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2002.6 No.102  発行 2002年6月11日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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■浜岡原発また水漏れ/1号機事故の対策直後の2号機で

■折り畳み自転車の事故相次ぐ/国民生活センターまとめ

■ミスタードーナッツで法定外添加物入り肉まん/ダスキンの責任は?

■アサリ缶詰、外国産を「国産」に偽装/全農、10年前から

■ノルウェー鯨肉から高濃度PCBやDDT検出/グリーンピース・ドイツの報告書

■低騒音の都市型発電装置/東海大が開発

■水道水へのフッ素添加で健康被害の危険/市民団体指摘

■歩きたばこの危険抑制へ/千代田区条例案と軽犯罪法改正案

■米国では年間44万人がたばこで死亡/CDC発表



5月のニュースから

■浜岡原発また水漏れ/1号機事故の対策直後の2号機で

 静岡県浜岡町の中部電力浜岡原発2号機で、大事故時に炉心に水を注入する緊急炉心冷却装置の低圧注入系配管の弁の溶接部から、放射能を含む冷却水が霧状に噴き出しているのを社員が見つけ、原子炉を手動停止しました。

 現場は同日午後公開されましたが、溶接部下部に亀裂のような傷があるのが確認されたため、中部電力は溶接部の切り取り調査の検討を始めました。同原発2号機は昨年11月に同じ構造を持つ1号機で配管破断と冷却水漏れ事故が起きたのを受けて発電を停止、配管の交換や点検などを終えてこの24日から半年ぶりに運転を再開したばかりでした。

 中電によると、事故が起きたのは緊急炉心冷却装置の一部で、低圧注入系と呼ばれる配管の溶接部分で原子炉内の水位が下がった際に冷却水を注入する系統で、通常は使われていない部分だといいます。運転再開で配管内の水圧が通常運転の1/7まで上昇した段階で、水抜き用配管との溶接部分から水が霧状に噴き出しているのが見つかりました。放射能を含む冷却水が毎分600cc漏れ、床に計約20リットルがたまったとしています。
技術評論家桜井淳氏は、水漏れを起こした小口径配管は構造的に弱い部分で、内部の水で管が腐食して薄くなる「減肉減少」が起きている可能性を指摘しています。しかも検査の際には、メインシステムから離れているために注意がおろそかになる部分だということで、中部電力の検査態勢のあり方も問われそうです。

 いずれにしても原発の寿命とされている30年を迎える老巧化した原発に対し、国の「点検の強化や適切な保守などで60年の運転は可能」という姿勢に後押しされ、電力会社は順次10年間の運転延長を表明していることも今後問題にして欲しいものです。国の責任として「点検の強化や適切な保守」が客観的に行われている、ということをどのように検証しているのか、ということを求めていくべきでしょう。今回のような点検直後の原発で事故が起きた事実に対し、電力会社の説明を鵜呑みのするだけの国の姿勢・責任が問われなければなりません。原発アレルギーでなくても、これでは住民の不安は増大するばかりでしょう。

 そういえば東電の柏崎原発で5日、復水器周辺のタービン制御装置の一部に異常が生じ、復水機内の真空度が低下したトラブルがありました。東電によると原因はタービンと連動しながら動く復水器からガスを抜き取る装置のバルブが閉じていたといい、常に「開」の状態であるはずのバルブがなぜ閉じていたのかを調査しているといいます。このような品質システムが十分機能していない原発が多いのでは、日常的に彼らは何を行っているのかと、何となく危うい感じがします。

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■折り畳み自転車の事故相次ぐ/国民生活センターまとめ

 最近良く目にする折り畳み自転車は人気があるようですが、フレームが折れて負傷するなどの事故が相次いでいることが9日、国民生活センターのまとめで分かりました。センター独自の商品テストでも、輸入品など1万円を切るような安い製品は耐久性などに問題があったといい、「事故防止の観点からは、現状の品質では低価格品の購入は勧められない」と異例の呼びかけをしています。

 全国の消費生活センターなどに寄せられる相談のうち、折り畳み自転車に乗っていて危険な目に遭ったとの内容はここ数年急増し、合計39件になっているといいます。ハンドルやフレームなどの破損・折損が22件と全体の半分以上を占め、購入後半年未満の不具合が6割にも上るといいます。これらは3万円未満の製品のケースで目立ち、輸入品は判明分だけで16件あったといいます。

 また同センターが行ったテストでは、量販店などで売られている3万円以上の製品と、インターネットで購入できる1万円以下のものをそれぞれ8銘柄ずつ実験しています。その結果3万円以上のものは大半が日本工業規格(JIS)で定める自転車の強度などを満たしたのに対し、大半が輸入品とみられる1万円以下の製品はフレームの強度が低かったり、折り畳み部分が壊れるなど、全銘柄に何らかの問題があったといいます。信じられないような品質の悪さですが、値段が安ければ売れてしまう今の現状では、製造物責任の追及が欠かせませんが、PL法があっても粗悪品が無くならない、という背景には「安ければ多少品質が犠牲になってもしょうがない」という消費者の存在があるようです。

 ところで我が国のJIS規格は企業間の契約などで“仕様”として求めることはありますが、法的な強制力は全くありません。そのため粗悪な製品が市場に流通することになるのですが、これは自転車だけに限らず電気製品を含めて身の回りのあらゆるものも同様です。CEマークがなければEU圏では製品が売れないなど、先進諸国では多くの強制規格があります。また工業国でないサウジアラビアなどもEU並の強制規格を持ち、中国でも今年5月から安全に関する強制認証制度が始まっています。

 国民の安全を確保する罰則付きの強制規格は日本ではほとんど無い状態ですが、製造者に任せきりでは安全が確保されないことは、過去の事故事例で分かるのですが、うわべだけの「先進国」の表れでしょう。たまには「日本は安全に関しては後進国」と考てみたらどうでしょう。たとえば身近にある有名メーカーの電気製品の裏側を見てください。外国製の製品には世界各国の安全や電波の強制規格をクリアしている認証マークが表示されていますが、国産のものにはトップブランドであっても業界基準の電波に関するVCCIマークがあるだけです。このことは欧米の多くの企業では世界共通仕様の製品を製造しますが、日本の企業は輸出用には安全度の高い製品を作り、国内用には安全度の低い製品を売っているわけです。「法律がなければ許される」という問題ではなく、企業を支えている国民の安全(健康)を軽視していることでもあり、企業の社会的責任として国民に還元すべき安全品質を考えてもらいたいものです。

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■ミスタードーナッツで法定外添加物入り肉まん/ダスキンの責任は?

 ダスキンが運営する「ミスタードーナッツ」の肉まん1,300万個に法定外添加物が混入していた問題が20日、明らかになりました。この添加物は酸化防止剤t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)というもので、中国・山東省の工場で生産された肉まんの皮の部分にTBHQが入った植物油が使用されたというものです。この問題で大阪府警は22日、食品衛生法違反の疑いで肉まんの製造会社や輸入会社2社など関係先4カ所を家宅捜索しました。TBHQ混入の第一報は2000年11月末、ダスキンと肉まんの製造委託契約を結んでいる大阪府内の建設業者から指摘されたものです。この業者は建設業からの事業拡大で肉まん製造に参入しようとして、原材料を調べているうちに気付いたといいます。

 ダスキンは指摘を受けいったんは製造を中止したものの、自社の製品検査でTBHQが検出されなかったため在庫約300万個の販売を続けたといいますから、自社の経済的都合・儲けを最優先したことは疑いのないことです。また1年半もの間厚生労働省に報告せずに事実を隠ぺいしたことについても変なことをいっています。それは問題を指摘した建設業者から業務委託名目で6,300万円を要求されたため、同社は2001年1月までの間に複数回に分けて支払ったというものです。この業者は4月に入り、「契約を更新しなければ事実を公にする」などと第三者を通じて同社に伝え、数億円を要求するなどしたと説明していますが、ダスキンでは被害届や告訴はしていません。また現金の支払いは当時の専務が行い、契約とは無関係の決済のない“裏の金”が使われたことから、同社の隠ぺい体質も明らかになりました。このような不誠実な企業には厳しい社会的制裁が求められます。

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■アサリ缶詰、外国産を「国産」に偽装/全農、10年前から

 全国農業協同組合連合会(全農)は10日、外国産アサリを国産と表示したアサリの水煮缶を、全国の農協系のスーパーで販売していたことを発表しましたが、驚くことのこの偽装表示は10年前から行われており、総数は20万缶に上るといいます。全農の子会社で同商品の仕入れを行っていた組合貿易(東京)の静岡事業所は、偽装表示を2001年1月に把握したものの、本社や全農には報告せず缶詰の販売も続けていましたが、全農チキンフーズの鶏肉偽装問題で始めた事業総点検で、今年3月に発覚し販売をやめたものです。

 この商品は「エーコープあさり水煮缶詰」(内容量85グラム)で、静岡県清水市内にある缶詰加工会社「伊藤食品」が青森県八戸市の工場で製造、組合貿易を経由して全農が販売していました。国産はほとんど使用せずに大半が中国産だったということから、全くの詐欺行為です。全農では「深くお詫びする。虚偽表示の理由については現在調査中で分からない」とコメントしていますが、事実を把握してから2カ月も経つのにまともなコメントができない、という同社は、速やかな事実の把握と公表が社会・消費者への企業責任であることを理解できない、危機意識の欠落した企業としか思えません。

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ノルウェー鯨肉から高濃度PCBやDDT検出/グリーンピース・ドイツの報告書

 日本への輸入が再開される予定のノルウェー近海の鯨肉から、脂身で日本の暫定基準値の約40倍のPCBや、農薬のDDTなどが検出されたとするドイツの環境保護団体グリーンピース・ドイツの研究報告書を7日、「食品汚染を考える市民の会」(東京)などの市民団体が発表しました。報告書はノルウェー近海の約60頭のミンクくじらの肉や脂身を分析するなどしてまとめたもので、有機塩素化合物が蓄積しやすい脂身の場合、PCBの濃度は0.6−20.8ppmで、全てが国内の暫定基準値である0.5ppmを上回り、最高では42倍に達していました。平均は3.7ppmで、これでも基準値の7倍以上になるものです。農薬のDDTは0.5−14.8ppmで、国内の輸入食肉の基準値である5ppmを上回ったものがありました。

 PCBは規制がより厳しい米国の乳幼児の食品中の基準と比較すると90倍以上の濃度になるといい、市民の会などは同日、在日ノルウェー大使館と厚生労働省に対し、鯨肉を輸出しないことや、基準値の強化などを申し入れました。

 同会などでは「赤身の中にも脂肪分は含まれており、危険性はあると考えられる」としています。大量に小魚を食べるくじらに環境汚染物質が貯えられることは容易に想像でき、オオタカやハヤブサなどの猛禽類には高濃度のダイオキシンが蓄積されるなど、食物連鎖の上位にいる動物ほど影響が深刻になっています。もちろんヒトは一番上位のため、食べ物を選択する知恵を働かせたいものです。

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■低騒音の都市型発電装置/東海大が開発

 東海大学は3日、弱い風や風向きの変化の影響を受けにくい風力発電装置を開発したと発表しました。この装置は航空機の翼の設計を取り入れた羽を使用し、縦1〜2メートル、幅15〜30センチの樹脂製の羽を3枚〜5枚縦に円筒状に組んだものです。騒音や振動ががほとんど発生しないため、ビルの屋上や壁面などにも設置が可能、都市部での風力発電の普及が期待されます。製品は広島県の機械メーカーのアイメッスクを通じて製造販売し、価格は1キロワット級の小型のもので、1つ200万円程度としています。

 一般の風力発電装置は、20メートル以上の高さに大きな3枚の羽がゆったり回るものを想像しますが、この装置はとてもコンパクトで個人の家でも設置が可能かと思われます。米カリフォルニア州では昨年10月、個人が風力発電装置を設置しやすくする条例が成立、この7月にも施工されるなど環境整備が進んでいます。500万円程度の費用の半分強が戻って来るというので、このところの風力発電装置が増え続け、昨年カリフォルニア州では100キロワット以下のもので約250機新設され、前年の3.3倍に達したといいます。このため7月の施行を機に風力発電ブームとなることは間違いないようですが、住民間の摩擦による思わぬトラブルも起きつつあります。

 同州中部に住む自営業アル・ウォーマー氏は、隣人が事前の了解を得ずに建てた高さ30メートルの風力発電装置で「ヘリコプターのような音がして眠れない。しかも家の資産価値も下がり、財産権の侵害」として撤去を求めて係争中です。確かに風力発電装置のすぐそばでは、その騒音が尋常でないことは容易に想像できます。今回の低騒音風力発電装置には期待が持てそうです。

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■水道水へのフッ素添加で健康被害の危険/市民団体指摘

 虫歯予防のために水道水へのフッ素添加を検討する自治体がある中、市民団体「薬害オンブズパースン会議」は「歯の美容を損ねるだけでなく、がんの原因になる可能性もある」などと危険性を警告する意見書をまとめました。近く厚労省のはか、添加を検討している自治体などに送付するとしています。

 同会議では虫歯予防を目的とした水道水へのフッ素添加の影響について、外部の研究機関に委託して国内外の文献を調査したところ、骨肉腫を増加させるほか、咽頭がんを増加させるという報告もあり、自治体による水道水への一律のフッ素添加は「住民の健康に関する自己決定権を侵害する」と指摘し、自治体に慎重に議論するよう求めています。

 現在国の基準は、水道水1リットルあたりフッ素濃度の上限で0.8ミリグラムですが、ほとんどの自治体では0.08ミリグラム以下だということです。しかし意見書によると、虫歯予防のために基準の上限までフッ素を添加して虫歯を1、2本減らそうとすると、「美容上問題となる程度の斑状歯を持つ子が出現する可能性がある」と指摘しています。

 厚労省水道課では、「水質基準内で住民の合意が得られれば、フッ素を添加しても法的問題はない」とするだけで、国民の健康に関してこれらの調査結果と現行の基準の合理性についてはコメントしていません。おそらく健康被害が出てから対策を考えるのでしょうが、国民の健康に対する予防的見地を持とうとしない国の姿勢に対して、住民が取り得る行動は情報を最大限に収集、客観的な事実をつかむことだけです。

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■歩きたばこの危険抑制へ/千代田区条例案と軽犯罪法改正案

 歩きたばこにより服を焦がされた、子供がまぶたにやけどを負ったなどの被害があることから、制度としての対応が進んできました。

 東京都千代田区では6月議会に提案する全国初の「罰則付き路上禁煙条例案」で、JR秋葉原駅など駅周辺の一部と小・中学校の通学路を「禁煙地区」に指定していることが19日分かりました。区は路上禁煙地区を@人が多く集まる場所、A子供の安全を図ること、に絞り検討を進め、JR秋葉原駅や神田駅周辺の路上の一部と、区内に13ある小・中学校の通学路を指定することにしたものです。条例案では路上禁煙地区でたばこを吸った場合に2万円以下の科料を求めていて、歩行喫煙の抑止効果が期待されます。

 一方民主党は、道路、公園、駅などでの歩きたばこを減らすため、軽犯罪法の一部改正案を議員立法で今国会に提出することを検討しています。この案は「公共の場所、乗物で他人の身体、物件に熱による危険を及ぼさせる仕方で喫煙した者」に、1万円以下の罰金などを科すことを求めているといいます。

 軽犯罪法改正案は、歩行喫煙で被害を与えた者に対する罰則であり、被害を未然に防ぐことが目的ではありません。国会で成立される法律は及び腰のものが多く、その効果が期待できないことがあります。千代田区の路上禁煙のように「ダメなものはダメ」、という規制が一番だと思います。

 そういえば、携帯電話での運転は禁止、ということになっていますが、事故を起こさない限り罰則がないため、取り締まりもなく多くの車で日常的に電話しているのが現実です。ごくまれに道路の隅に止めて電話するまともな人がいますが、急カーブだろうが電話したままの人が圧倒的です。他のドライバーに危険回避を強要しているのでは、事故誘発の危険性は軽減されていないのです。法律は現状の問題点を一掃するくらいの効果が欲しいものです。

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■米国では年間44万人がたばこで死亡/CDC発表

 米国では1995年から99年の間、たばこが原因のがんや心臓病で毎年44万人が死亡、医療費などの社会的な損失は年間1,570億ドル、日本円にして20兆円以上にもなるとの推計を、米疾病対策センター(CDC)が11日、発表しました。

 また体内にいるときに母親が吸ったたばこが原因となる低体重などで、毎年1,000人の新生児が死亡しているとの数字も紹介されました。喫煙者は90年代に入って減少しているのですが、死者数や損失額は80年代の推定より大幅に増えており、今回の発表により世界保健機構(WHO)によるたばこの害の見積もりにも影響が出そうです。

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終わりに
 たばこの問題ですが、未成年者の購入する場所がアルバイトの多いコンビニや、人と接することのない自販機に片寄っています。コンビニの入口には「お酒・たばこは20歳から」とのポスターがあるものの、掲示してあれば責任は問われない、といったレベルのようです。外国のようにき然とした商店主が少ない日本では「未成年者には売らない」という社会教育を放棄しているとしか思えません。

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