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2007.3 No.159  発行 2007年3月22日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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2月のニュースから

■東電原発検査でデータ改ざん/92年、柏崎1号機

 東京電力柏崎刈羽1号機で1992年、事故時に炉心を冷やす系統の非常用ポンプが故障しているのに、作動するかのような偽装をして定期検査に合格していたことが1月31日に分かりました。

 東電は同日、一連の発電所でター改ざん問題を受けた全発電所の調査結果を経済産業省原子力安全・保安院に報告、これで原発に対する国の検査の際に行われた改ざんは25件、延べ200回にものぼったといいます。また火力発電所でも3件の不正があったといいます。

 同社は現在ではいずれも改善され、運転や安全性に問題はないとしていますが、2002年のトラブル隠し後にも隠ぺいされた不正が続々明るみに出ており、同社の体質や調査能力に疑問がもたれています。

 保安院原子力発電検査課によると、偽装工作などについては電気事業法違反(検査妨害)の疑いが強いものの、3年の時効が成立しているといいます。今後原因究明と再発防止策の策定を指示することにしています。
報告によると、柏崎刈羽1号機の偽装工作は1992年5月、緊急炉心冷却装置(ECCS)を構成するポンプが検査前日の11日夕に故障していましたが、検査官がポンプそのものでなく中央制御室のスイッチの表示しか見ないことを逆手にとり、スイッチが入ってもポンプが動かない試験用モードで検査を受けて、合格させたといいます。ECCSは原発の異常時に作動する最終の安全装置で、これで原発の安全性を担保されているとも考えられます。

 同装置の検査データを改ざんという発想そのものは、一般国民には考えられない異常行動です。安全意識の全く無い同社の偽装工作には、厳罰をもって対処してもらいたいと思います。原発の炉心損傷事故は10の−7乗の確率とも言われますが、ハードの安全性をいくら高めようとも人が介在するエラー、偽装、などを考えると、定量的な安全性の評価など意味がないような気がしてきます。

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花粉症用食品で一時意識不明/和歌山の女性、厚労省と和歌山県が調査

 厚生労働省と和歌山県は26日、同県内の40代の女性が花粉症対策用の健康食品を飲んだ後、全身にアレルギー反応が起こり、一時意識不明になったと発表しました。この女性は既に快方に向かっているといいます。
食品は「健森」(山形市)が製造、販売している「パピラ」で、通報を受けた山形県は24日、食品衛生法に基づき同社を立ち入り調査しました。厚労省などは「この健康食品が原因と断定されてはいないが、予防的観点から公表した」と述べています。

 厚労省は、インターネット上で花粉症に効くと宣伝、通信販売していた7府県の10業者について、薬事法違反の疑いがあるとして各府県に通報しました。またパピラ自体をアレルギー症状の緩和を目的としている場合には、医薬品の無許可製造・販売を禁止した薬事法に抵触する可能性があるとみて調べることにしています。
厚労省などによると、パピラはスギの若い雄花の芽を加工してカプセルに詰めたものでネット上などで販売されているといいます。

 女性は昨年からパピラを使用していて、今年は23日午後7時ごろに初めて服用したものです。パピラ1カプセルを飲用した女性は、その後友人とテニスをしていたところ、全身にじんましんが出て息苦しくなり病院で受診、診療中に気管が閉塞し一時意識不明になりましたが大事にはいたりませんでした。

 厚生労働省は27日「パピラ」について、薬事法上の医薬品に該当するとの見解を山形県に伝え、翌28日、県は健森に対し販売停止・回収を指導しました。

 県保健薬務課によると、パピラはアレルギー療法目的で製造されており、薬事法に定める「人、動物の疾病予防を目的とする」と解釈され、健康食品ではなく医薬品に該当するといいます。このため、健森は県に製造・販売許可を受けずに医薬品を販売したことになり、薬事法に違反すると認定されたものです。

 県は今後、回収状況をチェックするとともに、県民に服用しないよう注意喚起を行い、県警生活環境課は、同法違反容疑で関係者から事情を聴くなど捜査を始める方針です。

 女性は花粉症の既往歴があるといい、「スギ花粉の抗原を摂取したことによるアナフィラキシーのような症状」と診断されましたが、幸いにも25日午後3時ごろ、意識を回復しています。

 健康食品といいながら薬品の効能を宣伝することで販売してきたようですが、同商品は店頭では販売されずにインターネットでの販売に限定されていたことも、同社の意図的な悪意を感じます。

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「電子レンジ加熱式湯たんぽ」の試買テスト/製品評価技術基盤機構

 製品評価技術基盤機構(NITE)はこのたび電子レンジ加熱式湯たんぽの試買テストを行い、これらの製品の安全性を調査しました。

 現在、市場で販売されている電子レンジ加熱式湯たんぽを14銘柄購入し、(1) 取扱い表示どおりの加熱、及び(2) 取扱い表示よりも過剰な加熱(温かいうちの再加熱、過剰なレンジ出力での加熱及び長時間の加熱)テストを行い、また、取扱い注意事項の表示状況について調査をしたものです。

 テストの結果ですが、取扱い表示どおり加熱した場合は、一部の製品で表面が部分的に高温となりレンジから取り出す時に注意が必要なものもありましたが、容器破裂による火傷の恐れはないことが確認されたといいます。

 一方、取扱い表示より過剰な加熱を行うと、加熱終了直後又は加熱中に破損又は破裂し、高温の内容物が漏れだしたり、飛散するものがあることが判明しました。このときの内容物の温度は、ジェル状及び液状のものは、約100℃、固形状のものは液化し、200℃以上にも達し危険な状態だとのことです。

 電子レンジで加熱する湯たんぽは、熱湯を入れる従来型の湯たんぽに比べ取り扱いが簡単なため、最近よく見かけるものです。また、楽しいキャラクター形状のものもあったりと、一定の利用者の評価があるものと見られています。

 旭電化工業株式会社(現、株式会社ADEKA)製造の電子レンジ加熱式湯たんぽでは、91年より製造、販売していたものの、取り扱いの不備からやけどするおそれが分かり、99年11月に商品を回収・返金をせざるを得ませんでした。しかしその後も回収が進まず、2006年10月、2006年12月、そして今年の2月7日にも公告を出して回収を進めています。

 また同一の蓄熱材を使っていたタカラトミーの製品も安全のために回収を行うなどしていますが、全製品の回収は難しいようです。各家庭では電子レンジ加熱式の湯たんぽの取扱説明書を再度確認して安全な使用方法を徹底してもらいたいものです。

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販売開始の不二家/再建で何がどのように変わったのか

 不祥事が続いた大手菓子メーカー、不二家がチョコレートなど菓子部門の生産を再開しました。山崎製パンが取り入れている米国の衛生管理手法「AIB食品安全システム」を、不二家の工場に導入、その最終監査が2月28日で終わったのを受けての再開です。同社では厳しい衛生管理の手法を取り入れたとして「安全宣言」を出したのですが、何がどう変わって安全性が確保できたのか、客観的に納得できる情報が提供されてはいません。

 今回の事件では同社の管理者および従業員の安全意識が無かったことが最大の原因ですが、設備やマニュアルが整備されたからといって、問題が解決したという根拠にはならないと思います。何十年もいい加減な仕事をしていた人達が、どのようにしてマニュアルに100%従うようになったのかも分かりません。罰則の強化や、監査部門の役割強化、内部告発を吸い上げる窓口の設置など、どのように改善し、社内安全システムを構築したのか分からないのです。

 さて期限切れの原材料の使用が明らかになり、1月中旬から菓子の生産はストップしていましたが、さらに社内基準を超えた消費期限を表示したり、大腸菌を検出した洋菓子を出荷するなど、消費者をあぜんとさせる実態が次々と明らかになった同社が、たったの2カ月で本当に「安全宣言」が出せるのか、はなはだ疑問に思います。

 機械、システムは形を提供するものですが、人の教育はそう簡単にはできないのが通例です。それが短期間で終えたと言うことは、かなり厳しいペナルティーを科すような仕組みの構築を併せ持つものだと思いますが、それらの改善内容を不二家は説明する責任があります。

 不二家ブランドを失墜させた不祥事を目の当たりにした国民は、事実に基づく詳しい説明がないのに「安全です」と言われても納得できるものではありません。とくに食中毒が起きても公開しなかった隠ぺい体質も指摘されていることは重大で、そのような体質をどのような方法で改善したのか是非聞きたいものです。

 不二家の今後の経営方針を検討する「外部から不二家を変える」改革委員会(委員長)・田中一昭拓殖大教授のメンバーらが3日、埼玉県新座市と神奈川県秦野市の同社工場を視察し従業員らと意見交換をしています。

 田中委員長によると、両工場の従業員やパート職員からは「生産に追われ、工場を休止するので掃除などに手が回っていなかった」「あるはずの研修が無く、見よう見まねでやっていた」などの話が出たといいます。田中委員長は「研修がそれぞれの工場任せになっており、内容も本社も把握していなかった」と述べていますが、このような状況が2カ月で改善されたというのはにわかには信じがたいものです。

 さて国民生活センターのホームページで掲載の、企業の提供情報をまとめた「回収・無償修理等のお知らせ」ですが、昨年4月からみると飲食品関係は97件と相変わらず多いものの、同じ企業はロッテの2件だけで、それも昨年10月のパッケージの間違いと今年2月のビニル状の異物混入が原因でした。

 したがって多くの企業は回収などに敏感に反応して、社内的に同一のトラブルを出さないように対処している姿が見えてきます。雪印事件を契機に、そして不二家の不祥事なども他山の石として、自社に問題がないか再確認して今後も安心できる食品を作って欲しいと思います。

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サケ加工品に大腸菌群、基準18倍/ニチレイ子会社、検出後も出荷

 ニチレイは14日、傘下のニチレイフレッシュの100%子会社「まるいち加工」の小名浜工場(福島県いわき市)が、出荷前の検査で国の基準の最高18倍の大腸菌群が検出されたスモークサーモンなどを出荷していたと発表した。

 同社によると、昨年11月11日〜30日に生産したスモークサーモン45ケース(540キログラム)、紅サケのたたき12ケース(144キログラム)から、基準を超える1グラム当たり50〜900個の大腸菌群が検出されたたものの、業務用としてスーパーや持ち帰り用すしチェーンなどに出荷したといいます。商品の大半は既に使用された可能性が高いといいますが、残っているか確認中としています。

 これはニチレイが8日に行った内部監査で判明したものですが、「14日現在まで体調不良の問い合わせはない」は無いとのことです。同工場長は出荷前の検査結果を知っていたものの、「少しでも多く出荷したかった」として、出荷を指示したといいます。

 相変わらず現場の責任者が都合の良い自己安全認識を優先、法律順守の姿勢が全くない企業が多すぎます。2月の社内監査で判明できた同社はまだ良い方かもしれず、そのようなシステムの無い会社では消費者の健康被害が発覚してから明るみに出ることになります。厚労省などは安全・衛生管理について全事業所に対し抜き打ちの査察を行うなど、業界の緩みをしめ直してもらいたいものです。

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■地デジチューナー、低所得者に無料配布検討

 政府・与党はテレビの地上波がデジタル放送に全面移行するのに合わせ、低所得の高齢者世帯などへの受信機の無料配布を検討することにしました。2011年7月に現行のアナログ放送が打ち切られると地デジに未対応のテレビは映らなくなるため、買い替えが困難な世帯に対する支援策が必要だと判断したものです。

 外部取り付け型の受信機は2万円弱から市販されており、簡易型なら1台数千円程度で調達可能とみています。配布は地方自治体が担い、国が財政支援することになります。新たな交付金のほか、地方債発行を認めて元利償還費用を交付税で賄う案を軸に調整、自治体の負担は1割程度に抑える見通しだといいます。

 地デジチューナーですが、電器店などではハードディスクとDVDレコーダーにチューナーが付いている製品が多く、価格はとても高価です。チューナー単体でも1万8000円くらいはするようで、未だに高値安定状態です。

 一般の人が購入するには、1万円を切る製品の投入が不可欠だと思うので、政府にはメーカー各社の努力を促してもらいたいものです。なお同様な問題に対して米国では、全国民に機器購入補助クーポン券を配るなどの対応をとっているようです。

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