表れないが身体に何らかの症状が出るのであれば、それは大事なデータの一つであり、技術力不足から錠剤1つ、と紋切り型の処方で良いのか常々疑問に思っていました。100%ではきつすぎるものの半錠の服用では効果が薄れてしまうときに、75%の量を試みてみたいときに医者は「そんなにも変わるものではありません」などということがありますが、人の個体差は医者が考えるよりはるかにバラエティーに富んでいるものです。
医療従事者で血液検査を頻繁に行える環境の人では、錠剤を1錠・半錠を交互に服用することで、ベストのデータに落ち着いているケースを知っています。医者の処方と違うことから一般には勧められないものの、こまめな検査と自己症状の把握および医師への相談から治療改善の余地は多いようです。何といっても苦しむのは自分であり、医師はその状況を分かっているものではないのです。
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■ペットフードの安全基準は必要か/農水省実態調査に乗り出す
農水省は飼い主がペットフードを安心して購入できるよう、ペットフード産業の実態調査に乗り出します。欧米では飼料扱いになっているペットフードですが、我が国では法律の立ち後れから分類上は飼料でも食品でもありません。そのため飼料安全法や食品衛生法の対象外で野放し状態となっているため、添加物や栄養成分の表示が正しいかどうかも分かりません。業界団体では栄養成分の基準や添加物の使用などを自主規制していると言いますが、3,000種以上の商品もあるペットフードが管理されているとは思えません。ビーフとうたっているものでもなぜか魚臭いものがあり、おやつなどの嗜好品にいたっては、その毒々しい色や異常な光沢からペットに与えて良いものかどうかの判断すらできないものもあります。
品質問題を真面目に考えない儲け主義の企業が多い国では、アウトサイダーを放任し罰則権限も持ち得なく、八方美人的な業界任せで良いことはほとんどない、と言っていいでしょう。行政のき然とした安全策が求められるのですが、役人の自己保身行動からか社会の改善度は遅々として進みません。ペットフードの世界にもようやく安全や品質が検討される時代になったようですが、1960年にペットフードが日本に登場して以来40年以上も経ってからの農水省の動きは、いかにも遅い気がします。
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■文字や画像拡大/日本IBM開発の高齢者用ソフト
日本IBMは23日、高齢者などがインターネットや電子メールを抵抗なく楽しめるように、画面の文字や画像(アイコン)の拡大やマウスのクリックが1回で済むよう簡単に設定できるソフトを開発したと発表しました。同社が高齢者30人にパソコン操作の感想を聞いた結果、「文字が見にくい」「マウス操作が難しい」などの声が多かったことから取り組んだもので、OSの23項目の設定を自動的に変更することで初心者でもワンタッチで文字の拡大などができるようにしたものです。
Windowsからグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)になり、取っつきやすくなったパソコンですが、環境設定が面倒では困ってしまいます。Macではこれら操作環境の変更は結構簡単に行えることから、「何でこんなことがニュースになるのかな」と少々不思議な気もします。
どうもマイクロソフトの製品は機能の有無が最優先で、使いにくくても機能が揃っていれば性能がいい、つまり商品価値がある、という論理のようで、そこには顧客が使えるかどうかは別問題としているように思われます。商品価値とは性能を使いこなすことで初めて表れ享受することができるものであり、OSの操作環境という誰にでも必要な設定が簡単にできないと言うのは欠陥にも値します。ファインダー上のファイル名を変更する場合、Macの場合は十数年以上も前から直接そのファイル名を選択して入力・修正可能でしたが、以前さわったWindows機ではファイル名を選択した後、メニューから“ある”コマンドを実行させ修正する必要がありました。またMacの画面ではアプリケーションと同じように、どのフォントも使用でき、サイズは9〜24ポイントまで6種類を選ぶことができます。
WindowsになってからはMS-DOSの環境を意識しないで済むようになったのですが、OSの入れ替えやシステムの不調によりハードディスクを初期化するなど、非常時においてはMS-DOSコマンド無しには操作ができない現状は昔と何ら変わっていないようです。またCD-ROMから起動できないため、2枚組のフロッピーディスクで作業するのですが、一般的には大事なデータのバックアップを取ることはとても難しいようです。パソコンユーザーのすそ野が急拡大している中、MS-DOSにお世話にならない新Windowsが必要な気がします。
また、なぜかWindowsでは起動ディスクを切り替えることができませんが、Macでは起動ディスクをコントロールパネルから切り替えることができ、緊急時にはCD-ROMで起動し、起動ディスクを外部ハードディスクにすることで操作環境を変えることなく仕事が続行できます。仕事を中断しないで、時間のあるときにパソコン内部のディスクを初期化するなど対処すればいいのです。いまだにマイナーなMacですが、MS-DOS的な環境そのものがGUIとなっている使いやすさがもっと一般に理解されて欲しいものです。何かのときに自分で対処できるのが、“道具”であるパソコンの本当の姿だと思うのですが、どうでしょうか…。
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終わりに
インプレスのパソコン解説書「できるシリーズ」のデジタル版が、ソニーのパソコン「バイオ」に組み込まれて販売されることになりました。解説書「できるウィンドウズME」と「できるウィンドウズ2000プロフェッショナル」を、インターネットブラウザーで見られるようなファイル形式で提供されるものです。
OSの操作からとまどうのでは、本来の目的であるワープロや電子メール、イラスト作成などのアプリケーションソフトを使う前に挫折してしまう可能性があり、人気のソニー製品ならではの対応だと思います。OSというのは操作にとまどうこと無く、自然なユーザーの操作を促してOSそのものの存在が分からないくらいが本来のユーザーインターフェイスだと思うのですが、パソコン好きなマニアックなスペック押し付けが鼻につきます。各アプリケーションソフトでの操作環境が異なっている場合も多く、これではパソコン初心者は学習することが多過ぎていやになってしまいます。ITと強調される時代、今後パソコンテレビが端末となることも予想されます。その操作環境がパソコンとは全く別な使いやすいものになった場合、今あるようなパソコンの必要性は一部のプロだけのものになるのかもしれません。
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