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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。「定期購読について」
■橋の耐震補強で手抜き/国交省、全国調査
■プリマハム、製品撤去/イオン、取引全面停止へ
■ヨーグルトの日付改ざん/愛知ヨーク、小中学校、保育園に納入
■商品表示偽装の企業対応策/ヨーカ堂、取引先に通報求める
■歩行者保護の観点から、歩車分離式信号拡大へ
■燃料電池、マッチ箱大に/生ごみ原料で、シャープなど基礎技術開発
■ペット輸入、法規制へ/厚労省、感染症対策で
■たばこの害を具体的に表示/財務省が検討会設置
■少年の喫煙黙認容疑で両親書類送り
2月のニュースから
■橋の耐震補強で手抜き/国交省、全国調査
国土交通省は17日、中部地方整備局管内の国道にかかる橋の耐震補強工事の一部で手
抜きを確認したとして、全国の各地方整備局や道路関係公団に補強工事を行った橋の
調査を指示しました。設計上の耐震機能を満たさないものについては、施工業者に工
事のやり直しを命じる方針です。
この耐震補強工事は、阪神大震災の被害を受けて1995年に国交省が全国の橋の耐震機
能強化を指示、「予想を上回る大地震が起きても橋げたの落下だけは防ぐ」という方
針の下、「落橋防止装置」といわれる金属製の箱を橋脚に設置するものです。しかし
昨年秋に岐阜県発注の工事で手抜きが発覚したことから、中部地方整備局は昨年末か
ら、同県の工事で手抜きを行った土木建築業者2社が関わった国道の橋30を対象に調
査を進めたところ、14の橋で使用しているアンカーボルト3,717本のうち119本で長さ
が不足していることが判明。中には90センチ必要な長さが34センチしかないのもあり、
10の橋に設置した同装置の39個は機能が不十分で、工事のやり直しが必要だといいま
す。
岐阜県では昨年10月、業者の社員から手抜き工事の情報を得て、県が補強工事を発注
した81の橋について調査を実施、うち33で手抜きが判明したため業者に工事のやり直
しを命じています。愛知県も昨年末の段階で4つの橋で手抜きを確認し、残りの調査
を進めているといいます。また3月に入り滋賀県内でも5カ所ほど調査しただけで3カ
所での施行不良が分かるなど、今後全国の多くの橋で手抜き工事の実態が明らかにな
りそうです。
このような手抜きがまかり通るのは長年にわたる国土交通省の監督・管理の問題とも
いえ、同省の責任が問われなければなりません。無理をしてでも工期を守ろうとする、
日本の土木建設業界の悪い慣例が背景にあるという指摘もあります。それは次の仕事
の受注上不可欠なこととして当たり前のように行われているようですが、いわゆる金
や信用といった利益への服従であり、それらが業者・個人の意識に埋め込まれている
ようです。それは発注元が現場での問題を吸い上げる努力を怠り、品質や工期全ての
問題を業者だけの責任としてきたことでもあり、現場の進捗を常に把握し適切な判断・
指示を出せるような仕組みがないということです。[目次へ]
■プリマハム、製品撤去/イオン、取引全面停止へ
大手スーパーのイオンは1日、同社の独自企画商品のアスパラガスベーコン巻を製造
委託しているプリマハムが、無断で契約と違うベーコンを原料に使用したとして、同
社との取引を全面停止すると発表しました。全国の「ジャスコ」「マックスバリュー」
などグループ750店舗から商品を撤去し、ベーコン巻を買った客への返金に応じると
しています。プリマハムに対しては損害賠償訴訟を起こすとともに、同社や関係者を
詐欺罪などで刑事告訴する方針です。
問題の商品は「トップバリュ・アスパラベーコン巻」で、イオンによると製造委託契
約では卵白成分「アルブミン」を使わないことになっていたのですが、プリマ側がイ
オンに無断でアルブミンを使ったベーコンに変更したといいます。
同じ卵白成分では、キューピーが製造委託し販売している「アヲハタ・ポークアンド
ビーンズ」の缶詰のベーコンにも混入が発覚、製品を回収しています。回収対象は、
賞味期限が2005年3月10日〜同年12月21日となっている計25万個余りと見られていま
す。
現在の食品は香料・添加物などさまざまなメ混ぜものモが使われていますが、製造委
託会社まで踏み込んで保証できる企業は少ないのでしょうか。プリマハムといい、キ
ューピーといい、業界を代表するような企業がまだこんなレベルではがっかりです。[目次へ]
■ヨーグルトの日付改ざん/愛知ヨーク、小中学校、保育園に納入
中堅乳製品メーカーの愛知ヨーク(愛知県小牧市)の豊橋センターが昨年1月、業務
用ヨーグルトの品質保持期限の日付を改ざんし、同県東三河地方の小中学校や保育園
の給食用などに納入していたことが、豊橋市保健所の調査で分かりました。同社は昨
年3月に改ざんを把握し関与した職員2名を処分しましたが、市などには報告しません
でした。
市保健所や愛知ヨークによると、豊橋センターは昨年1月10日、蒲郡市給食センター
に業務用ヨーグルトの1リットル入り紙パック291本を納入、しかし製品の温度が食品
衛生法で定められた「10度以下」という基準を満たさず、14〜18度だったため返品さ
れました。
これら返品された商品のうち7本は期限内に販売したのですが、105本については豊橋
センターを担当する営業部次長(当時)が品質保持期限の表示を改ざんするようセン
ター所長(当時)に指示したといいます。そして所長は同月17日から26日にかけて数
回にわたり「1月23日」の表示をシンナーで消して市販のゴム印で「24日」から「2
月2日」までの日付を押していたものです。
子どもや老人、あるいは病人といった抵抗力のない人たへの給食用、といったことを
同社はどう考えているのでしょう。通常の商品よりも品質問題を厳格にとらえるべき
なのに、儲け最優先の日付改ざんは相当悪質だと思います。
本来は業務停止などの行政処分が適当なのですが、「現物がすでになく、客観的な事
実判定が難しい」ということで、メおとがめなしモというのは少々納得のいかないも
のです。[目次へ]
■商品表示偽装の企業対応策/ヨーカ堂、取引先に通報求める
イトーヨーカ堂は2,000社を越える取引先を対象に、産地偽装や日付の改ざんなどの
不正行為に気付いた取引先社員がヨーカ堂に通報できる制度を3月から設けます。
産地偽装や製造日の改ざんのほか、商品の品質や素材が表示と異なる、といった法令
違反行為が通報の対象で、取引先が契約と違う製造手順を行った場合やヨーカ堂の社
員が取引先にわいろなど不当な要求をしたといったケースも対象になります。
ヨーカ堂では昨年9月に「バーバリー」のマフラーが偽物だった疑いから自主回収し
たこともあり、企業の責任を具体的な形で実行しつつあります。
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■歩行者保護の観点から、歩車分離式信号拡大へ
歩行者と車が交差点内で交わらないように工夫した「歩車分離式信号」が拡大しそう
です。元は愛知県警が1972年に人身事故が絶えない名古屋市中区の市役所北交差点で
全国で初めて導入したもので、その後全国に普及、現在約2,000カ所あるといわれて
います。この歩車分離式信号が、警察庁と国土交通省の新年度からの「あんしん歩行
エリア」に盛り込まれました。
歩車分離式は通常の信号機の下に「直進」「右折」「左折」の青矢印信号を取り付け、
右左折する車と歩行者が交差点内で交わらないようにした信号システムのことです。
大きな交差点に多いのですが、歩車分離式を全国100個所で試験運用した昨年の調査
では人対車の事故が7割も減り、今後生活道路にも導入、設置数を現在の倍にするこ
とが検討されています。
本来道路は人の歩く道であり、車のために歩道を歩くことが強要されたりします。し
かし、せめて横断歩道での車による事故は無くしたいものです。[目次へ]
■燃料電池、マッチ箱大に/生ごみ原料で、シャープなど基礎技術開発
経済産業省所管の地球環境産業技術研究機構とシャープは、生ごみを原料に微生物を
使って水素を作り発電する、超小型バイオ燃料電池の基礎技術を開発しました。液晶
テレビの電気ならマッチ箱大の装置で賄えるといい、家庭で使う小型燃料電池として
数年後の実用化を目指すとしています。
研究グループでは2年後をめどに実証試験を始め、4〜5年以内に技術を確立するとし
ています。
3月に入ると、東芝がノートパソコン用の小型燃料電池を開発したとの発表があり、
燃料電池が身近な物になりつつあります。
家庭のあらゆるものが電気・電子機器でコントロールされる現在、ひとたび停電にな
ればガス・灯油機器や設備なのに暖房もできない、調理もできない、風呂も沸かせな
い、となってしまいます。燃料電池が今後家庭に入ってくれば、大規模なインフラが
破壊される事態でも、トータルの社会被害は減少できるでしょう。公共的なエネルギー
供給インフラは、各家庭の燃料電池のバックアップでもよく、それが本来のメ公共モ
という役割のようにも思えます。[目次へ]
■ペット輸入、法規制へ/厚労省、感染症対策で
現在ペットの輸入は事実上野放しとなっていますが、感染症対策などの見地から必要
に応じて禁止できるようにする、厚生労働省の感染症部会の作業部会対策案が4日ま
とまりました。同省が来年に予定している感染予防法改正案に盛り込まれる予定です。
対策案はまた輸入野生動物の届け出制度や、ペットショップ衛生管理責任の明確化な
ども求めています。
日本はペットや実験動物、展示動物などとして年間100万匹以上のほ乳類が輸入され
る世界に例をみない「ペット輸入大国」ですが、放置すれば動物から人への未知の感
染症が発生する恐れがあり、これに備えての措置です。
専門家からは「これだけの大量の輸入は世界的に見ても異常。未知の感染症が起きて
もおかしくない」と危機感を訴える人も多く、牛海綿状脳症の牛から感染するとされ
るクロイツフェルト・ヤコブ病や、蚊が媒介する西ナイルウイルス熱など海外での気
になる感染症が挙げられています。
野生生物保護の観点から他国から問題視されている状況もあり、また大型爬虫類が街
中で見つかるなど、ペットを飼いきれなくなった無責任な飼い主による問題、釣り人
による外来種の放流から日本の在来種に与える影響も深刻になっています。感染症対
策とはいえ、現在の野放し状態からの改善を期待したいと思います。[目次へ]
■たばこの害を具体的に表示/財務省が検討会設置
我が国のタバコ表記は「あなたの健康を損なう恐れがありますので吸いすぎに注意し
ましょう」といった喫煙被害を具体的に表示しないものですが、欧米やアジア諸国で
は「心臓病を引き起こす」「妊娠中の喫煙は子どもに有害」などの具体的な警告が主
流となっています。タバコの害を知らしめる、ということでは後進国である日本でも、
財務省が財政制度等審議会のタバコ事業部会に有識者によるワーキンググループを設
置したことが12日、明らかになりました。
「嗜好品は個人の判断によるもので、規制する必要がない」などという人任せの勝手
な意見がありますが、喫煙者へのリスク開示を行わず、ごまかしの「マイルド」表記
が横行する日本のタバコが、諸外国からも疑問視されていることを認識しなければな
りません。[目次へ]
■少年の喫煙黙認容疑で両親書類送り
石川県珠洲署は3日、たばこの火の不始末で自宅からぼやを出したとして、失火の疑
いで、石川県珠洲市の無職少年(16)を書類送検、さらにこの少年が自宅でタバコを
吸っていたことを黙認したとして、未成年者喫煙禁止法違反の疑いで、運転手の父親
(47)と母親(46)を書類送検しました。
調べでは、少年は昨年11月タバコの不始末が原因で、自分の部屋からぼやを出した疑
い、そして両親は昨年から少年が自宅で毎日のようにタバコを吸っていたにもかかわ
らず、黙認していた疑いです。両親は「注意しても聞かない息子に『自宅なら吸って
もいい』といった。火事まで出して申し訳ない」と容疑を認めているといいます。
「子どもから嫌われたくない」としてタバコを黙認したり、「上の立場に浸りたい」
ということでお酒を勧める親がいますが、その子供が社会でどのような振る舞いをす
るかについては関心を持とうとしない人もいます。社会的責任を感じない人ですが、
「社会の法・ルール」は家や会社の中でも同じ、ということを親も一緒に自覚して欲
しいものです。[目次へ]
終わりに
天ぷら鍋から火が出た場合の初期消火にマヨネーズを容器ごと入れると有効、という
ことがテレビで伝えられ、それを実践した神戸市の女性が自宅を全焼してしまいまし
た。女性は台所の天ぷら鍋から出火した際、マヨネーズを投げ入れたものの燃え広が
り、毛布を掛けても燃え続け、ついには自宅を全焼したものです。
神戸市消防局によると天ぷら油火災の際、マヨネーズを鍋に入れると成分が油の表面
を覆い初期消火に有効な場合があるが、条件しだいでは逆に燃え広がることもあるた
め、「推奨できない」といっています。
しかしテレビでの放映後このような事故が起きたことは、消防局の奨める「正しい消
火の知識」というものが、一般には浸透していないということです。世の中のテレビ、
雑誌などのメディアに注意し、タイミング良く正しい知識を持つよう教育してもらい
たいと思います。[目次へ]
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