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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。.
5月のニュースから
■生活用品の事故報告を義務付け/改正消費生活用製品安全法施行
メーカーや輸入業者に生活用品の重大事故を、国に報告することを義務付ける改正消費生活用製品安全法が15日、施行されました。
パロマ工業製のガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒、シュレッダーのゆび切断事故など、生活用品による事故が相次いだことを踏まえた措置で、国は企業や商品名を含め事故情報を公表、被害の拡大防止を狙うものです。
事故報告が必要となるのはガス機器や電気製品、玩具などで、他の法令で規制されている自動車や医薬品などを除く大半の身の回りの製品が対象となっています。これら製品による事故で死亡や重傷を負った場合、メーカーは10日以内に経済産業省に届け出なければなりません。消費者の誤使用などで起きた事故で、製品そのものに欠陥が無い場合は該当しません。
これまで企業による製品の事故報告は任意だったため、国にはほとんど報告されず情報収集も不十分で、死者が出るなどの社会問題化してから初めて情報が出てきたものです。今後は早い段階で安全性に不安のある製品が公表されることになるので、消費者にとっては歓迎できることです。
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■遊具の安全管理のずさんさ明らかに/ジェットコースター事故から
5日午後零時50分ごろ、大阪府吹田市の万国博記念公園内にある遊園地「エキスポランド」で、走行中のジェットコースターが手すりに衝突し、乗っていた女性1人が死亡、男女21人がけがを負った事故がありました。この事故では車軸が折れたのが直接原因とみられ、この部品は1年以上も点検していなかったことが判明しました。エキスポランドによると、車軸は毎日の点検や月一回の定期検査の対象でないとしていますが、同様の施設である熊本県荒尾市の「三井グリーンランド」では、毎朝、車軸の状態を確認、運行3万回ごとにメーカーで検査し部品を取り換えているといい、エキスポランドの安全管理の問題が浮かび上がってきました。
また2001年5月にコースターの車軸が折れ、重傷者2人を出した富士急ハイランドでは、専門業者に依頼し3カ月に1回、超音波で車軸を含め車両全体の傷を調べているといい、冬は休業するものの2シーズンに一回は車両を解体検査しているといいます。
エキスポランドでは人の大勢集まるゴールデンウイーク前にこそ、万全な安全担保をする必要があったのですが、他のアトラクションのために検査場所が確保できないため、として安全を後送りした顧客無視の姿勢が鮮明となっています。
エキスポランドのジェットコースター脱線事故を受けて国土交通省は23日、全国の遊具306基(139施設)を対象に行った緊急点検の結果を公表しました。安全面の点検では、5施設の7基に車輪や車軸の亀裂など問題が見つかました。一方、調査対象の4割にあたる119基では、JISで実施が定められている探傷試験も過去1年以内に実施していなかったことが判明、信じられないことに72基は設置後1度も試験が行われず30年以上たっていたケースもあり、同省は「極めて問題が大きい」としています。
国交省では、亀裂などが見つかった施設に対しては是正を指示するとともに、探傷試験を1年以内に実施していない遊具については、安全が確認できるまで運転を中止するよう求めました。
緊急点検は、傾斜5度以上の高架レール上を走る全国の遊具306基が対象で、安全面の問題が見つかったのは、「浅草花やしき」、「多摩テック」、「日本モンキーパーク」など5施設にある7基です。うち6基は部品を交換するなど対応済みと国交省に報告があり、他の249基については問題はなく50基は点検中だとしています。
国交省は探傷試験の法的な位置づけを明確にするため、建築基準法施行規則などに明記して義務化する方針でいます。
JISが定める探傷試験がなおざりにされてきた実態について、国交省建築指導課は「探傷試験を怠れば、重大な事故にもつながりかねず、極めて問題だ」としています。[目次へ]
■六本木ヒルズエレベーター、赤さび1年10か月放置/日本オーチス
六本木ヒルズ「森タワー」のエレベーターのワイヤロープが破断、火事が発生した事故が4月に起こりましたが、事故機を管理する「日本オーチス・エレベータ」が、2005年1月にロープの赤さびなどを確認しながら、1年10か月も清掃を行わず放置していたことが1日、同社の社内調査でわかりました。しかも今年3月の定期検査ではロープの太さを調べただけで、ロープの状況を「良好」とする虚偽の報告書を作成していたことも判明、時間・コストのかかる面倒なことはしたくないという安全意識の無い同社の体質がうかがえます。同社の江崎英二社長らが同日、国土交通省で記者会見して明らかにしたもので、それによると同社は05年1月、事故機を含む計11基のエレベーターの保守点検を行った際、ロープがこすれて生じる金属粉や潤滑油、ホコリなどがロープの表面に付着し、赤さびなどが発生していることを確認しました。
そして赤さびを取り除く清掃や給油を実施することを当時の社長が出席していた本社の品質責任者会議で決めたのですが、事故機の清掃は実際には06年11月、同年12月、07年3月に行われただけです。しかもその内容は、赤さびや汚れを部分的に除去するにとどまったといいます。
建築基準法では年1回の定期検査が義務付けられ、同社では赤さびを確認して以降の05年〜07年の毎年3月に検査員が検査を実施していました。しかし、少なくとも07年の時点では汚れで破断の有無が確認できない状態だったのに、専用の検査機器も使用せず、ロープの太さだけを調べて、ロープの状態を「良好」とする報告書を作成、所有者の「森ビル」を通じて東京都に提出する手続きを進めていたといいます。この報告はまた、日本オーチス社本社の担当者も把握していたようです。
赤さびについては、2005年の時点で、別の場所の同社製92基でも見つかり、同じ現象は同業他社の製品でも起きており、一部の社はロープごと交換することにしています。
また、六本木ヒルズの11基については、定期検査とは別の保守点検で昨秋、「汚れが激しく、除去するのは困難」、との報告が日本オーチス社にあがったものの同社が交換を決定したのは今年2月と大幅に遅れてしまいました。このため昨秋の段階で交換を決めていれば、火事を防ぐことができた可能性も指摘されています。
6月に入った4日には、六本木ヒルズ「森タワー」で起きたエレベーター火災を受け、国土交通省は同社管理の約5万基を対象にした緊急点検結果が発表されました。
それによると、17都道府県の計80基に、エレベーターのかごをつるすワイヤロープの一部に破損があったり、ロープが伸びたりして、安全対策として何らかの対応が必要なことがわかり、同社では同日までにロープの交換などを終えたといいます。
ワイヤロープは鉄線の束をより合わせてできていて、JISの検査基準では、一つの束のうち5本以上の鉄線が破損したり、ロープが一定以上伸びたりしないように求めています。今回の点検では計76基は基準に適合していないことが判明し、うちロープの破損が61基、伸びが15基ありました。またウレタンでロープを覆うタイプの1基については、ウレタンが破れ鉄線がはみ出していたといい、他の3基は基準には適合していたものの、一部の鉄線が破損していたというものです。
コースター事故もそうですが、機械的な部品・製品は適切な保守管理が長期間の安全確保に欠かせないものです。そしてその結果受けることのできる信頼性は、いつ壊れるか分からない電子部品・システムよりもはるかに高いものです。現在は多くのものが電気で制御される時代ですが、私達はシステムダウンを含めた事故が常に起こり得る不安の中にいます。“機械もの”の信頼性を再評価できるような保守・点検の大事さを浸透させ、そしてそのためのコスト負担・設備の増強などをあらゆる産業に求めたいものです。[目次へ]
■家電業界最大規模のリコール/松下、レンジ、冷蔵庫、衣類乾燥機で305万台
松下電器産業は30日、部品の不具合が原因で発煙や発火の恐れがあるとして、電子レンジ12機種、冷凍冷蔵庫5機種、電気衣類乾燥機11機種の計28機種、約305万台について、リコールを行うと発表しました。
対象は、電子レンジが1988年12月〜93年12月に製造した約193万台で、電子部品の一部が過熱して火花が出ることがあるといいます。冷蔵庫は89年2月〜92年10月製造の約30万台、衣類乾燥機は93年8月〜2001年12月製造の約82万台で、いずれも部品の不具合で発火する恐れがあるといいます。
同社によると、2000年以降、電子レンジで9件、冷凍冷蔵庫で5件、衣類乾燥機で9件、計23件の発煙・発火事故が発生、製品の一部が焼けたり、床が焦げたりしました。02年10月には、愛知県内で衣類乾燥機の発火で煙を吸い込んだ2人が、のどを負傷する事故もありました。
火災などにつながる可能性もあるため、同社では5月14日に施行された改正消費生活用製品安全法(消安法)を意識してリコールに踏み切ったようです。
事故は当初、原因不明であることから公表されておらず、同社の安全管理が徹底されていなかった実態も明らかになりました。
「偶発的な事故と判断していました」、2000年11月以降、計23件相次いでいた事故を公表していなかった理由について、問題の3製品を担当する社内分社「松下ホームアプライアンス社」の前川馨副社長は30日の記者会見で、そう繰り返していました。
当時の調査では、それぞれの製品に共通する原因を解明できず、製品に起因する事故との認識がなかったというものですが、大企業の原因究明技術レベルがこんなに低いとは思いがたく、コスト負担をいやがり対策を怠るような内部の雰囲気でもあったのではないかと疑いを持ちたくなります。
最も多い193万台がリコール対象となった電子レンジは、01年3月から02年8月までに4件の発火事故が起きていて、部品の一部にひびが入っていました。同社は発火の再現実験を重ねたものの、そうした事象は起きず原因の推定にも至らなかったとしていますが、ずいぶん簡単にあきらめているようです。
「発火」という事象が起こり得る原因(遠因))には何があるのか、それらを洗い出し、そして各項目を逐次検証することで高い確度で原因に行き着くことも多いのですが、同社ではそのような解析手法をとらないのでしょうか。
ところで今回の大規模なリコールに乗り出すことになった電子レンジなど計23件の事故は、発生場所や製品名、被害状況などを含む事故概要などを経産省に届け出ていましたが、同社は消費者に対しては事故の発生を知らせず、経産省も事故の公表や同社にリコールを指導するなどしていませんでした。
今回、リコールに踏み切った経緯には、事故対応が後手後手に回り死者2人、重体3人を含む8人の被害者を出した石油温風機事故の反省があったとされていますが、消安法の施行の影響も大きいと思います。今回のケースから、企業にはどんなトラブルでも情報開示する責任がある、という認識が少しでも広がることが期待されます。そして製品の安全の責任には時効がない、ということも各企業には重く受け止めてもらいたいものです。
また事故を報告・公表しないメーカーは、被害が軽微であっても消費者の批判にさらされる可能性もあり、どのような事故をどこまで公表するか、そしてどこまで回収するかは実際悩ましいとこでしょう。[目次へ]
■ヤマハ発の電動自転車22万台を自主回収/モーター駆動が止まらず重傷事故18件
ヤマハ発動機は31日、同社の電動アシスト自転車で全国の9都道府県から計18件の重傷事故の情報が寄せられた、と発表しました。同社ではすでに15日、電動アシスト自転車で重傷3件を含む7件の事故が起きたことから、最悪の場合モーター駆動が止まらず転倒するおそれがあるとして約22万台の自主回収を始めましたが、今回の重傷事故2件も回収の対象製品でした。
重傷事故2件は大分県と香川県で今年5月と4月に発生、いずれも突然急発進したため転倒し、肩や頭、腕を打って1カ月以上の通院などを余儀なくされているといいます。
対象製品は、ヤマハブランドの「PAS スマイル X101/102/121/131/132/151/152/171」の128,982台、ブリジストンブランドの「A12/13/14/15/16/17」の79,559台、ミヤタ(宮田工業)ブランドの後輪モーター型製品の12,817台で、いずれも2001年1月から2003年2月までに製造されたものです。
同社では不具合の原因として、ごくまれにトルクセンサーのスプリングが摩耗しセンサー精度が損なわれること、基板上のハンダがひび割れでモーターへの電流制御が異常になることの2点を挙げています。
基板上の電子部品の短絡・開放を想定した異常状態の試験はどのメーカーでも行っていると思うのですが、同社はどうなっているのでしょう。非常に初歩的な設計ミス、あるいは安全管理システムの問題があったのかも知れません。しかし消安法が今月14日に施行されたこと受け、同社もさっそく経産省に報告したようです。
ところで経産省のホームページ「報道発表資料」内に、メーカーから報告のあった重大製品事故について「消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について」との見出しで事故情報が掲載されるようになり、利便性が高まっています。[目次へ]
■こんにゃくゼリーで男児死亡/国民生活センター注意喚起
国民生活センターは23日、こんにゃく入りゼリーを7歳の男児がのどに詰まらせて死亡する事故が3月から4月にかけて2件起きたと発表しました。同センターなどが詳しい調査に乗り出しますが、「10歳ごろまでの子どもや高齢者には食べさせないで」と呼びかけています。
同センターに寄せられた情報によると、4月下旬甲信越地方の男児が祖父母宅で食べ、のどに詰まらせて窒息状態になり搬送先の病院で約1週間後に亡くなったものですが、母親が「のどに詰まった時は背中をたたいて下さい」という注意書きに従い、背中を強くたたいて吐かせようとしましたがうまくいかず、救急隊員が器具を使って取ったときには手遅れだったといいます。また3月下旬には東海地方の小学1年の男児が、学童保育で出たゼリーをのどに詰まらせて窒息死しています。
これらの事故2件はそれぞれ違う会社の商品だとのことです。
95〜96年に計8件の死亡事故が相次いだのを受け、製造業者が加盟する全国こんにゃく協同組合連合会(全こん連)や全日本菓子協会などは「小さなお子様には与えないでください」と表示したり、ゼリーの形や大きさを改良したりする対策をとったことはまだ記憶にあたらしいものです。このような注意喚起が原因なのか分かりませんが、97年以降の死亡事故は1件にとどまっていました。しかし死亡に至らない事故は続いていることから、同センターは昨年秋にも「幼児や高齢者は特に注意を」と呼びかけていました。
同センターによると、EUでは03年、ミニカップゼリーを含むゼリー菓子へのこんにゃく使用が禁止され、米食品医薬品局(FDA)も窒息被害の恐れがあることを度々消費者向けに警告、FDAでは「コンニャクゼリーを見かけたら通報するように」と呼びかけるほど危険性が高いものです。
全こん連の小林幹郎・常務理事は「詳しく調べて更なる対策を検討したい」としていますが、諸外国の規制の主旨を理解し、単なる注意書きだけではない、製造・販売中止などの抜本的安全策を講じてもらいたいものです。
ところが6月15日、国民生活センターが新たに高齢者2人の死亡があったと発表しました。それよると2002年7月、父親が祖母にゼリーをスプーンで小さく切って与えていたところ、喉に詰まらせ救急車で運ばれたものの低酸素脳症になり、3ヶ月後に死亡したというものです。
またもう1つの事故は2006年6月、夫がペースメーカーの手術をした後、自宅療養中に食欲がなかったため、ゼリーをスプーンで4分の1ずつすくって食べさせたが、2回目を口にしたところで気管に詰まらせて苦しみ始め、背中をたたいたところ1つは出てきたものの、2つ目が詰まったまま救急車で病院に搬送、しかし死亡したというものです。
注意してもこんにゃくゼリーが危険であることは明白で、人により注意の度合いが異なることもあり、商品を買わない・食べないのが賢明です。センター公表では、(株)エースベーカリーの「ちぎりたて果熟園蒟蒻ゼリー」と(株)ハーベストの「収穫のおかげ蒟蒻ゼリー」の2商品です。[目次へ]
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