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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。.
1月のニュースから
■次々に明らかになる不二家の不祥事
大手菓子メーカー「不二家」が消費期限切れの牛乳を原料としたシュークリーム約2000個を製造、1都9県に出荷した事実を把握しながら回収や公表の措置を取らず隠ぺいしていたことが10日に分かったことから、同社の安全軽視の体質が次々と明らかになっています。
事件の発端は社内の問題点を洗い出すためのプロジェクトによる50項目に及ぶ報告書が作成されたことでした。しかし期限切れ原料の使用など2項目だけは一般社員の目に触れないよう報告書から外され、幹部でつくる委員会に「推進委員会外秘」とする文書で報告ていたもので、これを共同通信が入手したことから事件が発覚したのです。
この文書には「マスコミに漏れた時点で経営危機」「発覚すれば雪印の二の舞い」などの文章が踊り、社員には知らせず幹部だけで対処する隠ぺい体質がうかがえます。
また11日、細菌の数が食品衛生法の基準の10倍も含む洋菓子「シューロール」を出荷したことも明らかになり、驚くべきことに幹部らは「隠ぺいはしていない。細菌の数が食品衛生法の規定を超えていても、企業が処分されたり、届け出義務はない。客のクレームもなかった」などと消費者のために守るべき品質問題で責任が無かったような釈明をするばかりでした。
17日になると、1995年に販売した同社の洋菓子商品「ペコちゃんのほっぺ」で発生した9人の食中毒問題を公表していなかったことが明らかになりました。
18日、今度は2005年8月にチョコスナック「ペコパイ」に体長約1.5ミリのユスリカが数匹見つかった事実が判明、数日後に家族が同じ商品を購入すると、なんとまた虫が見つかったといいます。湘南工場富士裾野製造部で作られ、箱をのり付けする工程で蛍光灯の熱などで死んだユスリカが落下、混入したとみられています。
しかし同社は17日、「富士裾野を含む菓子工場について「品質ISOの認証を取得しており安全」との見解を出していて、品質マネージメントが機能しているかの検証も無しに根拠の無い言い逃れをしているようです。
24日には、2003年11月に購入者からチョコレート菓子「アンパンマンハウス」に蛾の死骸がチョコにめり込むように入っていると指摘を受けたにもかかわらず「健康を害する恐れもなく偶発的なケース」などとして、公表や回収を行わなかったことも分かりました。
25日には、洋菓子から食中毒を起こす恐れがある大腸菌群や黄色ブドウ球菌が検出されても、独自に設定した社内基準以下であれば販売しても構わない、とマニュアルで定めていたことも分かりました。
1983年に当時の厚生省が定めた「洋菓子の衛生規範」では、大腸菌群や黄色ブドウ球菌見つかった製品はいっさい販売できない、となっていますが、同社は規範に定めた規準値は努力目標で違反しても罰則がないことから、自社に都合の良いコスト優先の基準を作っていたようです。
そして27日には、昨年11月に缶入りチョコレートに生きたままの蛾の幼虫一匹が混入していたことが明らかになりました。
まったく今まで消費者を騙し続けてきた不二家という会社には驚かされます。ここ数年来、多くの食品メーカーでは誤った消費期限表示、アレルギー成分非表示、異物混入などで自主的な回収を行っていて、安全・安心への取り組みが進んでいます。
食品会社・業者では消費者が品質を確認する手立てが企業側が行う表示しかないことから、安易に虚偽行為をすることがありますが、不二家がここまでひどい企業だということが分かると、同社の特殊性を感じてしまいます。
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■三菱ふそう、「ハブ」また強度不足/5万6000台リコールへ
三菱ふそうトラック・バスの大型トラック「スーパーグレート」の車軸とホイールをつなぐハブが昨年10月に破断し前輪が脱落した問題で、同社はハブの強度が不足していたとして16日までに、同車種を対象にしたリコールを届ける方針を固めました。
このうち約1万3000台は、2002年に横浜市で起きた母子3人が死傷した車輪脱落事故を受けてのリコール対象車です。約3年で交換部品を再リコールすることになりましたが、同社の設計レベルには問題はなかったのでしょうか。
同社によるとリコールされるハブは、1995年から1996年に開発された「F2型」と「F0型」で、前回のリコール時には強度に問題がないとされ、交換部品として使われたものだというのです。
しかし昨年10月の脱落事故以降に実施した緊急調査で、系列販売店の約6割が摩耗度の点検を怠るなど不適切な整備が常態化していることが判明、長野市内の運送業者が所有する25トントラックを含む計7台でハブに亀裂を確認しました。
同社では走行距離100万キロ以下では亀裂が生じないとしてきましたが、積載量やハブの摩耗量、そしてホイールボルトの締め付け度合いによっては少ない走行距離でも脱輪が発生することを確認した結果、10倍の強度の部品に交換することにしました。
国交使用によると、ハブは定期的に交換する部品ではなく、ほかのメーカーでは同社のような整備手順を実施していないといい、三菱ふそうのトラックの根本的な設計上の問題が疑われてもしかたがないようです。[目次へ]
■バンダイのゲーム機17万個回収
バンダイは29日、テレビにつないで遊ぶゲーム機「Let’S!TV(レッツテレビ)プレイ シリーズ」の一部商品で、操作用コントローラーとACアダプターをつなぐコードが過熱し、やけどなどの恐れがあるとして、約17万4000個の商品を回収、交換すると発表しました。
この商品については昨年10月以降「コードが過熱する」といった苦情や問い合わせが計17件あり、1件は今月起き、8歳の女児がやけどを負う事故があったといいます。
対象は同シリーズの「たまごっちりぞーと」(2006年9月発売)、「ケロロ軍曹」(同)「なりきり体感 ボウケンジャー」(同年7月発売)の商品と、別売りの「クラシック専用AVケーブル&アダプターセット」の4点で、出荷した対象商品のうち約13万6000個が販売済みとしています。
コードが過熱するケースは、いずれもコントローラーを別売りの専用ACアダプターにつないで使用した場合に限られていて、乾電池を使う場合は問題ないとしています。同社によると、女児は過熱したコードに触れ、手に水膨れのようなものができたといいます。
同社ではACアダプターに接続するコード内部のショートが原因としていますが、「念のため商品全体を交換する」ことにしたようです。
同商品は、ビデオ・オーディオ接続ケーブルと一緒のテレビ接続側に専用ACアダプターを接続するプラグが付いていています。したがって同社ではACアダプター接続プラグから本体までのケーブル内でのショートの可能性を考えているようです。
一般にゲーム機の操作性を考えるとコード類が硬かったりすることの違和感から細めのケーブルが求められているのも事実でしょう。そしてゲーム中に本体を扱うときには電源コードも常に動く状態にあり、本来は電源コードはケーブル類の一つとしてそこに無い方が良いと思います。
安全面からは、ゲームはバッテリ操作だけにして、充電式のバッテリーと充電器セットを標準の別売品とした方が良いのかも知れません。専用のACアダプターは2000円弱なので、同じ程度の価格での供給はできると思うので一考の余地があるでしょう。
同社ではまた乾電池だけを使っている客に対しても交換を勧めていますが、これは同商品が中古で流通することを考えると適切な処置だと思います。[目次へ]
■ハロゲンヒーターで破裂など5件、1人やけど/製造業者不明、販売者との連絡も取れず
経済産業省は18日、大旺インターナショナルジャパンが輸入した中国製ハロゲンヒーターについて、ガラス管が破裂するなどの事故が昨年11月から5件起き、女性1人がやけどをしたと発表、同省は使用中止を呼び掛けています。
経産省によると、昨年11月から今年1月にかけ、沖縄県や広島県で、ハロゲンヒーターのガラス管が破裂したり、火花が発生するなど5件の事故が確認されたといいます。
昨年12月28日には沖縄県の女性が腕にやけどを負っていて、沖縄県内で約1万1500台の販売が確認されています。経産省は同社とは連絡が取れなくなっているとして、全国の流通台数は不明で、同社に製品回収などの指導も望めない状況といっています。
該当するヒーターは、本体のスイッチ部分に「SUN−801Ci」と「SUN−801D」の型番が表示されているものです。
これら製品は製造業者すら不明で、このような商品が国内に流通、そして事故が発生している実体を経産省は重く受けとめ、消費者が安心して家電製品を購入できる環境を作る責任を再認識してもらいたいものです。
また大旺インターナショナルジャパンでは平成2004年11月に別のハロゲンヒーターで電源遮断スイッチに不具合があったことから回収をしていますが、今回のことを併せて考えると同社が安全性を考慮せず(評価せず)に商品を販売した「販売者責任」について、経産省は強く追及しなければならない責任があります。あいにく販売者とは連絡がつかない状況ですが、事故の責任を追及できない同じような事態を招かないようにしてもらいたいものです。[目次へ]
■1歳9ヵ月の男児が窒息事故/キャンディー状のチーズで
国民生活センター平成19年1月26日発行の情報では、昨年12月下旬、国民生活センターの相談窓口に以下の相談が寄せられていました。
それによると2006年7月下旬、保育園の給食に出されたキャンディー状のチーズ(直径約2センチ、厚さ約1.5センチの円筒状のチーズを一粒ずつ包み紙に包んだもの)を口に入れた1歳9ヵ月の男児が、チーズをのどに詰まらせ、危うく窒息死する事故が発生したというものです。
同センターで当該チーズの外袋と透明の包み紙を確認したところ、当該チーズはプロセスチーズに分類されるもので、外袋の裏面にある原材料名、内容量、製造者等の情報が記載された一括表示の下には、「小さなお子様やおとしよりにはノドにつまらせないようにご注意ください。」と注意表示がありました。また、包み紙にも、かなり見にくいですが、「ノドにつまらせないようにご注意ください。」との印字があったといいます。
同センターが当該チーズの製造者に問い合わせたところ、「過去に、窒息に至るような事故事例は1件も把握していません。しかし、チーズの形状からして、小さなお子さんやお年寄りがのどに詰まらせないように、注意表示を行っています」とのことでした。
しかし同センターの調べでは、1996年4月に同様の形状のチーズ(今回事例の商品とは別のメーカー製)を食べた1歳2ヵ月の男児が、チーズをのどに詰まらせ、窒息しそうになった事例がありました。
今回のケースでは保育園の適切な対応により事なきを得ましたが、このような事故が起これば、死亡に至ることも出てくると思います。家庭のみならず幼児を預かる施設などで、このようなタイプのチーズを食べさせる場合は厳重な注意が必要でしょう。
同センターによると、事故時の状況は保育園の給食に出したキャンディー状のチーズを園児が口に入れ、ふた噛み程度した直後、口を開けたまま体を動かさなくなる状態となり、異常に気づいた保育士が直ちに看護師を呼んだといいます。保育士が園児を逆さまにして背中を強く叩きましたが、顔面が蒼白になり、唇がみるみるチアノーゼ化したため、看護師が園児をひざに乗せ、逆さまにして、背中を強く叩いて吐かせたところ、チーズの一部が出てきものです。
この時点で119番通報し、救急車を要請したのですが、園児はなお顔色が青ざめていて、呼吸音に引っかかるような音があったため、引き続き保育士が園児をひざに乗せ、みぞおちを圧迫しながら、逆さまにして背中を強く叩きました。これを続けながら、さらに看護師が口の中に指を入れ舌根を強く押すと、粘り気のあるチーズの残りの欠片を嘔吐し、大きな声で泣き出し、顔色も赤みを取り戻したといいます。この後、呼吸音にも異常はなく、健常な状態に改善したものです。
救急車が到着し園児を病院に搬送して、医師の診察を受けたところ、「肺の呼吸音もきれいなので、レントゲン撮影もしなくてよい、問題はありません」という診断でした。
チーズメーカーでは「過去に、窒息に至るような事故事例は1件も把握していません」との言葉ですが、他のメーカーの製品で危険な状態になったという事実を把握していなかったのであれば、同社の情報収集力の低さ、あるいは安全意識の低さがありそうです。[目次へ]
■基準薬局、たばこ販売禁止/店内の全面禁煙も
日本薬剤師会は17日、薬局の模範となる「基準薬局」の認定基準に、薬局内の全面禁煙とたばこの販売禁止を盛り込むことを決め、4月から順次、都道府県薬剤師会ごとに適用するとしています。
基準薬局は一定の基準を満たした薬局を都道府県薬剤師会が認定しており、全国約5万の保険薬局中約1万9000あります。認定を受けると、青十字マーク入りの看板を出すことができるものです。
今回の認定基準の変更には、禁煙とたばこの販売禁止のほか(1)医療安全のための態勢整備(2)使用済み注射針などの回収・廃棄を適切に指導(3)災害時の救援活動への協力態勢−−も盛り込んでいます。
禁煙については、一部自治体の薬剤師会が禁煙を指導する薬剤師の認定制度を実施、2003年度には日本薬剤師会が「禁煙運動宣言」を採択するなど対策を進めてきましたが、「禁煙補助薬のニコチンパッチを扱う薬局が一方で、たばこも販売するのはおかしい」との指摘があり、店内禁煙だけでなく、販売禁止を認定基準に入れることにしたものです。[目次へ]
■上高地で歩行禁煙呼びかけへ/松本市と「美しくする会」、今春から取り組み
松本市安曇地区の上高地町会や宿泊施設などでつくる「上高地を美しくする会」と同市は、今春から北アルプス・上高地で、歩きながらの喫煙禁止などを呼び掛けるキャンペーンを始めます。観光客や登山者の歩きたばこやポイ捨てが後を絶たないため、全国にチラシを配布するほか、現地で歩きたばこをしている人らに声を掛けることになります。
対象地域は、上高地や槍・穂高連峰一帯の国立公園内で、「近くに人がいる場所で喫煙しない」、「吸い殻は携帯灰皿に入れて持ち帰る」といった点も含め、観光客らに呼び掛けます。4月の開山祭前から、全国の旅行代理店や観光バス業者などにチラシを配布、「美しくする会」のメンバーらは上高地などを随時巡回し、禁煙に理解を求め、上高地に入る路線バスは車内放送を行い、タクシーは運転手による声掛けを行うとしています。
同会は「地元と行政が一体になって観光客にきれいな空気を味わってもらい、上高地のイメージアップを図りたい」と話しています。
松本市によると、栃木県日光市が日光国立公園で2003年から同様の取り組みをしているといいますが、人のいないところでは喫煙者の自主性だけが頼りのため、どの程度効果があるか疑問が残ります。しかし自然豊かな上高地で禁煙に対して何も活動をしない現状よりは、対外的にアピールできるものだと思います。[目次へ]
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